| 世界的グローバル企業 ユシマの自働車工場で働く非正規の4人の若者達 彼等はテロを企てたとして「テロ等準備罪」を適用され指名手配になる
彼等は本当にテロを企だてていたのか? それはグローバル企業、警察、政治家も絡んで巧妙に企てられた罠であり濡れ衣だった
彼等が指名手配される少し前に自動車工場で本職の工員が所有する千葉県の実家「夏の家」に夏休みに招待される それが全ての始まりだった 彼らは海岸で遊び個人文庫で様々な書籍を読み4人は今まで知らなかった世界と知識を取り込んで行く この「夏の家」の場面が海と自然を背景に4人の生い立ちも絡めて青春群像劇になっている しかし夏の一時を過ごした4人を待っていたのは夏の家に招待してくれ父のように慕っていた 工員の過労死 それも労災隠しのために何時間も医務室に放置されていた その時何があったのか? 事実を突き止めようとする4人は本工の死を解明すると同時に従業員を奴隷の様に働かせ人件費を削減しようとするグローバル企業の実態を掴む 4人は新しい労働組合を作り闘いを挑む。自分達は人間であるという尊厳を掛けて
彼等の行動に賛同した 本工、季節工、派遣労働者達が次々と集まってくる。今まで「分断して統治せよ」言われバラバラだった人達が
彼等の周囲に居る大人達。文庫の姉さんと呼ばれる腹を括った老女、この事件には裏があると独自の調査を進める所轄の平刑事 ユニオンの老活動家 腐った政治家を葬るために動く官僚、過去の自分にけりを付ける為に通報する警察官僚様々な人達の矜持 怒り、思惑、苦しみが 絡み合い、結果として4人を助ける事になる 果たして4人はグローバル企業、国家権力 公安機構から逃げ切る事が出来るのか 現実の世界でも 「共謀罪」+「特定秘密保護法」が始動されたら恐ろしい事になる この小説の様にターゲットと見なした人達を マスコミ、SNSを 走狗して「恐ろしいテロ集団」というイメージを作り流布させるだろう。社会はマスコミも含めて「警察に事情徴収された」というだけで 犯罪者扱いする この小説の巻末に もの凄い量の書籍が 資料として記載されていた。太田愛の並々ならぬ覚悟と決意を感じた
以前、「共謀罪」が 成立しようとした時、ある年配の男性が 「法律が出来ても乱用できるはずがない騒乱罪だって適用されたのは1件だけだった」 と言っていた
今ならなら分かる「騒乱罪」が過去に1件しか適用されなかったのは 偶然ではない。まだ反対する人達が声をあげ為政者やその仲間達が慎重に成らざるを得なかったという事を 天下の妖刀を抜かせてはならない。それは私達国民が深い傷を負い子どもや孫の世代まで悔いを残す事になるだろう 現実の世界では 西武池袋本店の労組が 61年振りのストライキを決行した ストライキ採決の時は 90%以上の採決で可決されたという SNSでは 「ストライキなんて迷惑」 「世界に恥ずかしい」 等という心ない投稿も見られたが 「頑張って!」 「ストライキは労働者の権利!」 という意見も多数寄せられたという ユニオンや他労組からも応援のメッセージが送られた これから小説の中の 新労組や現実の西武労組が労働者や国民の 希望の「砦」となるのか、夜が明けた先に何があるのか見守って行きたい
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