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0790 世界の未来は?(2) 流水 2018/12/18 10:16:35
(B)国際情勢の変化とそれに伴う政治的変化

経済的変化(下部構造の変化)の潮流は、必ず上部構造である【政治】【思想】【文化】の変化となって表れる。だから、政治や文化の潮流の変化を子細に追っていけば、必ず経済的変化に行きつく。

もし、現在の日本の政治や文化、言論状況が、啄木が主張した【時代閉塞状況】に陥っているとしたら、日本の経済が閉塞状況に陥っている証左だと考えなければならない。

その視点で世界の政治状況を見てみると、明らかに唯一の【覇権国家】としての米国一強時代は確実に終焉に向かいつつある。

★米中貿易戦争

例えば、米中貿易戦争である。G20での会談で一時休戦をしたようだが、本質的解決はしていない。トランプのツイッターでの呟きや、米国の要請によるカナダでのファーウェイ副会長の身柄拘束など波乱要因が目白押し。早速、ファーウェイ副会長逮捕の報復として、中国はカナダ人二人を拘束した。

米国は、ファーウェイのスマホや通信機器などで中国当局に情報が盗み取られると警戒しているようだ。その理由で、同盟各国にファーウェイ製品を使用しないように要請している。

「盗人 猛々しい」という言葉がある。こういう手口はこれまでのアメリカの常套手段。オバマ大統領の時、ドイツのメルケル首相の携帯が、CIAに盗聴されていたという話が公になった。「同盟国まで盗聴するのか」とメルケル首相がたけり狂い、オバマ大統領が謝罪に追い込まれた。これがアメリカのやり口。

まあ、諜報の世界では、同盟国であろうとなかろうと、この程度の盗聴は当たり前。各国の大使館では、盗聴されているという前提で、大使館内の会話が行われている。

だから、アメリカの言い分は、「俺たちの盗聴は当たり前。しかし、俺たちを盗聴するのは許さない」という論理に過ぎない。特許獲得件数はファーウェイがダントツの世界一。第二位がZTE。いずれも中国企業。ここで頭を押さえておかないと、アメリカが完全に負けてしまう、というわけ。特に5Gと呼ばれる次世代の情報技術では、アメリカは確実に中国に後れを取っている。この危機感は半端ではない。

【江戸の仇は長崎で】という言葉がある。江戸での恨みを江戸では晴らせないので、長崎で恨みを晴らす、と言う意味。武家社会では、身分制度の壁でこの種の恨みが蓄積したのだろう。

アメリカのやり方は、IT産業競争で中国に負けそうなので、純粋な経済競争ではなく、安全保障を絡めた【諜報戦争】に引きずり込んで、世界でのファーウェイのシェアー拡大を阻止するというものだろう。経済での劣勢を政治の力で捻じ曲げようと言うわけである。

これは誰がどう見てもアメリカのやり方は筋が悪い。この辺りを見ていても、アメリカの覇権の揺らぎが見て取れる。

このように見てくると、グローバル経済の足元が完全に揺らぎ始めている。グローバル経済がグローバル経済であり続けるためには、世界最適調達・世界最適生産・世界最適販売という三条件をクリアーし続けねばならない。

アメリカ企業が圧倒的力を保持し続けている間は、このシステムはきわめて有効だった。ところが、ファーウェイなどは、今やアメリカ企業を完全に凌駕し始めている。

先の投稿の「米中貿易戦争」でも指摘したが、今や米国国内の格差は無視できないほど広がってしまった。アメリカ国内のホームレスは世界一。貧富の格差は世界一。国内の貧困対策はもはや無視できないほど深刻。トランプ大統領の【アメリカファースト】政策の背景は、このようなアメリカ国内の事情がある。

※世界を巻き込む中国と米国の貿易戦争
https://blog.goo.ne.jp/rojinto_goken/1

しかし、トランプ流の政策を強引に推し進めると、上記の、世界最適調達、世界最適生産、世界最適販売という、グローバル経済の秩序は、本物の解体へと向かっていかざるを得ない。

自国の自動車産業保護のため関税を上げるなどという政策は、結局、自動車などの主要産業は、一国産業という形態にならざるを得ない形に追い込まれる。【その国でつくり、その国で売る】という形態にならざるを得ない。

例えば、図体がでかく、ガソリンを湯水のようにまき散らして走るアメ車などは日本の風土に合わない。結局、アメリカの地域特殊性にあった車と言う事になる。これが様々な産業でも同様な形になる可能性が高い。結局、産業の多様性やエネルギーの多様性、多様なマーケティングなどに変容せざるを得ない。

