呼出完了
0830 もっと議論を積み重ねたい 2019/09/04 00:12:05
私たちは、情報を新聞、テレビ、ネットなどの媒体から手に入れる。
新聞を読む人が徐々に減って、テレビとネットだけという人も増えていると聞く。

テレビのニュースやニュースショーを見ると、ほとんどが事件や事故で占められている。
そして政治的なニュースは、海外の出来事か、韓国とのいざこざを煽り立てるようなものばかりが目に付く。

インターネットの情報は、国民の知る権利を広げた。新聞では得られないものがあるとの評価はその通りだと思う。

しかしその一方、自分の興味のあるニュースだけ、気に入った意見だけを偏って読んでいる人が殆どだろう。
人は、自分と同意見に惹かれるものだ。そればかり追って仲間で自画自賛していれば、世界を狭め、自分と同意見の人は、こんなにも多いのだと錯覚する。

国内政治に関するメディアの情報そして議論の少なさは危険だ。

例えば保育費の無償化は、一見良いことのように見えるが、低所得者層はすでに無償か、ごく少ない金額と段階的に決められており、無償化は裕福な家ほど恩恵を受けることになる。

それよりも、待機児童の解消や、保育士の待遇改善の方が必要とされているのだが、議論がなされなければ、その実態を国民が知ることは少ない。

増税でもそうだ。キャッシュレスなら…というが、キャッシュカードを持たない高齢者や貧困層の方が重税となる。生活が厳しく、声すら挙げられない人ほど、生活が厳しくなっていく。

そして、もっと大きな問題も無視されていく。安倍政権下の議員の発言の数々は、憲法に抵触するものも多いし、暴言も多い。

「表現の不自由展・その後」が中止された時の、管官房長官の発言は、憲法21条に保障された「表現の自由」に抵触する。

丸山穂高衆院議員は、北方領土に引き続き竹島についても「戦争で取り返すしかない」と憲法9条に抵触する発言。
管氏は、北方領土については「誰が見ても不適切」発言だったが、竹島については「発言は差し控えたい」であった。

そして自民党の改憲案の「9条への自衛隊明記」や「緊急事態条項創設」など、一見すると、「存在する自衛隊を書き加えるだけなら…」とか、「大災害の緊急事態なら、内閣がすぐに動くために必要」などと安易に思いかねない。

しかし、「自衛隊明記」は日本を軍隊を持つ国に変えることであり、「緊急事態条項」は、内閣が勝手に法を踏みにじって良いこととなり、独裁国家へのスタートとなりかねない。

2014年12月に施行された特定秘密保護法は、今はもう気にする人も少ないようだが、無くさない限り、国民の「知る権利」をいつ阻害するか、非常に不気味な存在だ。

こうしたことが国民的議論となるようにしなくてはならないと思うのだが、ゴシップネタばかりを追うテレビ、「忖度」して突っ込めない政治記者ばかりでは、日本の民主主義は死んでしまう。

民主主義国家なのに、一党独裁が続いて、官僚もメディアすら「忖度」しているうちに、なし崩しに憲法の中身が変えられ、国民が気付かない間に民主主義の腐食が始まっているのではないか。

メディアの膨大な情報は日々溢れるばかりだが、それこそ選択と思考が必要だ。重要な問題は流すのでなく、忘れ去るのでなく、何度でも議論の俎板に載せていきたい。