| この小説に出てくる二人は明仁と美智子。千代田区一丁目一番一号にお住まいの二人です
TVのカップヌードルのCMを見ながら言葉を交わす二人の日常が楽しげに微笑ましく描かれています
フリーのドキュメンタリスト森克也(著者と一字違い)は天皇の言葉を引き出したいという情熱に突き動かされ、象徴天皇制の本質に迫るドキュメンタリー企画を立ち上げます。そのままではテレビ局は通るはずもなく「憲法」というオブラートに包み第一条から何条かに分けてその第一条のパートを克也が担当するという企画です企画はフジテレビであっさり通り夫々のパート担当には是枝裕和の様な実在の人物も顔を出し現実とフィクションの世界が混在します
更に山本太郎の天皇へ手紙手渡し事件も起きて、天皇制を巡り菊のカーテンが大きく克也達の前に立ちはだかりますしかしこの物語の明仁と美智子はそんな菊のカーテンをヒョイともち上げ山本太郎と克也を千代田区一丁目一番一号に招待するのです。更に克也に興味を持った二人は後日克也とその恋人の桜子という女性と四人で千代田区一丁目一番一号のラビリンス今迄めったに足を踏み入れた事がない地下道を歩くという冒険までしてしまうのです。その先には何がまっているのでしょう、皆さんも明仁とや美智子達と共にラビリンスに足を踏み入れてください
この物語の明仁は学者肌の方で物静かだけれど親しみやすく非常に周囲の方々に気を使い常に天皇と象徴について考えています。美智子は静かな方ですが賢く聡明で茶目っ気もあり、とっさの時には明仁を守ろうとする決断力もあります 政治的発言は禁じられている二人ですから言葉を選び発言しますが山本太郎事件の後にはプライベートで栃木の田中正造 記念館を訪れたり水俣病の著書を残した石牟礼道子と親交を深めたり福島原発事故避難者の元を訪れたりします 「言葉を封印されているからお二人は行動で意思を表現しているのだ」と克也は云います マスコミが皇室の方々を○○様と喚ぶようになったのは いつ頃からでしょうか。昔はミッチーとかナルちゃんとか愛称で呼んでいたのに。 福島原発事故での避難所を訪れた時 「正座をなさり国民と話をしておられた天皇陛下の御前で 国民が胡座をかいて話をするとは何事だぁ〜!」 とテレビでコメンテーターが騒ぎ立てた事があります 菊のカーテンを分厚くする事を明仁や美智子は望んでいないでしょう 5月半ば過ぎの新聞の記事に(新聞社の名前は失念) 美智子上皇后が都内の大型書店を何十分か一人で歩かれた という記事が載っていました 人払いをする事を嫌い、開店間もない書店には客も何人かいたが皆何事もなく過ごしていたという記事でした 小説の中でも明仁が一人で都内の横断歩道を歩きベビーカーの親子に話しかけるという場面が出てきます 私はまさかと思ったけれどいや、いや現実の方が菊のカーテンを飛び越えてしまう事があるのですね マスコミ等が、あれもいけないこれも止めた方が…と躊躇している間に。
それにしてもこの本に対して反響が少ないのが気になります ネトウヨはこんな下らない本は歯牙にもかけない? それとも活字が昔より力を失ったからでしょうか
そちらの方が私は気になります
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