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0982 ウクライナ侵攻の行きつく先 第三次世界大戦へ 流水 2022/04/11 10:12:46
🔸ウクライナ侵攻の真実の分からなさ

この戦争の新しさは、いわゆる「ハイブリッド」型戦争だと言われている。
実際の戦場の姿より、SNSなどを通じたカメラで切り取られた映像で戦争を見ている。(観客民主主義ならぬ観客戦争)
戦争開始当初から、洪水のような米国諜報組織の情報が各国のメディアを埋め尽くし、米国諜報組織と密接に結びついたウクライナ政府の情報やSNSを通じたウクライナ諜報組織の情報が世界を席巻している。ネット世界では、情報戦ではウクライナ有利という判定らしい。

洪水のような大量な情報の発信は、情報の真偽を確かめる暇もなく垂れ流される。
この大量の情報にさらされた西側各国の民衆は、情報によって醸し出された「ロシア=悪、プーチン=狂気の悪魔、ウクライナ=悪魔に蹂躙されている可哀そうな国家」というイメージが刷り込まれ、「ロシアにも言い分がある」などと言おうものなら、袋叩きにあいかねない空気が醸成されている。

「空気を読むのが得意」なのは、日本人だけではなく、西側国家の指導者も国民もメディアによって醸成された空気に抗う難しさを感じているようだ。

欧米各国は日本や日本人に対して、明治時代から、「論理的・合理的に考えることができず、情に流されやすい国民」と一段低い存在に見ていたし、現在でもそうみているようだが、欧米各国の民衆もそんなに違ったものではない。

これが今回の戦争で試されている米国の新たな戦争のやり方だ。これまでは、政権内部だけで保持されていた諜報機関などの機密情報を先に出し、敵国(ロシアなど)の行動を牽制し、ロシアなどの権力機構内部に疑心暗鬼の状態を作り出すことにより、相手国の行動を牽制するというやり方だそうだ。

こういうやり方を取ると言う事は、以下の理由が考えられる。
@アフガン戦争の無残な終わり方からくる【厭戦気分】⇒戦争はやりたくない。ロシア相手の戦争は、核戦争を覚悟しなければならない。これはやばい。⇒武器援助と口先介入
Aそうは言っても、米国の存在感は示さなければならない。⇒米国の影響国に対する信頼感のつなぎ止め。⇒諜報機関の機密情報開示することにより、米国は常に相手を監視しているという安心感を与える。同時に相手を疑心暗鬼の状態にし、信頼感を勝ち取る。
Bトランプ政権4年間で青息吐息に追い込まれた軍産複合体、ネオコン、CIAなどの復権をする必要がある。⇒今年の軍事予算は100兆円超え。ロシアを戦争に引き釣り込んだ甲斐がある。
さらに、NATOやEU各国などに、米国製の武器を売ることができる。⇒大きな利益を生む。
C今も昔も戦争する当事者にとって一番大切なのは、自分に協力してくれる人や組織に対する【論功行賞】。何も見返りがなくて、命を賭けて協力してくれる人間はいない。

米国はアフガン戦争やイラク戦争の終結の仕方で、米国の協力者に対して、信頼を完全に失墜している。イラク撤退や、アフガン撤退の時、地元の協力者を置き去りにし、投げ出して自分たちだけ撤退している。

彼らは、地元民の白眼視に耐えて米国に協力していた。後ろ盾(米国)がなくなると、命が危うい。
こういう協力者に対してきちんと報いなければ、米国の信用はがた落ちになる。米国に協力しても最後には見捨てられる。冗談じゃない。こちらは命がかかっている。見返りもなくて、協力なんかできない、という結論になる。

その為、米国は現在自前の戦争ができにくい。これが今回のようなハイブリッド型戦争をする理由だと思う。

このように見てくると、今回の戦争情報ほどバイアスがかかっているものはない。よほどあらゆる情報を点検してからでないと、簡単に騙される。

わたしはこの戦争は、米国・NATO、駒としてのウクライナとロシアの戦争として認識している。

“米大統領選雑感”で指摘したが、当時から、世界はもはや“第三次世界大戦”に突入しているという認識を持っている。トランプとバイデン両者のうち、より危険な人物がバイデンだと当時から指摘してきた。