世界中で安さ競争の血道を上げ(労働者の賃金が上がらない)、国境を越えて世界中を移動し、自分たちの利益だけは確保する、という国際資本の身勝手な理屈は崩壊せざるを得ない。国際資本の解体が視野に入り始めたのである。

★資本主義の未来

わたしたちはもう一度資本主義について考えなければならない時期に来ている。おそらく、資本主義というシステムは、一つ間違うと、専制政治、寡頭政治、軍国主義とファシズムに向かう可能性が高い。
基本的に非合理的で、反民主的傾向を持ったシステム。

特に、新自由主義的経済論は、時代の最先端の技術(ITやAI)を駆使して、労働者や弱者に対しては、非人間的で冷酷な極限の合理的環境(労働生産性などと呼ばれる)を作り出す。

ところが、それらの技術を使いこなす一握りの経営者・支配者(1%)には、弱者に適応される環境は適用されない。彼らの精神や行動は自由であり、何者にも縛られない。彼らの欲望は無限であり、逆に欲望の無限さが善とされる世界に住んでいる。

このメカニズムに支配されたシステムは、必然的に専制政治、寡頭政治、軍国主義、ファシズムに傾斜するのは当然である。

こういう社会では、経済が比較的順調に行っている時は、権力側(体制側)は余裕があり、国民に「自由民主主義」の幻想を与え、その活動を大目に見る。(かっての自由民主党政権)

しかし、経済が不調になり、体制がガス欠状態に陥る(バブル期以降の日本経済)とその影響は必ず国民を直撃する。生活に不安のある大衆は、現状に不満を持ち、世相が揺れ動き、不安が増幅される。

この大衆の不安を解消する手段を持たない体制側は、結局より強い問答無用な権力行使を行う。この一連の進行が現在のフランスの政治経済危機の中で行われている。16日のデモに対するマクロン大統領の弾圧は、もはや彼が民主主義的方法をとるだけの余裕がなくなっている事を如実に示している。

表面的な経済数値とは別に生活レベルでの何十年にもわたる経済緊縮と大量な貧困者の増加が、西欧諸国では、資本主義がもはや「自由民主主義」の顔を失いつつあることを示している。水野和夫氏の「資本主義終焉論」や「会社終焉論」もこの文脈で考えなければならない。

誰しも人間らしく生きたい。その為には、人権が大切にされる社会を構築しなければならない。まっとうな仕事と給料をもらえ、毎日の生活が安心して送れる社会を望んでいる。税金を払うに値する公共サービスが提供される事を望んでいる。

これらが失われた社会やシステムに人々は怒っている。これらが満足に提供されず、一握りの人間(1%)の自由と人権だけが尊重されるシステムに対して怒っている。99%の人間一人一人が、ささやかに生きる希望が失われる事を怒っている。これが国際関係に大きな影響を与える。

例えば、国際資本の上に「国際金融」システムがある。トランプ大統領が指名したFRB議長ジェローム・パウエルは、さらに金利を上げていく予定だと言われている。‥ウイキペデイア;
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%83%91%E3%82%A6%E3%82%A8%E3%83%AB

FRBの利上げは、国際金融資本にとってマイナス材料。金利の安いお金を使って、国債資本は、株や債券などを買い、大きな利益を出してきた。

日銀の黒田総裁の「異次元の金融緩和」政策は、FRBが利上げをしやすい環境づくりのため。国際資本が米国で調達しにくくなった資金を日本で調達しやすくするため。要するに、黒田総裁が胸を張った異次元金融緩和策は、日本国民のためではなく、FRBの金利引き上げ環境の整備と国際資本の金儲けのためである。

結局、日銀は、GDPより多い500兆円に及ぶ債券を保有してその出口すら見つかっていない。このままでは、早晩行き詰まる事は明らか。きわめて危険な水域に達している。

さらにもう一つの危機は、アメリカ国民の家計の問題である。アメリカ国民の借金体質はつとに有名。FRBの金利引き上げは、即アメリカ国民の借金の金利が上昇する事を意味する。金利が上がれば上がるほど借金が払えなくて、破産する国民が増加すると言う事。国民生活も大変だが、同時にこれは金融機関を直撃する。金融機関にとって往復ビンタを食らったようなものだ。

