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1083 「憲法改正」問題の危うさ 名無しの探偵 2023/12/29 15:18:25
1,憲法改正問題とは何か
日本の憲法学では、憲法改正論において、大きく二つの見解に分かれる。
@、一つは憲法改正には「限界」があり、現憲法を基本原則(いわゆる、三大原則と言われるものであり、基本的人権の尊重、国民主権、平和主義の三点である)を改訂して、この基本原則を改廃する憲法改正案はできないという「制限説」である。
A、もう一つは憲法改正には限界などはなく、どのような改正案でも可能である、という「無制限説」である。
現在時点では、自民党などの改正案は後者のAの無制限説に依拠していることは否定できない。(具体的な自民党の改正案は省略します。)
2,以上のような憲法学の議論であり、大きくは上記の二つの見解が対立する憲法学会となっている。
しかし、欧米諸国の憲法学で、日本のような議論があるか、私には分からないが、学者でもない私から言えば、憲法改正の議論において、Aの無制限説は、「憲法改正」という言葉の意味を逸脱しており、もし自民党の「改正案」が国会の議決と国民投票の「承認」を受けて「憲法典」として制定されるなら、それは「憲法改正」ではなく、「憲法典」の廃棄と新憲法の制定と解釈できると言わねばならない。そこで、その理由として、戦前のドイツの歴史に焦点を当て、現在の自民党の「改憲論」に沿って、私の持論を述べる。
3,日本のアカデミー(憲法学と政治学など)が不適切なのは、戦前のナチスドイツはワイマール体制を「暴力で打倒」したのではなく、国民の信任を受けて成立したナチス党政権:ヒトラー政権であったことをきちんと「教訓」にできていないということである。これは真の学問とは言えない。いかにその理由を述べる。
自民党政府は、麻生太郎副首相が言ったように「ナチスのやり方に学べ」であり、ナチスドイツは日本国憲法と類似する内容のワイマール憲法を崩壊させる方法でワイマール体制を倒して、成立した政権であり、その時に緊急事態宣言を出して、国民の基本的人権を停止させたのである。そのやり方は「全権委任法」という法律に基づいていた。ナチス党は暴力でワイマール体制を打倒したのではない。民主主義的な議会をナチス党が掌握したのである。これを理解しないと自民党の改憲論の手法も認識できないのである。「独裁政権」は暴力ではなく、国民の選挙による信任(日本国憲法では「承認」)に拠ったのであり、日本も同じ状況になってきた。これがポイントなのである。

以上。