ウクライナのゼレンスキー大統領のパフォーマンスは、米国政府・米国諜報機関のパペット(操り人形)として評価されるべきもので、ウクライナ政府の代表者として評価されるべきではない、と考えている。

🔸ブチャなどの虐殺問題

現在、世界中で騒がれているブチャの400人を超えるとされる民間人の死亡問題。残念ながら、第一次大戦以降、近代のどの戦争でも民間人の死者が出ない戦争はない。
日本でいえば、東京大空襲で10万人。広島、長崎で20万人以上の死者が出ている。
耳目に新しいところでは、イラク戦争のファルージャでは、いまだに死者の数さえはっきりしないが、非常に凄惨な殺戮が行われている。

近代以降の戦争とは、兵の死亡者数より、民間人の死亡者数が多いのが常識。イラクでも兵士・民間人の死亡者数は、確実な数字だけで言っても50万人以上と言われている。大半は民間人だと言われている。
※https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/8459/

だから、この種の虐殺話は最初に言ったもん勝ちの側面があり、話半分に聞いた方が良い。
同時にこの種の話を戦争のただ中で持ち出すのは、持ち出した方の状況が芳しくない場合が多い、と言う事も頭に置いて聞く必要がある。

理由は三つある。
@ゼレンスキー大統領は、戦争当初、「国民総動員令」を出し、「火炎瓶を持ってでも侵略者と戦え」と国民に檄を飛ばしていた。当然、ロシア軍から見れば、そういう民衆は敵。“敵は殺せ”は戦争の鉄則。兵士の姿形をしていなくても、敵と認定された可能性は高い。戦争のメカニズムはそうしたものだ。
こういう形の死者すべてを民間人を殺した、と言えば、証明のしようがない。戦場は相手の国の領土。ロシア軍側から言えば、敵兵を殺して戦争責任だと騒がれているようなもの、ともいえる。
Aロシア・メディアなどからは、アゾフ大隊(極右団体、戦争当初からロシア軍の主要なターゲット)の兵士が、ロシア軍が占領下の民衆に配布した食料などが入ったロシア製の袋を持っている民衆を撃ってもよいか、などという言葉がSNSに書かれている、などの証言が出ている。また、ゼレンスキー大統領が、「ロシアに寝返った民衆は撃て」という命令を下した。などという話も出ている。
Bこの種の虐殺事件は、当事国(ロシア、ウクライナ)でない第三者機関の調査を行って、初めて戦争犯罪に値するかどうかが断定される。ロシアは、国連に第三者機関を設け、調査すべきと申し出ていたが、議長国である英国は頑としてその申し出を却下している。
その間に、ウクライナ当局が死体その他を片付けているので、ほとんどの証拠は消えているだろう。結局、真実は見つけがたい。

8日のニュースで調査委員会が調査をしているという話が出ていたが、正式に任命された調査委員会でない限り、日本の国会などの調査委員会と同じで都合の良い結論が出るに違いない。(※ロシアが虐殺をした)

ロシアよりの具体的な反論は、以下のサイトで見てもらえば良いが、ゼレンスキー大統領の言い分がすべて正しいとは言い切れない。

※市民虐殺の濡れ衣をかけられるロシア
市民虐殺の濡れ衣をかけられるロシア (tanakanews.com)
※不自然な点が多すぎるブチャの虐殺話
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202204050000/
2022.04.05 櫻井ジャーナル
※ウクライナ ブチャ映像
ウクライナ・ブチャ映像問題;どちらの側が真実を語っているか? - Pars Today

羽鳥モーニングショーで玉川氏が、「こういう虐殺をしてロシアは何を得するのか。わたしには分からない」と語っていたが、わたしもそう思う。ロシアに虐殺をしなければならない論理的必然性が感じられない。