その為、FRBの利上げがこれ以上続くと、国際金融資本の秩序それ自体が解体の危機に瀕する可能性が高い。その可能性が高まった時に、FRBが緊急利下げをすると、猛烈なドル安の嵐が吹きまくり、世界の金融システム(ロスチャイルド家が張り巡らしたシステム)が崩壊する可能性大。トランプが目の敵にしているウオール街とイギリスのシティが力を失う可能性が高まっている。

当然、この国際金融資本と深く結びついている軍産複合体(いわゆる戦争屋)の没落も加速する。世界から米軍の撤退という事態も夢ではない。反戦運動よりもこのやり口が有効なのかも知れない。

世界の未来(3)

★中東情勢の変化

中東問題はあまりにも複雑で良く分からないというのが大方の意見だろう。様々な要因が複雑に絡み合って一筋縄ではいかない地域である。ただ、幾何の問題でもそうだが、この複雑な地域の問題も、一本の補助線を引くことによりくっきりと見えてくる。ではその補助線と何か。

◎アメリカは、二つある。・・・⇒この勢力争いが問題を複雑化する⇒これが補助線

(1)トランプ大統領の命令を聞く米軍とCIA⇒ 応援団としてプーチン大統領
(2)トランプ大統領の命令を聞かない米軍とCIA⇒応援団としてポロシェンコ大統領(ウクライナ)

先日亡くなったパパ・ブッシュ時代に湾岸戦争が起きた。日本はその時1兆円以上の金を出した。しかし、「日本は金だけ出して血を流さない」といわれ、国際的な評価が低かった。外務省はこれがトラウマになり、ブッシュ・ジュニアのイラク戦争の時、時の小泉政権は、自衛隊をイラクに派遣した。

実は問題はそこにはなかった。これは外務省の巧妙な世論誘導。本当の問題は、日本が出した1兆円以上の金の行方が全然分からないところにあった。米軍の戦争予算のどこかに組み込まれたのか、それともCIAの秘密資金に組み込まれたのか。米軍の戦争資金というのは、ほとんど藪の中。

米軍やCIA予算の訳のわからなさは、日本が米軍の払い下げ武器を米国の言い値で買っているところに垣間見える。たしか米下院で「日本に米軍の中古武器を売れば儲かる」という発言があったようだ。日本に対する米国の意識が垣間見える発言である。軍産複合体の危機醸成により、武器が高騰する。きわめて有効な金儲け戦術。これが本質である。

何を言いたいかと言うと、CIAの予算は、政府の出す公式な予算のほかに膨大な秘密予算があると言われている。日本の出した1兆円のお金もこの秘密予算に組み込まれたのではないか、という疑いが拭いきれない。

世界で起きている危機の多くには、必ずと言っていいほど米国の影が見える。世界中の紛争や危機に関与するだけのお金がどう調達されているかは、基本的に秘密のベールに包まれている。

◎影の政府

戦後長く続いた米ソ冷戦体制下、大統領の指揮下にない軍とCIAやそれに関連する企業・産業群が巨大な力を持つようになった。いわゆる軍産複合体と呼ばれるものである。

これが【影の政府】と呼ばれるものである。そこに多国籍企業(国際資本)などが金儲けのために集まってきた。アイゼンハワー大統領が最後の演説で軍産複合体の危険性について警告を発したが、時すでに遅かったのである。

イラン・コントラ事件が象徴的で、彼らは、金儲けのためには多少の法を破る行為も辞さなかった。

※イラン・コントラ事件 (ウィキペディア)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%A9%E4%BA%8B%E4%BB%B6

サウジ王室の事件が象徴的だが、トランプ大統領は、あまり追及せずに幕引きを図ろうとしている。しかし、CIAはムハマンド皇太子の責任追及をしている。アメリカ政内の勢力争いの構図が中東で表れている。

現在のシリア情勢、イラン問題、南オセチア問題、サウジアラビア問題、イスラエル問題(首都移転)など中東の情勢は複雑怪奇の一言に尽きる。戦争なしにこれらの問題が解決するかはきわめて不透明。ただこの問題の根源には、米国内の二つの勢力の勢力争いがある。

中東の現実は、もはや論議ではなく、武器の戦いになっている点にある。サウジアラビア、イスラエル、バーレーン、UAEなどが、崩壊の危機にある。この勝負の行方は、ほとんど見えている。トランプ側の勝利。トランプの後ろにプーチンがいる。この二人を相手にして、金儲けが目的の軍とかCIAに勝ち目はない。それだけロシアの武力はアメリカを完全に凌駕している。

