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  安全・外交政策を考える(第十七期)
笹井明子    −    2019/08/01 05:12:56
世界情勢の変化の中で、日本の平和や安全に資する安全・外交政策はどうあるべきかについて、考え、議論し、提言を行う
0003 日韓関係危機 続報 流水 08/23 17:02
 
昨晩(8月22日)、重大なニュースが飛び込んだ。

韓国政府が日本と締結している軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄すると発表したのである。

※軍事情報包括保護協定(GSOMIA) ウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BB%8D%E4%BA%8B%E6%83%85%E5%A0%B1%E5%8C%85%E6%8B%AC%E4%BF%9D%E8%AD%B7%E5%8D%94%E5%AE%9A

大方の予想は、そこまで韓国政府が踏み込むことはない、と考えていた。日本政府も米国への手前、韓国も、そこまでは出来ないと踏んでいたようだ。

解決策を模索するため、光復節で文大統領が演説で「話し合い」解決への呼びかけを行ったにもかかわらず、日本政府は何のアクションも起こさなかった。

日本政府は完全に韓国政府を舐めていたとしか思えない。【協定を延長しない】という韓国政府発表後の日本政府の狼狽ぶりに、如実に表れている。

そもそも、韓国をホワイト国から外した理由を「安全保障上の輸出管理だ」と強弁したのが、世耕経済産業大臣。一言で言えば、韓国を「安全保障上」信用できない国だと言ったに等しい。

となると、韓国を信用していない国と、軍事情報包括保護協定(GSOMIA)のようなシビアな問題で、緊密な安全保障上の関係性を維持できないと韓国政府が考えても文句は言えない。(🔷先に、手を出したのは日本)

安全保障と経済の問題は別だと日本政府関係者は言っているようだが、そもそも元徴用工問題は、民事訴訟なのに、国の問題として問題にしたのは日本政府。(🔷ここも最初に手を出したのは日本)

前の投稿でも指摘したが、世耕経済産業大臣の当初の発言では、明らかにホワイト国外しと元徴用工問題をリンクさせていた。歴史問題と経済問題をリンクさせたのも日本。
(🔷最初に手を出したのは日本)

あまりにお粗末。韓国と事を構えるのなら、もう少し理論武装をして、世界の誰もが納得できる論理を構築しなければならない。いい加減な「出たとこ勝負」の外交をするから、こんな大騒動になる。

日本はアメリカのポチA。韓国はポチB。俺達でもアメリカに逆らえないのに、ポチBが逆らえるはずがないと見くびるから、対処を間違う。

前の投稿(*)でも指摘したが、世界は「地政学的大転換」の時代に入っている。今日の常識が明日の常識とはならない。対米従属で凝り固まった頭では、この大転換の時代を生き抜けない。
(*)https://blog.goo.ne.jp/rojinto_goken/e/67440d83a789440bef04f947b187312d

前の投稿ではあまり触れなかったが、ここで徴用工問題について多少触れておく。

※徴用工問題についての立場の相違
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
●日本政府の立場
徴用工の問題では1965年の日韓請求権協定を根拠に、日本に対する請求権は消滅している。

●日本の最高裁判所の判断
日本と中国との間の賠償関係等について外交保護権は放棄されたが、被害者個人の賠償請求権については、「請求権を実体的に消滅させることまでを意味するものではなく、当該請求権に基づいて訴求する権能を失わせるにとどまる」としたものである(最高裁判所2007 年4 月27 日判決)。

●韓国大法院の判断
韓国大法院は、元徴用工の慰謝料請求権は日韓請求権協定の対象に含まれていないとして、その権利に関しては、韓国政府の外交保護権も被害者個人の賠償請求権もいずれも消滅していないとした。(2018年10月30日)。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

これだけ見ても、日本政府が韓国政府や日本国民に対して説明している論拠があやふやである事は一目瞭然。日本の最高裁判所ですら、被害者個人の賠償請求権については【請求権を実体的に消滅させるまでを意味していない】としている。つまり、賠償請求権はある、と認めている。

