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0857 エドワード・スノーデンの告発のキーポイント 名無しの探偵 2020/02/20 19:35:25
1、スノーデンの告発の経緯
スノーデンの独占インタビューに成功した小笠原みどりさん(著書)によれば、
「2013年6月5日、世界のメディアは英紙ガーディアンの香港発スクープに度肝を抜かれた。暴露されたのはアメリカ国家安全保障局(NSA)の極秘監視システム(プリズムと言われる;注)。NSAが米大手通信社ベライゾンの社内システムから、加入者数千万人の国内外通信履歴を無差別かつ大量に入手していたことを、NSAの機密文書によって暴露した。全米を揺るがす紙爆弾は紙、しかし、連続スクープの皮切りにすぎなかった。」という。
以下は、見出しの「すべての人々がテロリスト予備軍と見なされる社会」を具体的に裏付ける文章がつづく。

2、本稿では小笠原さんの著書(後記)とオリバーストーン監督作品「スノーデン」を直接見ていただければ分かることは避けて、スノーデンの告発が「なぜ、特に日本など同盟国の国民にとって重要なのか」を指摘することがライトモチーフ(目的)なのでそのポイント(要点)を早速明らかにしたい。

小笠原さんの著書で書かれていることで、特に重要な事柄(スノーデンの告発と警鐘)は、9・11事件以降のアメリカの「歴史的な転向」は表向きには「テロリストの動向を察知するので」監視システムは必要不可欠だと言っているが、実際には国民全体の動向(メールなどを通して)を監視することに重点移動している。

つまり、この国家権力の監視の「歴史的転向」は表向きに言い訳である「テロリスト」の監視は絶対に必要なのでこの監視システム(プリズムと言われる)が存在するというが、それは実態ではなくなっているということだ。その実態は全国民の監視と同盟国の国民(全体)にも及んでいるという転換点である。

それでは、実際にNSA(つまりアメリカの権力機関の監視チームのこと)が標的にしている監視対象は「誰なのか」ということが特に重要な問題を含んでいるのである。

NSAが監視対象にしているのは仮想敵国である中国などであると一般には思われているが、実はそれは違う。

アメリカ;NSAが監視対象として盗聴していたのは同盟国であるドイツや日本、イギリスなどなどであったということである。
この監視が暴露されて怒ったのはドイツ;当時のメルケル首相であったという。メルケル首相は抗議していた。
そして、日本も当然それを知らされたが、日本政府の抗議はなかったという。
具体的に盗聴の内容は日本政府がどういう政治的な方向を示しているのかを察知することである。安倍政権以前には日本政府はアメリカの意向には慎重であり、国民の監視システムなどは国法と抵触すると考えて、アメリカの意向(例えば憲法の改正や盗聴法の制定はできないなどである)には応じていないすなどの動向の「監視」である。

しかし、これが「歴史的転向」以後は大きく変化してくる。
スノーデンの警鐘によれば、安倍政権(第二次)が制定した「特定秘密保護法」はアメリカの「設計」であるという。
その目的は、表向きはテロリストの動向を察知してテロを未然に防ぐこととなっているが、しかしその実態はそうではなく、いわゆる「国家機密」(と政府が考える)を知った者(そういう立場にあるのはジャーナリストなどである)はそれを漏らしてはならないということになる。

そうして、新聞記者などが取材中に「国家の機密事項」に接してその記者がこれは政府が軍事的な行動いている機密だと判断する場合などを想定している。
なので、その記者はスクープとして記事にすることになるだろう。
しかし、特定秘密保護法があるのでその記者は逮捕されてしまうことになるのだ。

この「機密保護」の問題には日本の歴史では「前例」がある。

いわゆる沖縄返還にまつわる密約と核兵器持ち込み事件、西山記者の暴露記事問題である。
西山記者は外務省の公務員の女性から機密文書を取得したが、裁判では「公務員の女性と情を通じて、機密文書を盗む出した」とされて有罪になった事件である。

こうした前例を考慮するならば、「特定秘密保護法」によりジャーナリストの記事や取材は事実上も、法的にも大きく制約されることになる。それは偶然に「国家機密」に接してしまった民間人も同じことなのである。

最後に、ストーン監督の映画「スノーデン」で彼が警鐘していたことであるが、日本の同盟国でありながらも、日本は米国から大きな「爆弾」を仕掛けられているという映像シーンであった。

それは実弾の爆弾ではなく、仮に日本が米国の同盟国を辞める(フィリピンはそうした政治行動を起こした)と言い出した場合には、すべての日本のITは
「機能不全」を来すことになるだろう、と言っていることである。

なぜ、スノーデンはその「情報」を知っているのだろうか。
彼は横田基地で働いていて、表向きにはDELLの社員、実際にはNSAの諜報担当だったからである。それで、その「爆弾」の情報にもアクセスできたからである。
こうしてみると、第二次安倍政権下で、アメリカへの従属が強化されているが、それは安倍首相の「武器の爆買い」などのハードな側面ばかりではなく、日本自体の「監視国家」化のソフト面での進化が実はパラレルに進んできているということなのである。
「スノーデン」事件は終わった過去の事件ではない。全体主義国家:監視国家の真の顔を表に出したという現在進行形の「事件」なのである。

て(参考文献)小川原みどり著「スノーデン、監視社会の恐怖を語る」毎日新聞出版;朝日の元記者なのに毎日から本を出していることに注意を。

以上。