・・「 ロシアには兵器システムでアメリカが到底かなわない遥かに能力の高い軍がある。アメリカは負債に溺れており、ワシントンが他国に課している非合法で無責任な制裁は、世界最大の国を、世界準備通貨としてのアメリカ・ドルや、SWIFTのような欧米の決済システム離れを促進している。アメリカは墓に片足を突っこんでいる。アメリカと同盟するのに十分愚かなあらゆる国は、死にゆく者と同盟しているのだ。
 
陸軍元帥のアイゼンハワー大統領は、57年前、政府を支配するアメリカ人の能力に対して、軍安保複合体は脅威だとアメリカ人に警告したが、効果はなかった。現在、軍安保複合体が政府なのだ。

ウド・ウルフコッテが著書『Journalists for Hire: How the CIA buys the News(お雇いジャーナリスト:CIAによる報道買収)』で説明したように。だが、ドイツの書店でドイツ語の中古本を見つけられないかぎりそれは読めない。CIAが、公式の説明から自立したジャーナリズムが、もはや欧米に存在しないようにしているのだ」・・・
(自身の利益に反する形で世界秩序を変えつつあるワシントン)
Paul Craig Roberts (マスコミに載らない海外記事) http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2018/12/post-77e0.html

現在イスラエルはほとんど封じ込められた。過激派のネタヒエフ首相は、汚職の捜査で力を失いつつある。

日本ではあまり知られていないが、戦後建国されたイスラエルに入植(キブツ)した多くのユダヤ人は、ロシアのコーカサス地方に住んでいた。現在のウクライナに住んでいたユダヤ人も多かった。だから、イスラエルはウクライナとの関係には敏感。ヤヌコビッチ前大統領追放にもイスラエル(特にモサド)は相当深く関係を持っていた。

ロシアとの緊張関係を深めるというのは、ネオコンの基本戦略。ウクライナのNATO接近もこの文脈で読み解ける。(ウォルフォウィッツの世界制覇の基本戦略が実行されている)

ポロシェンコ大統領がクリミア半島でロシアとの緊張を煽っているのも、彼が(2)のトランプ大統領の言う事を聞かない軍とCIAの側に属しているからである。

どの国でもそうだが、国の顔である大統領や首相と議会などの意見が食い違う場合がある。どの国の首脳も、外交関係を決定的な危機に陥れるような言辞はできるだけ慎むのが当たり前。本音の部分は、議会での議論などに現れる。

サウジアラビアに対するアメリカの立場もそう。トランプ大統領はサウジとの決定的な関係の亀裂をさけるため、皇太子の犯罪をそうだと決めつけて批判しない。それより、大量の武器購入をしてくれるサウジとの関係を優先するというわけ。

米議会では、CIAが皇太子が黒幕である状況証拠を並べている。CIAの思惑は、トランプの行動を制御しようとしているのだが、同時に軍産をもうけさせてくれるサウジとの決定的な亀裂を避けようとしているトランプ支援の意味合いもある。本音の部分では、サウジを困ったやつだと思っている。

どちらにせよ、サウジの国際的信用はがた落ち。政権に対する批判者を暗殺してしまうような国家は信用できないというのが国際的評価。原油価格も50ドルを超えなければ、サウジなどは国家経済が維持できない。

さらにサウジアラビアの武器購入目的は、南イエメンの内戦介入のため。イランも南イエメンに介入している。この南イエメン内戦介入による人道被害は甚大。一説によれば、世界最悪レベルともいわれている。

サウジ王室の強権体質が明らかになるにつれ、南イエメン内戦に対するサウジへの批判が高まるのは確実。もはや、サウジアラビアは、イエメン内戦では勝てない。サウジアラビアの凋落は避けようがない。と言う事は、もう一方の内戦当事者を支援しているイランの勝利と言う事になる。

トランプ大統領登場以降、サウジアラビア・バーレーン・UAEなどが、米国軍産複合体(戦争屋)とイスラエルと結びついている事が明白になった。こういう構図が明らかになればなるほど国際社会の信用はがた落ちになる。もはや、これらの国々の凋落も避けようがない。「親亀がこけたら、小亀、孫亀みなこけた」状況になるのにそんなに時間はかからない。

