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1077 「妖怪の孫」を問い続ける 猫家五六助 2023/11/27 02:39:51
昨年末から私事のゴタゴタで新聞を読む時間がとれず、昨年12月28日以降の東京新聞がほとんど山積みになっていた。それを先週から紐解き始めてスクラップしたところ、あらためて「安倍晋三の醜悪な時代」が浮き彫りになった。昨年7月8日、政治的思惑でも言論弾圧でもなく、宗教的怨恨で銃撃されて鬼籍に入って以降、彼の功罪について「死者に鞭を打つな」とばかり罪の追求が鈍り、功績ばかりが生き残っているように感じるが、紙媒体の記録(新聞)は正直である。

まずは、3月19日付「本音のコラム」で現代教育行政研究会代表・前川喜平氏(元文科省官僚)から引用すると、3月17日から映画「妖怪の孫」の上映が始まった。この映画は祖父・岸信介、父・安倍晋太郎から政治思想を引き継いだ安倍晋三がどういう男だったのか、安倍政治とは何だったのかを問うた労作だという。
◆映画「妖怪の孫」公式サイト
https://youkai-mago.com/

コラムでは「妖怪の妖術」について次の点に言及している。(抜粋)
@(国益や政策ではなく)選挙に勝つことが目的の選挙戦略
A森友事件、加計学園問題、桜を見る会での数々の国会虚偽答弁
B「やってる感」だけのアベノミクス
C内閣法制局長官を差替えて強行した集団的自衛権行使の憲法解釈変更
D統一教会問題(と安倍晋三)
そして、安倍政治は過去のものではなく岸田政権へと引き継がれ、日本は戦争する国へと向かっていると締めくくっている。私は最近の新聞記事・webニュースを読んでいて、このコラムが的中していたことを再認識した。

@はすなわち、「選挙で勝って政権を獲れば、私利私欲で何をやっても許される」の布石である。安倍が官房長官時代にNHK番組改変に関わり、公共放送を捻じ曲げたのもうなづける。
それは3月、放送法の解釈変更を要求するための行政文書を高市早苗総務相(2015年当時)が指示した問題として発覚した。ご存じの通り、高市早苗は安倍晋三の「お気に入り」の一人だった。
◆放送法レク「あった可能性高い」 調査結果にも高市氏は「不正確」/朝日新聞サイト
https://www.asahi.com/articles/ASR3Q6VQZR3QUTFK00Q.html
高市は「捏造だ」と否定し続け、それ以降はうやむやになっている。「捏造」と「不正確」は全く別物だが、大見得を切った高市は責任すら取っていない。
そして7月11日付、東京新聞紙面「視点」でNHK「クローズアップ現代+」の放送内容にNHK経営委員会が介入した事案を「放送法に抵触する」と論説委員・桐山桂一氏が問題提起した。2018年、同番組が行った「かんぽ生命保険の不正販売問題」報道に日本郵政が抗議し、当時のNHK会長が厳重注意された件だ。その議事録の全面開示を求めて裁判が続いているがNHKは情報開示に応じず、いまだ裁判所も開示命令を行わないという。

Aは問題点を整理した、わかりやすいサイトがある。
◆今さら聞けない、森友・加計問題/日本経済新聞サイトhttps://vdata.nikkei.com/newsgraphics/fv20180523/
さらに驚くべきは、このニュース。関連したニュースが多く流れている。
◆加計学園が銚子市に千葉科学大「公立化」泣きつき…/日刊ゲンダイDIGITAL
https://news.yahoo.co.jp/articles/939f48290c862ae70c29a18ef39d04fbeabb9c55
“妖怪”安倍がオトモダチを優遇した、なれの果てである。

Bは、アベノマスクに代表される安倍の思いつきが日銀とグルになり、様々な統計数字に手を加えて「景気がいい」偽装された経済政策を行った。トリクルダウンで中小零細企業が潤うなんて、ド素人の発想でしかない。
東京新聞11月22付「社説」では、アベノミクスを引きずる岸田政権の無策を批判している。
◆家計の苦しさ アベノミクスと決別を/東京新聞web版
https://www.tokyo-np.co.jp/article/291501

Cの問題は結果的に防衛予算倍増へつながっている。東京新聞2月22日付記事で「敵基地攻撃能力=先制攻撃」の懸念について国会議論で政府が説明責任を果たしていないことを伝えていた。7月4日付記事では、政府与党が「防衛装備移転三原則の要件緩和」の与党協議について国会を経ずに議事録も非開示という現状を掲載。民主主義を軽視した「密室協議」と批判されて当然だろう。
そして10月5日付記事で、専守防衛の議論もなく「トマホーク」ミサイルの大量導入を前倒しすることを報じている。
◆「敵基地攻撃能力」運用が1年前倒しへ〜/東京新聞web版
https://www.tokyo-np.co.jp/article/281815

Dについては政府与党の腰が重い、引けている姿勢が続いている。8月23日付紙面「社会時評」ではロバート・キャンベル氏(日本文学研究者、早稲田大学特命教授)が統一教会と政府与党の癒着について「自民党、なかんずく安倍派議員に集中している」と記し、岸田総理「各議員が説明すること」、松野官房長官「コメントを差し控える」、福田達夫総務会長「何が問題か、僕はよくわからない」との各々のコメントについて、「政治家の言葉もいよいよ軽く、世界情勢とは乖離していくことに不安を覚える」と憂いていた。

それ以外にも、アベノボウレイを引きづっているニュースには事欠かない。
・沖縄県民を無視した辺野古新基地問題。政府寄りの司法判断、軟弱地盤工事の御用識者判断と寄付金。
・2017年に起きた臨時国会不招集の裁判が上告棄却。東京新聞社説は「民主国家と言えるのか」。
・2019年に起きた安倍演説中にヤジ排除の裁判。高裁が地裁判決を一部取り消し。「司法は政権への忖度を追認するのか」とはジャーナリスト・青木理氏のコメント。
 そして、出ました!2013年当時、東京五輪招致推進本部長だった馳浩石川県知事が安倍晋三の命を受け、機密費で招致買収工作をした、と暴露。自慢、高慢、バカのうち・・・バカですね、愚かですね、この人。

私は、いまだに安倍晋三の功績が称えられる意味がまったく理解できない。国葬になった意味も、経緯も、後始末もない。呆れるやら、脱力するやら・・・。
唯一の救いは、東京新聞7月15日付社説下欄の決意だろうか。
◆<ぎろんの森>「安倍政治」を問い続ける/東京新聞web版
https://www.tokyo-np.co.jp/article/263305

護憲、民主主義、三権分立、専守防衛は譲れない!