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0803 「幸福度ランキング」から日本の政治、社会を見る 笹井明子 2019/03/27 22:39:06
国連がまとめた「世界の幸福度ランキング−2019」が3月20日に発表され、日本の「幸福度」は世界156か国中58位、G7(主要7か国)の中で最も低いという結果でした。

「幸福度」は、『1人当たりのGDP』、『健康に生きられる年数』、『社会の自由度』、『他者への寛大さ』、『社会的支援』、『政府やビジネスにおける腐敗のなさ』、などを数値化したもので、今年度、日本は『健康に生きられる年数』がシンガポールに次いで2位、『1人当たりのGDP』が24位と比較的上位にある一方で、『政府やビジネスにおける腐敗のなさ』は39位と微妙な位置に、そして『社会的支援』は50位、『社会の自由度』は64位、『他者への寛大さ』は92位と低迷しています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190321/k10011855631000.html

これ等数値が示す状況は、私たちが日々暮らしの中で実感している今の日本の政治・社会状況と齟齬はありません。

例えば、安倍政権は、「社会保障費はこの6年間で4兆円カット」「国民年金は年間4万円、厚生年金は年間14万円減額」「高齢者の医療負担費額引き上げ」「特養ホームの入所制限」など、消費税増税の根拠だったはずの『社会的支援(社会保障)』を縮小させる政策を採り続け、私たちの暮らしは年々苦しくなってきています。
http://news.livedoor.com/article/detail/16222388/

『社会の自由度』についても、大学入試や就職における女性差別、常態化する非正規雇用、政府の不誠実な答弁、嘘や改ざん、不祥事に対し堂々と批判できないメディアの状況など、自由の欠如の例は枚挙にいとまがありません。

そして、社会的支援の削減や、自由に生きられない社会が齎す息苦しさが、ヘイトクライムや、政党や特定個人に対するバッシングとして噴出し、テレビやSNSの煽りとあいまって、『他者への非寛容』が社会を覆い人々の心を蝕んでいるように見えます。

今はそれでも国民の忍耐強さによって何とか治安も維持されていますが、最近のアポ電強盗や多発するレイプ事件、子供への虐待、職の無い成人した子供による親殺しなど、社会の歪み、荒みを感じさせるニュースが後を絶ちません。事態の深刻化、治安の悪化が懸念されます。

27日午後、2019年度予算が参院本会議で自民、公明などの賛成多数で可決、成立。一般会計総額は7年連続で過去最大を更新し、今年度は100兆円を超えたといいます。
https://www.msn.com/ja-jp/news/national/%EF%BC%91%EF%BC%99年度予算が成立%EF%BC%9D初の%EF%BC%91%EF%BC%90%EF%BC%90兆円超%EF%BC%8D与野党、選挙態勢に/ar-BBVhcWa?li=AA570j&ocid=spartandhp#page=2

主な要因は、10月の消費税増税に伴う景気対策としての、キャッシュレス決済向けポイント還元やプレミアム付き商品券などに計2兆280億円、防衛費は「イージス・アショア」の配備などを盛り込み過去最大の計5兆2574億円。かろうじて社会保障費といえるのは幼児教育・保育の無償化ということですが、「国民の幸福度」への視点とは程遠い、何ともピントのずれた政府施策だと、今さらながら失望を深めずにはいられません。

折しも、間もなく統一地方選が行われ、夏には参議院選が続きます。私たちは、このチャンスを無にすることなく、政治の本来の使命はその国に暮らす人々の幸せを保証することだという大原則を明確にし、生活者に真に寄り添う政党や政治家を、大きく強く育て、国民の相互不信や、多様な国の人々への排他性を党利党略に利用するような政治にきっぱりと別れを告げたいと思います。