ただし、賠償請求権に基づいて訴える権能はない。つまり、日本に対しては出来ないという意味。⇒韓国政府が対応しなさい、と言う事。

韓国大法院の判断は、そもそも元徴用工の慰謝料請求権は「日韓請求権協定」に含まれていない。だから、韓国政府の外交保護権(自国国民の権利を守る)も個人の賠償請求権も消滅していない。あるとしている。

日韓両国政府と日韓両国の最高裁判所(法的権威の象徴)との解釈の微妙な相違が今回の問題の根底にある。

ではこの種の問題を考えるとき、どう考えたら良いのか。闇雲に自国利益を主張するのではなく、国際法基準に照らして冷静に国益を主張するのが、国際性のある国家と考える必要がある。

※元徴用工の韓国大法院判決に対する弁護士有志声明

この問題を考えるとき、非常に参考になるのが、「元徴用工の韓国大法院判決に対する弁護士有志声明」である。
http://justice.skr.jp/statement.html

1、韓国大法院判決骨子
・・・・・・
本判決は、元徴用工の損害賠償請求権は、日本政府の朝鮮半島に対する不法な植民地支配及び侵略戦争の遂行と直結した日本企業の反人道的な不法行為を前提とする強制動員被害者の日本企業に対する慰謝料請求権であるとした。

その上で、このような請求権は、1965年に締結された「日本国と大韓民国との間の財産及び請求権に関する問題の解決と経済協力に関する協定」(以下「日韓請求権協定」という。)の対象外であるとして、韓国政府の外交保護権と元徴用工個人の損害賠償請求権のいずれも消滅していないと判示した。・・・・・・

2、同判決に対する安倍総理の答弁⇒日本政府の立場
・・・
本判決に対し,安倍首相は、本年10月30日の衆議院本会議において、元徴用工の個人賠償請求権は日韓請求権協定により「完全かつ最終的に解決している」とした上で、本判決は「国際法に照らしてあり得ない判断」であり、「毅然として対応していく」と答弁した。・・・・

3、安倍首相答弁に対する弁護士有志の統一見解
・・・
しかし、安倍首相の答弁は、下記のとおり、日韓請求権協定と国際法への正確な理解を欠いたものであるし、「毅然として対応」するだけでは元徴用工問題の真の解決を実現することはできない。 ・・・ 

明確に安倍首相や日本政府の立場を否定し、問題解決に向けて以下のような提言をしている。

◎徴用工問題の本質

(1)徴用工問題の本質は【人権問題】⇒・・・・本訴訟の原告である元徴用工は、賃金が支払われずに、感電死する危険があるなかで溶鉱炉にコークスを投入するなどの過酷で危険な労働を強いられていた。提供される食事もわずかで粗末なものであり、外出も許されず、逃亡を企てたとして体罰を加えられるなど極めて劣悪な環境に置かれていた。これは強制労働(ILO第29号条約)や奴隷制(1926年奴隷条約参照)に当たるものであり、重大な人権侵害であった。・・・(中略)・・・・

(2) 日韓請求権協定により個人請求権は消滅していない

「裁判における争点」

★元徴用工個人の新日鉄住金に対する賠償請求権が、日韓請求権協定2 条1 項の「完全かつ最終的に解決された」という条項により消滅したのかが重要な争点となった。
 
★【韓国大法院】の解釈

元徴用工の慰謝料請求権は日韓請求権協定の対象に含まれていないとして、その権利に関しては、韓国政府の外交保護権も被害者個人の賠償請求権もいずれも消滅していないと判示した。
 
★【日本の最高裁判所】の解釈

日本と中国との間の賠償関係等について、外交保護権は放棄されたが、被害者個人の賠償請求権については、「請求権を実体的に消滅させることまでを意味するものではなく、当該請求権に基づいて訴求する権能を失わせるにとどまる」と判示している(最高裁判所2007 年4 月27 日判決)。この理は日韓請求権協定の「完全かつ最終的に解決」という文言についてもあてはまるとするのが最高裁判所及び日本政府の解釈である。

