
老人党リアルグループ「護憲+」は、日本国憲法の基本理念である国民主権、平和、人権を護りたいと願い、「護憲」の視点に立った「世直し」を志す老人党有志グループです。
コラム「護憲+語憲」 :笹井明子 (10/22)
高市内閣の誕生
7月の参院選で自民党が大幅に議席を減らし、党内やマスコミの論調に押されて、9月初旬に石破氏は敗北の責任を取って総裁辞任を表明。以来、1か月半に及ぶ自民党総裁選から首相選出、内閣発足までの、長い権力闘争劇が繰り広げられた。
10月4日の自民党総裁選では、自民党は穏健保守の道を選択するのではないかと、かすかに期待した私の周辺の予測をよそに、立会演説会で、迷惑系ユーチューバよろしく、「外国人観光客により奈良公園の鹿が暴行されている」「外国人を逮捕しても通訳が手配できないため不起訴になる」などのトンデモ発言をしていた“ウルトラ右翼”の高市氏が、麻生派議員や裏金議員らの推薦・支持を得て勝利。自民党総裁の座についた。
総裁就任後は、安倍政治の継承を掲げ、党役員人事で裏金議員を重用、「企業団体献金禁止」を先送りして、公明党の怒りを買い、公明党の連立離脱という歴史的な結果を招いた。
そうした状況下、高市自民党は維新と連立を組み、挙句、参政党、NHK党、日本保守党など、ポピュリズム・排外主義政党にまで接近して、首相指名選挙での支持をとりつけた。
こうして、私たちが直接関与できない世界で長々と繰り広げられた政治茶番劇の結果、10月21日の臨時国会で高市氏が首相に選出され、高市内閣が誕生した。
今回の高市内閣の閣僚の顔ぶれを見ると、高市氏と保守的理念を共有する議員が目立つ一方で、総裁選で闘った候補者3人や石破内閣でアメリカとの交渉に尽力した赤沢大臣の起用もあり、高市氏なりに挙党態勢を演出し、当面は経済対策を最優先に取り組む姿勢を見せている。(これはこれで、本当に頑張ってもらいたい!)
しかしながら、高市氏は、教育勅語を賞賛し、靖国神社参拝の継続を主張し、憲法への「国防軍」の明記、武器輸出規制「5塁型」の撤廃、スパイ防止法の成立、選択的夫婦別姓反対、外国人政策の厳格化、等、憲法の「平和」「国民主権」「人権」を否定する危険極まりない考えを基本政策と考えており、高市内閣は、国民の支持率が高いと見れば、こうした政策を法制化する強引な動きを始めかねない。
幸い、今や多党化の時代であり、自民党も少数与党でしかありえない情勢なので、高市自民党の危うい動きに対しては、野党各党は国会の場できちんと批判し、必要ならば党派を超えて反対し押し止めることが可能な情況にある。
今回首相指名でバタバタした立憲民主党、国民民主党や、政権与党から離脱した公明党等の中道野党も、共産党、社民党、れいわ等のリベラル系野党も、ひとつひとつの政策にしっかり向き合い、議論し、的確に判断を下し、日本という国、そして日本社会が、とんでもない方向に進まないよう、全力を尽くしてもらいた。
そして、勿論、主権者である私たちも、国会の議論を注視し、憲法の謳う「政治道徳」を護るために、積極的に発信し、国民としての義務を果たしていきたいと思う。
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