呼出完了
0806 日本社会存廃の危機! 流水 2019/04/14 11:24:30
(1)実感的階級論(やり過ぎる日本人の特性)

もう数年以上前になるが、この掲示板で日本はもはや「階級社会」に入ったのではないか、と指摘した。わたしはただの市井の一老人。緻密な学問的背景や数値などは持ち合わせていないが、日本の現状は「格差問題」などという生易しい状況ではないと感じていた。

この皮膚感覚は、日本社会の特質から感じ取れる。戦前も戦争中も戦後社会でもそうだが、日本人は、往々にしてやりすぎる。「過ぎたるは及ばざるがごとし」で、やり過ぎは、何もしないよりも始末が悪い。

戦争中で言えば、「お国のため」と言えば、多少どころか相当な理不尽も許された。戦争中の様々な記録を見れば一目瞭然。戦後では、「24時間働きますか!」 のCMに象徴される猛烈社員たちの人間業とは思えない働き方。

そして、このやりすぎの担い手が普通の庶民だと言う点も今も昔も変わらない。人という生き物は、国のお墨付きがあれば、何でもやりすぎぐらいやってしまう。

わたしの経験で言えば、「詰め込み教育」時代は、それこそ徹底的な「受験教育」が行われた。ある中学では、受験のための補習授業が部活動が終了した(6時)後、夜7時過ぎから行われていた。学校には親が炊き出しのため当番制で詰め、子供たちに夕飯を食べさせた。補習は夜10時過ぎまで行われる時もあった。要するに、学校と塾が一体化したようなものだった。こういう学校を、人呼んで、【提灯学校】と言っていた。

毎日の宿題プリントは、一教科で優に5枚を超えていた。それが5教科毎日出る。教師たちは生徒を山羊と呼び、紙をたくさん食わせれば、合格する、と豪語していた。それこそ、徹底的な受験教育だった。

管理教育時代は、髪の長さから、スカート丈の長さまで物差しで測るほど徹底して管理した。1mmの誤差も許さないぞ、と言うくらい徹底していた。「人権」などと言う大切な概念すら忘れ去られていた、と言って良い。

日本人はこのように往々にしてやりすぎる。

現在の時代で言えば、防犯カメラから監視カメラまで、日本中膨大な数のカメラが接置されている。それこそ一億総監視社会が到来している。人権を叫ぶ人たちもあまり問題視しない。だから警察の捜査もカメラの捜査が中心になる。おかげで逮捕されるケースも多いが、地道な捜査をする捜査スキルや人の話などから真実をかぎ取る刑事の職人的な鋭敏な感性などは、退化する一方だろう。

小泉政権時代に、わたしは、新自由主義思想それ自体も大反対だが、新自由主義的やり方を導入したら、日本人は必ずやりすぎて、取り返しがつかなくなるから、さらに大反対だと書いた記憶がある。

案の定、現在の日本社会。「格差」どころか、完全な「階級社会」へと変身した。日本人のやりすぎ傾向は、時代が変わっても治らない。何かを変えるときには、この点を配慮しすぎるくらい考えなければならないと思っている。

(2)橋本教授の【階級社会】論

このような、わたしの皮膚感覚を学問的に証明してくれた学者がいた。橋本健二早大教授である。2018年1月に出版された著書「新・日本の階級社会」(講談社現代新書)の中で、彼は「労働者階級」が正規と非正規労働者に分裂して出現した【下層階級】の存在を可視化した。英語で言えば、アンダークラスである。

「一億総中流化」と言われた時代に生きてきたわたしたちの世代感覚から言えば、アンダークラス(下層階級)などという言葉自体になじみがない。ある程度恵まれた高齢者の意識がこの現実に追いついてゆけないのは、彼らの過ごした時代の世代感覚にある。

彼の定義から言えば、アンダークラスとは、パート主婦を除いた非正規労働者を指す。槁本氏の問題意識は、バブル崩壊以降、爆発的に非正規労働者が増えた。ところが、政府統計などでは、余剰時間を利用し、家計を助けるために働くパート主婦も含まれ、その実態が覆い隠されていた。日本の貧困を解明するためには、貧困から抜け出せない実態を解明する事が重要な課題になっていた。橋本氏はその実態を明らかにしたのである。

槁本氏は、近著「アンダークラス−−新たな下層階級の出現」(ちくま新書)で「現状を放置すれば日本社会は危機的状況を迎える」と警告を発している。

彼は、こう警告している。“日本には928万人のアンダークラスが存在し、就業者の14・9%を占めた。平均個人年収は186万円”だそうだ。

928万人という数字は恐るべきものだ。要するに労働者人口の6・5人に1人が年収186万円以下、と言う事になる。186万円と言う事は、月収15万前後と言う事になる。

このデータは、「2016年首都圏調査データ」等なのだから、2019年現在は2年間経過している。現実は、これ以上に悪化しているのは確実だ。さらに言えば、首都圏以外の地域では、年収は186万円にはるかに及ばないだろう。

さらに付言すると、この2年の物価の上昇は半端ない。(わたしはこ数年、妻と一緒に買い物をしている。その肌感覚からすると、10%に近いのではないか) 近所の年金生活の奥さん連中の愚痴は尽きる事がない。

さらに、今年に入り、10月の消費税10%前に食料品を中心に約800品目の値上げがなされている。こんな状況下で今年の10月ごろから消費税が10%に上がる。下層階級(アンダークラス)が抜け出せるはずがない。

(3)中高年の引きこもり問題と多死社会日本

もう一つ、以前から指摘し続けている問題がある。それは、決して統計など表には出ない【中高年の引きこもり】問題である。推定で言えば、全国で約61万人ともいわれている。
https://www.fnn.jp/posts/00044620HDK