(3)被害者個人の救済を重視する国際人権法の進展に沿った判決である

・・・重大な人権侵害に起因する個人の損害賠償請求権を国家が一方的に消滅させることはできないという考え方は、国際的には特異なものではなく、個人の人権侵害に対する効果的な救済を図ろうとしている国際人権法の進展に沿うものといえるのであり(世界人権宣言8条参照)、「国際法に照らしてあり得ない判断」であるということもできない。・・・・

(4)日韓両国が相互に非難しあうのではなく、本判決を機に根本的な解決を行うべきである

★本件の問題の本質が人権侵害である以上、なによりも被害者個人の人権が救済されなければならない。それはすなわち、本件においては、新日鉄住金が本件判決を受け入れるとともに、自発的に人権侵害の事実と責任を認め、その証として謝罪と賠償を含めて被害者及び社会が受け入れることができるような行動をとることである。
 
★具体例
例えば中国人強制連行事件である花岡事件、西松事件、三菱マテリアル事件など、訴訟を契機に、日本企業が事実と責任を認めて謝罪し、その証として企業が資金を拠出して基金を設立し、被害者全体の救済を図ることで問題を解決した例がある。

※「企業の戦争責任 三菱マテリアル和解の意義」(時論公論) NHK  
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/246430.html

この弁護士有志の声明は、きわめて冷静で、論理的で解決方法も極めて具体的。問題を元徴用工の【人権問題】として捉えているため、間違っても、ヒートアップしがちな「政治問題」や「歴史認識問題」に傾斜しないように具体的提案まで行っている。

声明の中でも触れているが、安倍首相の「日韓請求権協定」の解釈がこれまでの常識的解釈と異なっているところに今回の問題の淵源がある。声明でも以下のように述べている。

・・・安倍首相は、個人賠償請求権について日韓請求権協定により「完全かつ最終的に解決した」と述べたが、それが被害者個人の賠償請求権も完全に消滅したという意味であれば、日本の最高裁判所の判決への理解を欠いた説明であり誤っている。

他方、日本の最高裁判所が示した内容と同じであるならば、被害者個人の賠償請求権は実体的には消滅しておらず、その扱いは解決されていないのであるから、全ての請求権が消滅したかのように「完全かつ最終的に解決」とのみ説明するのは、ミスリーディング(誤導的)である。
 
そもそも日本政府は、従来から日韓請求権協定により放棄されたのは外交保護権であり、個人の賠償請求権は消滅していないとの見解を表明しているが、安倍首相の上記答弁は、日本政府自らの見解とも整合するのか疑問であると言わざるを得ない。
・・・・・
今日の安倍首相の会見でも、「韓国は約束(日韓請求権協定)を守ってほしい」と繰り返し述べているので、どうやら安倍首相は【個人の賠償請求権】も消滅したと考えているらしい。

韓国政府は「個人の賠償請求権」は消滅していないので、今回の韓国大法院の判決は、新日鐵住金と被害者の間の【民事訴訟】と考えている。決して【国家賠償訴訟】ではない、と考えている。民事訴訟に政府は介入しない。民主国家のイロハである。それを韓国政府の問題だとするのは、無理がある。