もし、プーチン大統領が織田信長の比叡山焼き討ちや長島一向一揆のように、ウクライナ人皆殺しの命令を出しているなら話は別。厳しくその責任は問われなければならない。

羽鳥モーニングショーでは、ロシアのFSCが出てきて、虐殺命令を出していた、などという証言も出ているようだ。これも、ウクライナ側のロシア兵士の服装の証言からの憶測なので何とも言えない。※ロシア軍fsc - Bing images

この話の真偽は、おそらく藪の中になるのだろう。

🔸ゼレンスキー大統領への疑問・・なぜ、停戦を急がない?・・

「ウクライナのアフガン化」でも書いたが、戦争を長引かせれば長引かせるほどウクライナ国土とインフラの破壊は修復が難しくなる。同時に、これが最大の問題点だが、長引けば長引くほど、ウクライナ国民の死者は膨大な数になる。

8日のニュースでは、米国の予想では3年。長い予想では、10年というのもあった。この間、ウクライナの国土で、ウクライナ国民が、戦い続ければ、どうなる。結果は火を見るより明らかだろう。

下の文章と写真を見てほしい。第一次世界大戦の激戦地、「ベルダンの戦い」と「ソンムの戦い」の跡。(ドイツとフランスの戦い)

※戦争が終わって100年経ってもなお残る「人間が住めない場所」 - GIGAZINE
・・・・破壊と命の奪い合いを行う戦争の影響は、戦争そのものが終わっても土地を汚染して影響を与え続けることがあります。第一次世界大戦でフランス軍とドイツ軍が熾烈な戦いを交わした戦地には今でもその負の遺産が残されたままの状態となっており、100年が経過した今でも人や動物が住むには適さない場所としてうち捨てられています。

After 100 years, World War I battlefields are poisoned and uninhabitable - We Are The Mighty
https://www.wearethemighty.com/popular/world-war-i-battlefields-uninhabitable/

Red Zone - National Geographic Society
http://nationalgeographic.org/news/red-zone/

1914年から1918年にかけて戦われた第一次世界大戦の中でも、フランス軍とドイツ軍の間で勃発した1916年2月のヴェルダンの戦いと、同年6月のソンムの戦いは、特に熾烈な戦いでした。「ヴェルダンの戦い」では両軍あわせて70万人、さらに「ソンムの戦い」では実に100万人以上という兵士が命を落としており、第一次世界大戦で最大の戦いとして歴史にその名を残しています。

「ソンムの戦い」が繰り広げられた際に撮影された戦場の様子。見渡す限りの荒れた土地にはまるで生き物の存在が感じられず、まさに死の世界を思わせる風景が広がっています。・・・・・・

これがウクライナの10年後、20年後の世界だという想像力が求められる。ゼレンスキー大統領が国民を鼓舞し、停戦交渉を難しくすればするほど、国民の犠牲者は増え、国土は消耗する。

どこかのメディアが、今度の戦争の復興のために要する時間は、ロシアは3年。ウクライナは15年、と報じていた。

現在でもそうなのだから、これを何か月、何年も続けたらどうなる。その程度の想像力はあるだろうと思う。

良い例がある。第二次大戦のフランス。
第2次大戦中、疎開するパリ市民。1940年、戻ったらナチス一色のパリだった | サライ.jp|小学館の雑誌『サライ』公式サイト (serai.jp)
ドイツ軍が1940年6月9日にパリ攻撃を始めたのだが、フランス政府は、わずか10日でパリを明け渡した。上で紹介したように、第一次大戦では、フランスは徹底的に戦ったにもかかわらず、である。

理由は明白。
これ以上の国土の破壊と国民の命を犠牲にしないためである。被害の少ないうちに降伏し、戦後の復興に賭ける、という実に合理的、実務的選択をしたのである。
このフランスの降伏は、第二次大戦の大きな謎の一つとされているが(なぜ、戦わなかった)、わたしはきわめて合理的選択の一つだと思う。

