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0810 性差別と憲法ー映画「ビリーブ」と「RBG]を見て 2019/05/15 01:07:19
医学部入試の女性差別が明らかになったが、日本の女性差別は国会・地方議会の議員数(ともに女性は約10%)、会社役員数(約4%)、給与(2016年で男性平均521万円、女性平均280万円)など枚挙にいとまがない。

世界経済フォーラム(WEF)が出した世界各国の男女平等の度合い「ジェンダー・ギャップ指数」では2018年110位。G7の中では日本は圧倒的な下位を占める。

数日前、大勢の医師達と治療ガイドラインの作成会議に同席したが、50名を超える医師の中で、女医は僅か2〜3名だった。多数の論文を読んでエビデンスを求めなくてはならないが、日常の仕事に加えてのボランティア…となると、家庭を負っている女医は、まずは出来ないということなのか。
一方、患者家族は3人とも女性だった。家庭で患者を支える役目は女性なのだ。ここでも女性の置かれている立場を感じさせられた。

今、合衆国最高裁判事を務める女性弁護士ルース・ベイダー・ギンズバークの映画が2本、今上映されている。若き日の彼女の実話をもとにしたドラマ仕立てが「ビリーブ 未来への大逆転」、原題は「On the Basis of Sex」。

本人、夫や子供、友人たちへのインタビューによるドキュメンタリーが「RBG 最強の85歳」。ちなみにアメリカでは、有名人の中でもJFK(John F. Kennedy)、FDR(Franklin D. Roosevelt)のように3文字で呼ばれる人がいるが、彼女もRBG(Ruth Bader Ginsburg)と呼ばれ、敬愛されているということ。

1958年、ハーバードの法学院に入学した500人の学生の中で女性はたった9人。女子学生たちは奇異の目で見られ、教授にさえ差別的な言葉を掛けられる。

夫の仕事でコロンビア大学に転校したルースは、優秀な成績で卒業したにもかかわらず、「女性だから」という理由で弁護士事務所に勤められない。
大学でジェンダーと法について学生たちに教えながら、子供を育て、研究を続ける。

そして皆が「100%負ける」という、性による差別を問う裁判で法廷に立つ。
同じ職場の男性たちよりも給与が低かった女性、妻の出産時の死で、乳児を育てることに専念した男性に出なかった育児手当、男性のみのバージニア士官学校に入学を希望する女性…こういった性による差別を、RBGは憲法に基づいて指摘し、正していく。

「憲法」が尊重され、生かされる裁判。人権、職業選択の自由、そういった人間の基本的権利に憲法が現実的に機能していくことに心を動かされた。アメリカはそうして1960年代は人種差別、1970年代は性差別を、憲法にある平等のもとに正してきたのだ。
いい加減な「拡大解釈」で、憲法を蔑ろにさせてはいけないとつくづく思う。

性差別は酷い、正さなくてはと思う人、不平等をそのままにしてはならないと思う人、そして「憲法」を私たちはどのように生かすのか知りたい人、この2本の映画をぜひ見てほしいと思う。