この解釈の行き違いで両国の関係が戦後最悪にまでなるのだから、政治と言うものは怖ろしい。

その意味で、メディアの役割は重大。日韓双方の「日韓請求権協定」の解釈の行き違いの問題をきちんと指摘し、間違っても双方の国民を煽るような報道をしてはならない。

その意味でこの【弁護士有志の声明】は、問題の落としどころもきちんと指摘している。

問題を【人権問題】に限定し、解決策を模索する。これ以外にナショナリズムを煽ったり、刺激しない解決法は見当たらない。

日韓双方ともここは大きく深呼吸して、問題の本質を直視し、冷静な判断をして、落としどころを探るべきであろう。
 
0002  日韓貿易問題激化の陰で進行する北東アジアの地政学的大変化! 流水 08/22 14:12
 
日韓の貿易対立は激化する一方だが、光復節の文大統領の演説が、トーンダウンしたため、日本のメディア論調も多少鎮静化しているようだ。

(1)日本メディアの報道

日本メディアの見立ては、韓国経済の劣化、文大統領の孤立化(北朝鮮からも非難されている)のためだというのが大半である。

わたしはそうは考えていない。

おそらく文大統領は、以下のように考えている。

もし日本が、文大統領の呼びかけに応じなかったら、やはり徴用工の問題への報復だったと世界に公言したのも同じになる。

何故なら、日本は、韓国のホワイト国扱いを停止した理由を、徴用工の問題ではなく、安全保障上の問題と何度も説明している。だから、韓国側が話し合いを呼び掛けてきたら、応じざるを得ないという弱みはある。

文大統領はその辺りの計算はきちんとしている。もし、日本が拒否したら、やはり政治問題を経済問題に絡めているからだ、と日本を批判できる。

日本が、話し合いに応じてきたら、喧嘩両成敗的に妥協できればそれでよい。世界的には、文大統領の姿勢が評価される。

しかも、韓国内の批判の標的は、全て安倍政権に向けられ、日本国民に向けられていない。これもなかなか考えられた戦略で、国民の反日を煽り続けると、感情的対立になり、日韓関係の修復は難しくなる。

この姿勢が日本側に伝えられると、【嫌韓】を叫ぶ勢力の勢いを削ぐ効果がある。韓国人が抑制的に行動しているのに、何だ、という批判を浴びる可能性が高い。現に国内では、嫌韓の声がそれほど高まっていない。

実は、日韓関係悪化の最大の問題は、日本メディアの報道姿勢にある。韓国側の、日本人は悪くないけれど安倍政権が悪い、という姿勢は、このメディアの報道姿勢に多くのインパクトを与えている。

韓国側は、闇雲に【反日】を叫ぶのではなく、問題のありようを冷静に分析しているのに、日本メディアは単に文政権や韓国たたきをしているだけで、嫌韓を煽っていると言われても仕方がない。TBS「ヒルオビ」の矢代弁護士のように、反日、反日とネトウヨそこのけのアジテーションをする始末。

わたしはこのような日本メディアや一部国民のありようを戦前の日本と対比しながら、『感情動員と感情労働の国;近代国家失格の日本(NO1)』 で論じた。

今回の騒ぎは、いよいよ、日本国民を根こそぎ【感情動員】しようとする政府・メディア一体となったファッショ体制確立の動きが顕著になった、と読まなければならない。

このようなメディア報道の在り方に対して、韓国側の反対運動は、単なる反日運動に堕する事を極力避けて、安倍政権と日本国民を仕分けしている。日本と比較しても、韓国国民の方がはるかに賢明で民主的だと言わざるを得ない。

今回の文大統領の演説は、韓国内のこのような冷静な反対運動を受けて行われ、これが日本側の報道姿勢に微妙な変化を与えている。

(2)日韓の間に横たわる重大な問題

それより、日韓の間で、きわめて大きな問題がある。

7月23日、中国とロシアの爆撃機などの編隊が、韓国が実効支配している独島(竹島)の領空を侵犯した。韓国空軍がロシア軍機に近づき、猛烈な警告射撃をした。

この事件の政治的意味についての分析は、後ほど行うとして、米国のエスパー新国防長官が、事件について語るときに独島(竹島)を「(日韓の係争地でなく)韓国領」であると述べた。

米国は、独島(竹島)が日韓両国が領有権を主張し、両国の係争地になっていることをよく知っている。にもかからわず、よりにもよって米国の国防長官が、独島(竹島)は韓国の領有地だと述べたのである。