ではその後の中東はどうなるのか。北からはイラン、西からはトルコ。それらすべてに影響力を行使するのがロシア。米軍は撤退という図式になりそうだが、まだまだ(2)のトランプ大統領の指示に従わない米軍やCIAの勢力も強いので、もう一揉み、二揉みありそうだ。

アフガニスタンもトランプ大統領は米軍を撤退させる意向だ。米軍司令官が「もはや勝つ見込みがない」と言っているくらい、情勢は良くない。タリバンの優勢は確実。ブッシュ・ジュニアが始めた戦争だが、米軍は、十数年をかけて一体全体何をしたのか、誰にも答えられない。ただ、多くの人命が失われ、人々の生活は破壊され、国土は荒廃し、人心も荒廃し、残るのは憎しみと恨みだけ。

戦争によってアフガニスタンが獲得したものなど何もない。アフガンの人々から言わせると、「誰がこの責任をとるのだ」という話である。戦争が金儲けの手段である軍産複合体の戦争の結末である。彼らがアフガンで犯した罪は、一言では言えないくらい重くて深いと言わざるを得ない。

◎アジアの変容と日本

金融の変化、それに伴う軍産複合体(戦争屋)の凋落、世界的な安全保障の世界の変質も見え始めた。特にアジアの緊張要因だった北朝鮮と米国の会談はいずれ大きな変化をもたらしてくる。ここでもトランプ大統領の言う事を聞く米軍とCIA。聞かない米軍とCIAの綱引きが激しい。

日本の安倍政権は、米国と北朝鮮の関係回復、朝鮮半島の平和回復などは決して望まない。朝鮮半島の緊張激化こそ、彼らの主張のよりどころ。何が何でも北朝鮮は緊張激化に動いてほしいと願っている。

日本は(2)の言う事を聞かない米軍とCIAの側の影響力が大きく、メディアの論調はトランプ大統領を誹謗中傷する意見が多いが、アジアの安全保障環境の変化は必至。

日本の防衛大綱の改編や米軍武器の大量購入、実質的空母の建造は、この変化を嫌う(2)の言う事を聞かない米軍とCIA側の影響が大きいと言わざるを得ない。この決定が、世界の潮流にあっているかどうかは、きわめて怪しいと言わざるを得ない。

世界的に見れば、新自由主義の終焉(資本主義の終焉まで視野に入り始めている)や国民国家の解体も想定内の出来事として考えなければならない時代に入った。

そんな世界情勢の中で、2019年は、一周遅れの新自由主義的政策を強行し続けている安倍政権は何を考えているのか、真に問われる年になる事は確実である。

さらに言えば、これからは、世界的に反グローバリズムの運動が燃え上がるにちがいない。現に、フランスの運動は、ベルギーやオランダに飛び火している。

これに加えて、労働運動が燃え盛るに違いない。日本の連合のように企業の回し者のような「ダラ幹」が支配する労働組合は労働者から見放される時代に入る。これから生き残ってくる労働組合は、本物の戦う組合だけになるだろう。戦わない労働組合に組合費を払って幹部の生活を保障する余裕などない。

「連合」と彼らの支援を当てにする国民民主党などの体たらくは、労働者の願いを実現するものではない。もはや彼らは駆逐されるべき存在に成り下がっている。

貧富の格差が一段と激しくなり、移民政策により、安い外国人労働者の雇用が進むと、生活権を脅かされる日本人労働者たちもいつまでもおとなしく出来るわけがない。様々なところで、労働争議が激しさを増さざるを得ない。そうなると、企業の経営者たちにも相当な覚悟が求められる時代の到来だろう。ただ偉そうに労働者を顎で使える時代の終わりはすぐ傍に来ている。

ピケティは次のように語っている。
『このような資本主義の下では横暴で持続不能な不平等が一人で生まれる。その不平等によって、民主的な社会の基盤である能力主義的な価値観は根底から崩れる。』・・・

ボールは強く叩きつけると大きく弾む。これまで、労働者を奴隷のごとく扱ってきたのだから、その反動は生半可のものではない。

そして世界的規模での価値観の大転換が起こり始めると、これは簡単には終わらない。おそらく、10年単位で世界中が変化し始める。

この変化についていけない国は、必ず没落する。そしてこの変化を先取りした国家が、21世紀を生き延びる。

安倍政権の一周遅れの新自由主義的政策の結果、日本は没落する国家になる事は確実であろう。日本人は、「馬鹿な政府を選択した国民が馬鹿」という真実を身に染みて感じなければならない日も近い。