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0917 劣化した国政との決別を! 笹井明子 2021/02/23 22:27:53
放送事業会社「東北新社」役員の菅首相長男らによる総務省官僚の『違法接待』問題は、当初言われた幹部4名に止まらず、総計13名の職員に及び、さらに現在菅首相の記者会見を仕切る山田真貴子元総務審議官・現内閣広報官も同様に接待を受けていたことが明らかになった。

政権中枢関係者への優遇といえば、安倍政権時代の森友・加計・サクラ問題がすぐに思い起こされる。これらの問題は指摘される都度、官僚らによる隠蔽・虚偽答弁や公文書改ざんが繰り返され、安倍首相自身は何ら責任をとることなく今日までウヤムヤにされてきた。

今回の菅首相長男の官僚接待の問題も、そうした図式の延長線上にあることは間違いなく、第二次安倍政権以降押し進められてきた強引な官邸主導政治が、政権の顔色を伺う「ヒラメ官僚」を生み、結果倫理感や責任感を放棄した官僚組織の現状を招いていることが、今再び明らかになった。

「すべての公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」の憲法条文を持ち出すまでもなく、行政=官僚は国の基盤を成すものであり、その組織の劣化は即、国力を弱め、国民生活を揺るがす脅威となる。

現に、コロナ禍において、使い物にならないアベノマスク、最悪なタイミングでのGoToキャンペーン、機能しないコロナ接触アプリCOCOA、と頓珍漢な対応が続き、望みの綱のワクチンの入手時期や接種の手続きで今また右往左往しており、私たちの不安はいつ果てるとも知れないが、これも、行政の劣化の結果と観るべきだろう。

一方、こうした苦々しい状況の中にあって、「身の安全」や「経済危機からの回復」のために、私たち国民自身は、日々「自助」「共助」の涙ぐましいほどの忍耐と努力を重ねている。

医師や看護師の身を粉にした尽力は言うまでもないが、この状況下で特に注目したいのは、稲葉剛さん(NPO法人東京つくろいファンド、ビッグイシュー基金)、大西蓮さん(NPO法人もやい)、奥田知志さん(NPO法人抱樸)等の、苦しむ人に寄り添った「ともに生き抜くための支援」活動だ。

貧困問題に長年取り組んできた彼らは、現在、コロナ禍で急増した失業やホームレス状態に陥った人たちに対し、食糧支援、医療支援、生活自立支援など、緊急に必要とされている救援活動に精力的、献身的に取り組んでいる。

日々呼び掛けられる支援実施のお知らせと、そこに集まった人たちの様子や、自立的生活に繋がったという報告をツイッター等で目にするたびに、彼らの活動に頭が下がり、人間の持つ本質的な暖かさに私自身も救われる思いもし、その一端を担いたいとささやかな寄付や署名などに参加させていただいている。

また、稲葉さんたちの活動は食料や衣類などの物理的支援に止まらず、権利としての生活保護の在り方を行政に糺すなど、法律に基づいた社会的働きかけも積極的に行って、生活苦に陥った人たちの誇りと人権を守る大きな役割を担っている。

2月22日に大阪地裁が出した「生活保護費の引き下げは違法」の判決も、彼らの粘り強い活動抜きには生まれなかっただろうと思うし、今の社会のうねりから今後他の地裁でも同様の判断が出されることを期待したいと思う。

さて現在、共産党を始めとする野党議員の多くにも、こうしたNPOグループと手を携えて、具体的、実践的な「共助」の一翼を担う姿が見られるようになっている。

野党には、モリ・カケ・サクラ問題や菅首相長男の「違法接待」問題などに象徴される行政の歪みを、国会の場で糺し、真っ当な議論を尽くして国民のための「公助」の政治を取り戻す役割が求められているのは勿論だが、今の非常事態にあっては、国民救済のための「共助」活動に参加して、実態解明と事態打破に積極的に関与することも、あって良いのではないだろうか。

今は国会議員であるかないかを超えて、国民と共に歩む人たちの輪を更に大きく広げ、国民の信頼、支持を原動力に、国民のための政治の基盤を確立し、秋の衆院選挙に向けた思い切った一歩を踏み出すことを、私は心から願っている。