上のサイトでの問題点に加えて、中学・高校時代のいじめ、不登校などが嵩じて、「引きこもり」になった人も多数いる。彼らは、就職するには、学力も学歴もスキルもキャリアも不足している。そういう彼らを支え続けていたのが、家族(両親)。しかし、その両親も高齢化し、続々と死去している。

何度も言うようだが、1年の死亡者数が100万人を超えて久しい。高齢化率が28%に達した日本は歴史上例を見ない多死社会を迎えつつある。2018年の死者数は137万人。団塊世代がすべて後期高齢者入りする2025年に150万人を超え、2040年にピークに達する(168万人)との予測がある。2018年の死者数は出生数(92万人)の1.5倍となったが、今後この比率が3倍にまで拡大する可能性がある。

戦争以外で150万人を超える死者が出る信じられない時代の到来である。
https://nenji-toukei.com/n/kiji/10012/%E6%AD%BB%E4%BA%A1%E6%95%B0

高齢者たちのこれからの大きな課題は、「死の質」=Quality of Death(QOD)をどう高めるかにある。死をもたらす要因が、突然の病よりガンなどによる「緩慢なる死」の方が多くなった現在は、自らの死をプロデュースできる範囲が大きくなっている。自らの生にどのような形で区切りをつけるかが、多死社会日本の大きな課題だろう。

しかし、自らの子供や家族の中に「引きこもり」を抱え込んだ高齢者は、そんな悠長な老後を送れない。自分の命の続く限り、「引きこもり」の子供を立ち直らせたい、と願っている。

つまり、中高年の「引きこもり」が大きな社会問題として浮上しなかったのは、このような高齢層の両親・家族の支えがあったからである。これが両親の他界とともに大きな社会問題として浮上してくるのは火を見るより明らかだ。

この事実に普遍性を持たすと、現在の高齢層が戦後懸命に働いて蓄えた財産によって辛うじて地方や家族の崩壊を食い止めているが、その歯止めが失われつつある現在、日本社会の崩壊が現実のものになりつつある。

彼らは、中高年。働いていないのだから、収入もなければ、年金もない。あるとすれば、親の遺産ぐらいだろう。もう5年もすれば、かれら引きこもりの問題が大問題として浮上してくることは間違いない。

その萌芽がここ数年ニュースでよく聞く家族間トラブルによる殺人事件の増加である。親殺し、子殺し、祖父、祖母殺し。ニュースを聞くたびに何とも言い難い苦い思いが胸をよぎる。

これに加えて、2019年から入管法が改正された。海外の移民労働者が急増すると、【下層階級(アンダークラス)】労働者の増加は避けられない流れとなるだろう。つまり、下層階級の比率が、15%前後から間違いなく20%を超える勢いになる。

これに消費税10%が追い打ちをかける。これが下層階級(アンダークラス)に与える影響は想像するだに怖ろしい。

当然ながら、年金生活者に与える影響も甚大。医療・介護・保険などの値上げも直撃する。「役立たずで、無駄飯くらいは早く死ね!」社会の到来である。

(4)世界的リセッションの可能性大

この状況下で世界的なリセッション(景気後退)がくる可能性が高い。経済学者金子勝氏は以下のように書く。

・・「アベノミクスの冷静な検証が必要だ。国債金利の下落は日銀による約470兆円もの国債買い入れ、マイナス金利まで導入したからだ。その弊害で銀行収益が猛烈に圧迫されている。2018年4〜12月期決算で地銀の8割超が減益に苦しみ、3行は赤字だ。

 東京五輪前に不動産バブルが崩れる危険性があり、米中貿易戦争や英国の合意なきEU離脱などのバブル崩壊要因もある。その場合、リーマン・ショックとは異なり、地銀が引き受け手のない形で次々に倒れる戦前のような金融危機が想定される。政府は慌てて同一県内の地銀合併を認める独禁法見直しを打ち出したが、株価が暴落すれば24兆円超のETFを抱える日銀自体も債務超過に陥りかねない。日銀は政策金利誘導も量的緩和も預金準備率操作も使い果たしている。

 さらに産業衰退が著しい上、貿易赤字が定着化している。少子高齢化とともに貯蓄率も下がり、産業競争力も衰えていけば、海外投資の収益もやがて減少する。中長期的な日本経済の破綻経路も浮かび上がる。

 要するに、3代目のバカボンボン社長が忖度する取り巻きで周囲を固め、公文書や統計の改ざんによる粉飾決算でデタラメ経営をゴマカし、サラ金通いで宴会を続けているような状態なのだ。まさに潰れる会社の典型的パターンだ。」・・・日刊ゲンダイ 
http://www.asyura2.com/19/senkyo259/msg/486.html

安倍内閣のやりすぎは、「自分は間違っているかも知れない」という外から自分を眺める客観的視点=【知性】の欠如からきている。人間がしてはならない事をしてはならないという【節度】がない。

さらに致命的な欠陥は、この政権には、人間的な【感性】と【想像力】がない。桜田復興担当大臣が馬鹿な失言で辞任したようだが、桜田大臣だけではない。沖縄の基地問題を見れば、この政権には、人としての感性や想像力が根本的に欠落しているのではないか、とすら思えてくる。

【知性】や【節度】や人としての「感性」と「想像力」が決定的に欠落した【統治】は、近代国家では致命傷。日本国民が惰眠をむさぼっている間に日本の存廃の危機が目の前に迫っている。

野党は、もう一度、上記のような国民生活の現状を踏まえて、野党勢力の結集を急ぐべきである。