当然、日本側は、この発言に対して厳重な抗議をしなければならないのに、何もしていない。エスパー国防長官も発言を訂正していない。と言う事は、日本は竹島の領有権を放棄して、「竹島は韓国領」を認知したと言う事になる。当然、それが国際的合意と言う事になる。

・・・・・
※Trump’s ambiguous attitude on Seoul-Tokyo disputes) (Russia And China Display Strategic Coordination In Asia-Pacific) 

※国際的に見て、竹島はもう韓国のものだ。 (Pentagon still trying to sort out Russian violation of allied air space while keeping angry allies from fighting each other) ・・・
田中宇 対米従属と冷戦構造が崩れる日本周辺 
https://tanakanews.com/190816japan.htm

いつ、日本は、竹島の領有権を放棄したのか。嫌韓を叫び続けている連中にとって、これこそ怒らなければならないはずだが、誰も騒いでいない。

一体全体、どうなっているのか。国粋主義連中にとって領土問題は、それこそレーゾンデートル中のレーゾンデートル。しかし、誰も怒っていない。この事実こそが、現在の日韓関係危機の七不思議。

この問題を考えるとき、TV朝日の昼の報道番組に、元外務官僚の宮家某という男が出て、これから先の日韓関係や北東アジアの見通しを語っていた。わたしは彼をネオコンだと考えているので、彼の発言を反面教師として聞いていた。

彼曰く、韓国は「海洋国家」でもなく、「大陸国家」でもない国家。だから、日本とアメリカとは違うと断定していた。日本とアメリカは海洋国家だから理解し合えるが、韓国はそうはいかないと言うわけだ。たしかに彼の言う通り、韓国はいわゆる「半島国家」で、大陸と陸続きとはいえ、単なる大陸国家ではない。

そして、彼は、いずれ韓国は大陸国家に引き寄せられてゆくと断言していた。だから、彼は日本は韓国と一定の距離を置いた関係になるべきだと言う。

彼の発想は、「マハン」の「地政学理論」を下敷きにしていることは明らかだが、わたしは何故、彼が、今こんな話を持ち出しているかと言う点に注目した。

※地政学 ウィキペディア 
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E6%94%BF%E5%AD%A6

おそらく彼の発言は、水面下で動いている世界潮流にどう乗るか、という官僚組織の考え方が底流にあると考えられる。

宮家流の発想からすると、将来は、北朝鮮・韓国・中国・ロシアが一体になると考えている事は明らか。そして、日本とアメリカはそれから一定の距離を置いた存在になると予想している。

この発想の延長線上に「竹島問題」があると読まなければならない。竹島を韓国領にすることは、織り込み済みというわけだろう。

わたしも、韓半島とロシア、中国は、新たな「北東アジア共栄圏」的な協力関係になるだろうと予測しているので、彼の予測にはあまり違和感はない。

彼の未来予想はある程度当たっているが、これから先も米国と日本は一体という予想は、頂けない。まあ、対米隷属が省是の外務省出身者だから、この辺りが彼の限界だろう。

(3)米国の戦略

トランプ大統領の理念は、【米国は覇権国家から降りる】に尽きる。彼はその目的を達成するために、世界中から米国が嫌われるような言動と強引な政策を採り続けている。

北朝鮮とは、今にも戦争か、という誰が見ても強引で危うい言動を繰り返しながら、結局北朝鮮と話し合いのテーブルに着いた。

現在、イランとも同様な危うい政策を採っているが、おそらく戦争はしないと考えられる。しかも、他国に有志連合へ参加しろと強制し顰蹙を買っている。誰がどう見ても、今回のイラン危機は、アメリカが仕掛けている。ほとんどの国は、アメリカが悪いと思っている。

NATOや韓国、日本に米軍駐留費用を増大しろと無理難題を吹きかけ、同盟国を辟易させている。そんなに金を要求するのなら、もう米軍にはお引き取り願おうと言い出すのを待っているのかもしれない。要するに、俺は手を引くからお前たち(同盟国)は自立しろ、と言っている。