わたしは、ゼレンスキー大統領は、停戦をしたくないのではないか、と感じられてならない。マリウポリの惨状は報道されている通りの酷さだが、降伏勧告は無視されたまま。
これでは、ロシア軍も徹底的な攻撃をせざるを得ない。

ゼレンスキー大統領は、TVなどでは、ロシア軍が民間人を殺していると騒ぐわりに、マリウポリなどは降伏を拒否し、最後の最後まで戦えと言っている。
古来どんな戦争でも降伏を拒否すれば、徹底的な殲滅作戦が行われる。これが戦争の論理。
安全保障理事会の改革を訴える余裕があるのなら、目の前の国民の命を救うために活動するのが、大統領の役目ではないのか。

さらに疑問を言えば、今回のブチャの虐殺問題でもそうだが、この種の問題を世界に発信されるのは、常に【停戦交渉】前。「停戦交渉」の進展を嫌っているかのように、停戦交渉前に常にロシアの非人道行為が報道される。

要するに、「停戦交渉」をしたくないか、「お前たちは世界からこれだけ非難されているのだぞ。だから折れろ!と言っているようだ。

この種の一連の手口は、英国諜報機関、CIAなどの米国諜報機関が得意としている。

どうやら、米国・英国などアングロサクソン連合は、どうしても戦争を継続させたいように考えているのだろう。それは、今年度の米国の軍事予算を見れば分かる。過去最大の規模の軍事予算が組まれている。だから、どんどん武器をおくる。金も送る。しっかり戦えと言っている。

ロシアが目論む「ドルの基軸通貨」崩壊をどうしても阻止したいと考えているのだろう。
その為には、ウクライナの国土やウクライナ民衆の命など、たいした問題ではないというわけだ。

わたしがゼレンスキー大統領を米国やNATO陣営のパペット(操り人形)と呼ぶのは、本来、彼にとって一番重要なのは、ウクライナ国民の命を守ることだと考えるからである。

彼の演説、彼の発言を聞いていると、「本当に停戦を望んでいるのかどうか」疑問に思う。
たしか、前の停戦協議前には、「プーチン大統領は全く信用できない」と発言していた。
どんなに気にいらない相手でも、停戦協議前に相手国の大統領に対してそんな侮蔑的な発言をするか、と疑問に思った。「あんた、本当に停戦する気があるの」と思った。

今回も同様で、ロシアもウクライナも妥協できる余地が出てきた、などという見通しが語られた矢先、“大量虐殺だ”“戦争犯罪だ”と大騒ぎである。これで当分の間、停戦交渉は中止にならざるを得ない。

その結果、東部戦線、南部戦線は激化の一途。それこそ、大量の死者が出ることは必至。マリウポリでも脱出できていない民間人は約10万人。しかし、ロシアの降伏勧告は無視したまま。“停戦協議”は当分の間できない。これでは戦闘の激化は避けられない。徹底的な殲滅戦が行われる可能性が高い。

要するに、“民間人は死ね”と言われている。その後から、“虐殺だ”と世界に訴えてやる。結果、ロシアの国際社会の信用はがた落ちになる。ウクライナ国民は、そのための犠牲になれ、と言われているようなものだ。
一体、どの口が“民間人の命が大切”などと言うのか。これがウクライナ大統領の選択ですか、と問いたい。

何度も言うようだが、わたしは、人の命に軽重はない、と考えている。幼子も大人も男も女も青年も老人も命には軽重はない。社会的地位の軽重も関係ない。為政者の最大の責務は、国民の命と財産を守ることであって、それ以上のものはない。

西側メディアを席巻しているかに見えるゼレンスキー大統領のパフォーマンスだが、今のままで国民の命を守れますか、と問いたい。

わたしは、大統領の真の勇気は、第二次大戦のフランス政府の選択にこそあると考えている。

戦争に“正義の戦争”はない。ブッシュ・ジュニアがアフガン戦争やイラク戦争前、“正義の戦争”を唱えていたが、その米国の“正義”の結末が、現在のイラクであり、現在のアフガニスタンである。

