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老人党リアルグループ「護憲+」は、日本国憲法の基本理念である国民主権、平和、人権を護りたいと願い、「護憲」の視点に立った「世直し」を志す老人党有志グループです

コラム「護憲+語憲」 :猫家五六助 (11/10)

薬害から国民を守らない政治家

中国が尖閣諸島を狙っている、次にロシアが狙うのは北海道だ、台湾有事は日本の有事・・・この国のアホな政治家とオトモダチは外敵を作り、国家予算を盛って、軍事費をクレジット払い(多年度予算)にして好き放題使うのが大好きだ。“国産旅客機の復活”と大騒ぎして航空産業(軍用機)につなげるつもりが過日破綻した三菱スペースジェット(MRJ)。政府は約500億円も補助金を投じたが、“型式証明が取れなかっただけ”で飛行可能な実機はコソコソと米国で解体処分された。

本来、航空技術の粋を集めた最新の機体はプロジェクトの成否にかかわらずYS-11のように博物館で保管すべきものだが、“国家的”プロジェクト解散とともに、国家的にだ~れも責任をとらず。80年経っても先の大戦を本質的に反省しない国なので。

さて、外国の侵略から国民を守るなどと政府自民党+αが勇ましいことを言う一方で、多くの国民がコメ価格高騰を含めた物価高で生活に苦しんでいる。そして、薬害で生命まで脅かされている。このたび、自費出版の

「胃薬・ラニチジンを飲んで癌!」著者;大草仁さん、発行;牧歌舎、1,100円

を拝読したが、薬害エイズ事件後も無責任な厚労省に唖然とするやら、呆れるやら。当時、厚労相だった菅直人氏が伏魔殿の厚労省相手に巧みな戦術でリーダーシップをとって薬害エイズを認めさせたわけだが、いまだに厚労省は「国民の命を守る」という矜持がない。著者でありガンを発症した被害者の大草さんは辛い体調を押して弁護士を立て、命を軽んじる国家を告訴している。ところが国相手の訴訟では国側の専門家チーム相手に、なぜか薬害を訴えた側(素人)が立証責任を負わされるという理不尽な状況とのこと。

この薬害で、厚労省(国)は「疑わしきは救済」ではなく「疑わしきは隠す」という姿勢だ。本書には、
1)英国の製薬会社が36年間、世界中で薬品名「ザンタック」として販売。
2)特許権消失後、“あの”沢井製薬がジェネリック薬品「ラニチジン」として製造販売。
3)2019年10月、厚労省が「ラニチジン」に発がん性物質が含まれていると公表し、自主回収を指示。
4)同薬品服用者の一人として、著者が厚労省・沢井製薬へ通告。
5)2020年7月、厚労省が「日本での服用患者数は約63万人」と公表。
という経緯が記されている。
問題は、この後。厚労省と沢井製薬が“逃げ”に入り、対応を厚労省傘下の独立行政法人「医薬品医療機器総合機構(PMDA)」へ丸投げしたのだ。小賢しい役人・官僚がよく使う手法で、「後のことはPMDAへ任せたから、後の事はソコへ聞いてくれ」と。PMDAには意思決定権がなく、粛々と事務手続を行うだけだろう。何を訴えても「規則・規定にない」「それは、わからない(知らない)」「権限がない」になる事は間違いない。

ちなみに昨今、企業のクレーム対応は似たようなものだ。「顧客窓口」と称する単なるオペレーターがマニュアル(想定問答集)通りに応え、それ以外は「ココではわかりません」と言う。上司や上位組織への問合せを求めると「ココが担当です」の一点張り。
案の定、PMDAは役人根性を丸出しにした。医薬品副作用被害救済制度というもっともな仕組みを運用しながら、「ラニチジン」薬害については不支給と通知してきたという。その理由が、笑えない冗談である。

「ガンの発生因子は様々なので、ラニチジンによる副作用と“判断できない”」
おいおい。だったら、厚労省と沢井製薬に判断させて来いよ!と、怒鳴ってやりたい。そんな事を言い出したら、救済制度など“絵に描いた餅”である。

特に酷いのは、日本政府の“島国根性”振りである。本書には、ラニチジン薬害について2024年10月、英国の大手製薬会社GSK(ラニチジンの原薬製造)が米国で約8万人のガン患者から起こされた集団薬害訴訟に和解したとロイター通信が報じたと記されている。

◆発がん性リスクに40年間沈黙、抗潰瘍薬「ザンタック」開発メーカー/2023年2月20日付、ブルームバーグBloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-02-20/RQ76IEDWRGG001
◆英GSK「ザンタック」、発がんリスク40年隠ぺいと米独立機関が提訴/2024年5月21日付、ロイターReuters
https://jp.reuters.com/economy/industry/ZGSEXN4EIJJSRHNBLUCSQ4EQDM-2024-05-21/
◆英製薬GSK、米地裁の「ザンタック」訴訟で22億ドル支払い和解/2024年10月10日付、ロイターReuters

あのトランプの米国でさえ、真っ当な公的機関が動けば国民が救済される。これでも、厚労省(国)は非を認めないのか?著者(薬害被害者)は体調不良と先行き不安の中、一人で国と闘う無力さにショックを受けておられると思う。前述5)日本での服用患者数は約63万人には個々に告知されていないから、よほど問題意識を持っていなければ「フツーに飲んでいた」胃薬でガンになった人は気づかないであろう。

「馬よりも軽い、兵隊の命」と言われた軍国国家が法治国家に生まれ変わってから80年・・・のはずが。「国旗を愛せ!国旗侮辱罪を」という、アホな国会議員さん。そういうコトは「国旗を愛せる日本」にしてから、言ってくれ!

 
お知らせ

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「護憲+」は2025年8月1日をもって、第二十三期に入りました。
詳しくは、「趣旨」をご覧下さい。
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