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1032 安全保障は軍事問題なのか。 名無しの探偵 2023/03/10 23:31:05
1,前回の続き、軍事問題の安全保障という日本政府のスタンスに疑問を抱き、今回も経済安保、とりわけ、「食の安全保障」という視点から、戦後の再検証を考えている。何故か、現代史家が隠蔽してきた、敗戦直後の食料管理法の下での「食糧難」に直面した都市住民の置かれた状況は現在においても再考するべきだと思うからである。
ロシアのウクライナ侵攻で、日本はアメリカに追随して、経済制裁やウクライナへの援助を大々的に行っているが、物価や光熱費の値上がりはとてつもない状況である。これは、70年代から本格化した、世界経済のグローバリゼーションの帰結であり、日米が恣意的に宣伝する共産主義圏は「除外する」という虚構の言説とは異なり、グローバリゼーションは、ロシアや中國を素通りすると言うプロパガンダ問題ではありえない。
2,時間軸を少し遡って、日本の「食料自給率40パーセント」(現在は37パーセント)という驚異的な数値に焦点を当てたい。私が危惧するのは、何故、日本は食料自給率を40パーセントにして、安心しているのか、ということだ。
この自給率の低迷を結論から先に言うと、日本の戦後の「食糧難の時期」に遡る問題であり、怒らくこの時期に、アメリカの食料援助と同時に、小麦粉や大豆の輸出(日本なら輸入)が「戦略」として入って来たからに他ならない。平賀緑さんの著書(岩波ジュニア新書)では、アメリカからの植物油と小麦粉の食事転換への誘導があったという。この時代以降、日本人の食生活は和食中心から小麦粉の需要が多くなる。具体的には、インスタントラーメンなどの需要は普及した。
また、「和食」とか言うが、その実体は、輸入食品がほとんどであり、「和食」ということがレッテル詐欺に近い。

3,食料自給率37パーセントの大きな問題点

最期に、何故食料自給率が低いと問題なのか。それは、最初に述べたように、敗戦直後の「食糧難」時代の再現になる可能性が高いからである。
何故か。一番の危機は、日米政府が躍起になっている中国などの敵視政策と軍事増強が、単なる防衛問題を越えて、東アジア有事へと一歩踏み出していると思えるからである。特に、アメリカ政府は、過去の中国の内戦期に起きた蒋介石が指導した国軍が台湾に移り台湾政府を樹立して、政治的に独立したが、アメリカ政府は、中国が台湾に侵攻すると称して、再び「台湾有事」へと寝た子を起こす戦略を構想している。これに日本が巻き込まれると、日本列島は隣国であるだけに戦場になる危険性は高い。そうなると、食料自給率の低い日本では、兵站が間に合わず、軍事的な武力の面でなく、食料難が押し寄せると予測できる。これが、私の危惧する「敗戦直後の食糧難」の再現ということなのである。
次回は、この食糧自給率の低迷を脱却する処方箋の問題を解明するという問題に移行したい。

以上。