国民にとっての最大の正義は、“命を守ること、家族の命を守ること”以外にない。
ゼレンスキー大統領には、その一点に賭けて、停戦交渉に臨んでほしい。

🔸第三次世界大戦の危機

わたしには、英米などは、どうしても第三次世界大戦を起こしたい、と願っているとしか見えない。
通常の神経の持ち主なら、これだけ「ウクライナ民間人の生命の危機」が差し迫っていると認識しているなら、まず「民間人の生命」を救う事を第一に考え、米英などNATO諸国は、ロシアとの【停戦交渉】を最優先にすべきだろう。

しかし、トルコとかフランスなどには、「停戦交渉仲介」努力が見えるが、英米には全く見えない。
欧米風「停戦」条件は、まず現実の戦争で有利な立場を取ってのちに、停戦交渉を行うべき。
戦況が五分五分にもなっていないのに、停戦交渉などする方が無駄、というものだ。
どんなに犠牲を払っても、まず、徹底抗戦ありきの発想である。

▼手打ちという発想
わたしは何度かやくざの話を書いたことがある。
やくざの抗争でも、血を血で洗う抗争をおさめる時には、有力な親分が出てきて、大まかな約束事をしたうえで、【手打ち】をする。細かな理屈は後回しにして、とにもかくにも【手打ち】をするのが重要になる。
【手打ち】をすると、周りからも平和になった、と認知される。
この「平和」になったという印象が一番重要で、この印象があるから、「話し合い」が機能するようになる。
戦争でいえば、【外交】が機能する。まず、外交が機能する【手打ち】を急ぐべきだと考える。

問題は、【手打ち条件】をどのように守るかを担保することが最重要になる。
【手打ちの条件】を守らなかったり、意図的にネグレクトすると、もう一度抗争が勃発し、以前より激化する。

ロシアとNATO、ロシアとウクライナの間には、以前にもこの種の【手打ち】があった。
ソ連邦消滅条件として、NATOの東方拡大はしない、というのは、ロシアにとって最重要な【手打ちの条件】だった。
ウクライナとロシアの間にも、ドンバス地方での戦闘のための【手打ちの条件】=【ミンスク合意】があった。これは、両国の重要な【手打ち条件】。

NATOとの手打ち条件は、その後のNATOの東方拡大路線で完全に反故にされている。
ウクライナとの手打ち条件である「ミンスク合意」は、ほとんど履行されていない。
そもそも、ゼレンスキー大統領は、「ミンスク合意」を認めないと言って当選している。

ロシアは、この二つの【手打ち条件】を完全に反故にされた、と認識したから、今回の侵攻が始まった。

こういう風に見てくると、ロシアが一方的に悪者にされるのは、いささか可哀そう。わたしがゼレンスキー大統領の「開戦責任」を問うたのは、この意味である。彼は、最低限、ロシアとの【手打ち条件】を守ろうとする姿勢を見せるべきだった。

NATOの東方拡大ももう少しロシアの顔を立てるやり方があったはず。しかし、NATOは、ロシアを東西冷戦の完全な「敗戦国」として扱い、【手打ち条件の順守】など眼中になかった。はっきり言えば、米国などはロシアを属国扱いにしていた。(エリチン時代)

この状況に、腹を据えかねたプーチンが侵攻したのが今回の「ウクライナ侵攻」。よく言えば、プーチンは愛国者ともいえる。だから、プーチンは、多少の歩み寄りなどでは、停戦しない、と考えるのが、至当。本人は自分に理があると考えている。