中国には貿易戦争を仕掛けているが、中長期的には、米国は勝てない。トランプはそれが分かっていて、貿易戦争をしかけている。国内の中国脅威論者たちの支持を勝ち取るためだと言ってもよい。来年の選挙で勝利したら、落としどころを探り始めるに違いない。

南米ではベネズエラに対する理不尽なクーデターまがいの圧力をかけ、多くの国の顰蹙をかっている。

※ベネズエラで進行している米国によるあからさまな政府転覆計画

ロシアとはNPT体制を崩壊させ、新たな核競争を再開させ、クリミア危機以来の経済制裁を続行している。ただ、ウクライナでは新たな大統領が選出され、ロシアとの対話が模索されつつある。

※NPT体制 ウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A0%B8%E6%8B%A1%E6%95%A3%E9%98%B2%E6%AD%A2%E6%9D%A1%E7%B4%84

中東では、米国はイスラエル支持を明確に打ち出し、エルサレムをイスラエルの首都として認め、大使館を移した。と言う事は、パレスチナ問題に介入する道徳的立場(中立を保つ)を放棄した。これで、米国は、中東和平の仲介役を明確に下りた。

さらにトルコとの関係悪化、サウジアラビアとの関係強化など、これまでの中東政策を大幅に変化させている。このため、中東でのロシアのプレゼンスが大幅に強化され、米国は中東での覇権を失いつつある。

この世界情勢下で極東アジアが静かなわけがない。

つまり、トランプ大統領は、各国の自立を促している。北東アジアで言えば、朝鮮半島の冷戦情況を終わらせ、北朝鮮と韓国の一体化を促進させる。それと呼応して、米軍を韓半島から撤退させる。

同時に、在日米軍も撤退させる。もし、中国と事を構えるような事態になった場合、沖縄などの基地は、中国軍のミサイルの格好の標的。早めに撤退をさせなければ、米軍の被害は甚大になる。朝鮮半島が平和になると、米軍の存在価値がなくなるという理由で撤退に踏み切る可能性が大きい。

問題はこの世界情勢をどう読み、どのように、日本の立ち位置を定め、この不確実性の時代をどのように生きていくか、というグランドデザインがないところにある。

(4)日韓危機の最大要因⇒経産省の亡国政策 ⇒これを報道しないメディアの大罪

よく思い出してほしい。福一事故の後、多くの識者の顰蹙を買いながら、日本が原子力発電所を各国にセールスしていた事を。そして、そのセールスがことごとく失敗したことを。

これらの原子力政策の中心人物が、今井尚哉首相秘書官。経産省出身。彼が現在の「原子力村」のボスと言っても過言ではない。

原子力ルネサンス政策の提唱者、柳瀬唯夫元首相秘書官は東芝だけでなく日立製作所や三菱重工も危うい状況に追い込んだ。彼は加計問題でも中心人物。彼も経産省出身。

※安倍政権が後押しの原発輸出 全て頓挫
 東京新聞 https://genpatsu.tokyo-np.co.jp/page/detail/909

※原子力ルネサンス https://atomica.jaea.go.jp/dic/detail/dic_detail_2261.html

※原子力ルネサンスの果て、東芝の苦境/優遇措置での誘いが今は最大の重荷に
https://www.huffingtonpost.jp/shinrinbunka/nuclear-energy-toshiba_b_16812444.html

そして、首相側近の世耕経産相が元徴用工問題を理由に対韓輸出規制を始めた。

※元徴用工訴訟問題 ウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BE%B4%E7%94%A8%E5%B7%A5%E8%A8%B4%E8%A8%9F%E5%95%8F%E9%A1%8C

※元徴用工問題と「通商」リンクは危険なゲーム。「韓国向け輸出厳格化」が招く日本経済のリスク
https://www.businessinsider.jp/post-194070

本来、徴用工訴訟問題は、日本企業に対する民事訴訟。国家賠償とは違う。国家が関与する問題ではない。韓国政府は、その立場を取り続けている。現に中国では、民事訴訟と言う形で「三菱マテリアル訴訟」も和解した。

※「企業の戦争責任 三菱マテリアル和解の意義」(時論公論) NHK  http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/246430.html

元徴用工問題は民事訴訟で国家賠償問題とは違う、という基本的立場で、日韓両国政府が粘り強く話し合い着地点を見出すべきだった。

それを安倍内閣は、貿易問題と絡めた。しかし、それはWTOルール違反になる可能性が高いと見るや、「安全保障上の輸出管理だ」と主張した。当初の世耕経済産業大臣の発言は、明らかに元徴用工問題に対する報復のニュアンスがあった。それがまずいと見るや、「安全保障」問題にすり替えた。明らかな二枚舌。

現実に日本が韓国に対して行っていることは、サムスンなどの韓国半導体メーカーに対する嫌がらせ以外の何物でもない。

希少性の高いフッ化水素がウランやサリン製造に使われるわけがない。EUVレジストやフッ化ポリイミドが軍用機やレーダーに回されることもあり得ない。と言う事は、この三種の規制に安全保障上の意味はない。

この三種の希少性の高い製品を作っているのが、JSR、東京応化工業、森田化学工業、三菱ケミカル、富士フイルムなど。グローバル化した世界は今や分業の時代。それぞれの国が得意分野に特化して製品を作り、お互いがそれを輸出し合い、相互補完して生きている。上記の会社もサムスンやSKと【水平分業】をして顧客を維持してきた。

※水平分業 (コトバンク)
https://kotobank.jp/word/%E6%B0%B4%E5%B9%B3%E5%88%86%E6%A5%AD-163451

だから、サムスンやSKだけでなく、日本企業にも打撃はある。韓国企業は一年そこらは落ち込む可能性が高いが、いずれ代替えメーカーを確保するに違いない。すでに、中国・ロシアなどが名乗りを上げている。

・・・経産省は半導体素材だけでなく、液晶やディスプレーもぶっ壊している。官民ファンドのINCJ(旧産業革新機構)を通じて3500億円も出資したJDI(ジャパンディスプレイ)は債務超過。JDI主力の白山工場はスマホ向け液晶パネルが振るわずに追加損失を計上し、2019年4〜6月期は連結純損益で833億円の赤字だ。・・・

産業を根こそぎ破壊 韓国叩きの本質は経産省の亡国政策だ 金子勝の「天下の逆襲」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/260548

さらに外交関係でも、経済産業省出身の今井尚哉首相秘書官が主導で行ってきたロシアとの領土返還交渉は完全に暗礁に乗り上げている。北朝鮮との拉致被害者返還交渉も一歩も進まない。

米国とのFTA交渉も望み薄。はや、米国農産品の爆買いを迫られている。

こんな二進も三進も行かない状況打破を狙って行われたのが、韓国叩き。選挙前に行う事で、安倍内閣の支持率を何とか現状維持に保とうという狙いが見え見えの政策。

換言すると、日本の国益をどぶに捨てるような経済産業省主導の経済政策や原子力政策、外交政策の失敗を覆い隠すための【日韓危機】の創出だと考えたほうが良い。

結果、韓国の反安倍行動に火を付け、日本製品不買運動は燎原の火のごとく燃え盛っている。韓国からの観光客は激減。九州地方は悲鳴を上げている。

米国メディア 特にワシントンポスト・ブルームバーグなどは明確に日本に非があると報道している。

この状況を踏まえた文演説である。

このように日本も韓国もどちらも得をしない愚策は一日も早く撤回すべきで、メディアは、国民の【感情動員】だけを目的にした煽りは止めるべきである。

金子勝氏が指摘するように、今回の政策は、世界性を完全に喪失した【亡国政策】だと言わざるを得ない。
 
0001 安全・外交政策を考える(第十七期)  笹井明子 08/01 05:12
 
世界情勢の変化の中で、日本の平和や安全に資する安全・外交政策はどうあるべきかについて、考え、議論し、提言を行う。
 
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