NATO(英米)もウクライナも自分たちの【手打ち条件】無視やネグレクトについては、口を拭って知らぬ顔。
と言う事は、今回の戦争について【和平】は望まない、と言う事だろう。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、停戦交渉に期待し、妥協を匂わせる発言をする時もあるし、突如、ロシアの悪口を喚き散らし、停戦交渉に水をさすような発言をしている。ある評論家などは、ゼレンスキーは二人いるのではないか。一人は、ワルシャワあたりにいて、一人はキエフにいる。キエフにいるゼレンスキーは、停戦に積極的。ワルシャワにいるゼレンスキーは、米英の言うとおりに停戦に消極的。できれば、戦争をできるだけ長引かせたい。

ゼレンスキー大統領の矛盾した発言は、彼自身は「停戦」をしたいが、英米やNATOが承知しないのだろう。彼は、完全にまた裂き状態にあると思える。

NATO軍の将校の中には、対ロ戦の強硬論者もいるようなので、英米の意向とNATOの意向が嚙み合っているようだ。太平洋戦争の末期、陸軍幹部の中の強硬派は、「米軍が本土に上陸したら、国民の最後の1人まで戦え!」と主張した連中がいた。どうやら、NATOの幹部もそれに近いようだ。
まあ、ウクライナの国民の命で、自国の国民の命ではないので、そういう事を平気でいうのだろうが。

戦争というものは恐ろしいもので、こういう状況になると、強硬派が力を持つ。“竹やりで米軍と戦え”といったような無茶苦茶な精神論が幅を利かす。これが一番恐ろしい。

現在の世界の状況は、いつ【核戦争】=「第三次世界大戦」が始まってもおかしくない。この現状認識だけは手放してはならない。こういう時のニュースは、よほど注意しないと騙される。

日本も例外ではない。ロシア外交官の追放は、「わたしはあなたの敵ですよ」という意味。当然、ロシアは、報復を宣言している。

西側メディアが言うように、プーチン大統領が「狂人」で「悪魔」なら、戦争が拡大し、第三次世界大戦に発展したら、日本向けに核のボタンを押してもなんの不思議はない。

現在の水爆は、広島型原発の約62倍の威力がある。日本列島なら、4発で全国のほとんどが放射能に覆われる。

もし、首都圏に落とされたと仮定すると、以下のようになる。
・・・熱線と爆風だけで数百万人単位の死者が出るのは確実。熱傷などの被害も含めれば、首都圏の死傷者は1000万人を超えるでしょう」(別の防衛省関係者)・・・
・・・プーチンが狙う「日本の大都市」の名前…核ミサイル爆撃で起こる「ヤバすぎる現実」
被害範囲をシミュレーションした  週刊現代・・・・・・・

おまけに、日本には現在稼働中の原発が33機ある。もし、ここを狙われたら、日本国内の大半は放射能に汚染される。チエルノブイリ原発をロシア軍が占拠した時に、原発のもう一つの危険性に気づかいないようでは、自分自身のニュースに対する感度を疑った方が良い。
要するに、日本列島には人が住めなくなる、という話である。

ウクライナ可哀そう!ウクライナを助けろ!プーチン悪魔!などという情緒的な単純な発想で、国家としてウクライナ支援を続けることの危うさを核兵器の話は教えている。

ある皮肉屋のコラムニストは、「日本は銀座のママになれ!」と説いている。
一番の旦那である米国には、十分な媚びを売るのは当然だが、ロシアの髭男にも、嫌いなどというそぶりも見せず、上手にあしらわねばならない。でっぷり太った金持ちの中国には、揉み手の一つもして、気持ちよく帰ってもらわねばならない。
煮えたか沸いたか分からない八方美人的外交をすることが、国益にかなう、という説である。

たしかに、ウクライナの国民は本当に気の毒であり、できうる限りの援助の手を差し伸べることには異論はない。

しかし、一番重要なのは、日本のことであり、わたしたちの命と生活。これを守るためにはどうしたら良いか。わたしたちは、戦後初めて【国家】と【国民】の存亡の危機に立っている。文字通り、戦後最大の戦争の危機にたっている。

日本国民は今こそ自分の目で見、自分の頭で考え、自分自身で判断する能力を持たなければ、日本と言う国家の消滅の危機に立っていると考えなければならない。