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0777 沖縄県知事選、玉城デニー氏勝利 笹井明子 2018/10/02 00:25:20
沖縄県知事選挙は、連日の激しい攻防戦の末、玉城デニーさんが史上最多得票を獲得。佐喜眞淳候補に8万票以上の差をつけて見事に勝利を果たした。

投開票当日の昨日(9/30)は、私も投票締め切りの午後8時から玉城陣営の様子をネット中継で見ていた。NHKが「当確」を出した9時半過ぎまでの長いことに、会場に集まる支援者同様に、私もじりじりした思いだったが、結果が出てみればデニーさんの圧倒的な勝利。

歓喜に湧き立つ支援者と、若者と共にカチャーシーを踊って全身で喜びを表すデニーさんの姿を見ながら、「本当に良かった!」という安堵と心からの喜びが私の中にも湧き上がった。

今回の選挙戦では、佐喜眞候補を勝たせたい政権側は、業界団体に期日前投票のノルマを課し、菅官房長官や小泉進次郎議員など主力議員を応援に投入して政府と候補者のパイプの大きさをアピールするなど、総力戦の体勢で臨み、公明党も創価学会の組織力を使った動員で集票を図る戦術を展開した。

更に、ネット上には、玉城候補に対する悪質なデマや誹謗中傷が繰り広げられ、拡散し続けて、一定の影響力を及ぼしているように見えた。

こうした政権による力ずくの戦術を前に、「沖縄のアイデンティティ」、「沖縄の誇り」というソフトパワーで勝負に挑む玉城陣営=「オール沖縄」の間には、最後まで勝敗は分からないという危機感が付きまとっていたことは、外から見守る私にもヒシヒシと伝わり、私もずっと不安を拭えないでいた。

しかし、結果的に、個人の意志を押さえつける自公の強硬策は、多くの沖縄県民の反発を買い、信頼と誠実で闘う玉城陣営の明るさの前に、あえなく敗退することになった。

今回の勝因のひとつは、デニーさん自身の大らかで誠実な、魅力あふれる個性にあったと思う。しかし何より、自分たちの歴史としっかり向き合い、平和で穏やかな暮らしを希求し続ける沖縄県民の不屈の精神が本物であること、その強さが、今回の選挙結果を生んだのだろう。

しかし、大変なのはこれからだ。これから繰り広げられる、デニーさんと沖縄県民の日本政府とのし烈な闘いが並大抵なものではないことは、殉職ともいえる亡くなられ方をした翁長前知事の壮絶な闘いからも容易に想像できる。

沖縄県民が何度も何度も示す「沖縄にこれ以上基地を作らせない」という意志は、どうしたら実現するのだろうか。

デニーさんは、勝利後のインタビューで「私は誰一人取り残さない政治を訴えてきました。佐喜真さんに投票された方々も、佐喜真さんに対しても、出来るなら一緒に沖縄をつくっていきましょう、と伝えたい」と語ったが、平和で豊かな沖縄を作るために、分断を乗り越えて心をひとつに合わせることができたら、それは沖縄にとって大きな力になるだろう。

しかし、米軍基地の負担も、基地をなくす闘いもこれ以上沖縄だけに押し付けておくわけにはいかない。沖縄県外に暮らす私たちも、沖縄県知事選の感動を胸に、「民主主義」や「生活者の誇り」を手放さない闘いを自らの暮らしの場で実践し続けることで、まずは沖縄に連帯していきたい。

そしてそれに止まらず、沖縄米軍基地問題は沖縄だけの問題ではないことを認識し、日米安保条約の見直しや、普天間飛行場代替施設の要不要、県外移設の可能性についての国民的議論、あるいは国際社会への訴え掛けなど、辺野古基地を作らせないために自分たちに何ができるか、私たちも具体的に考え提案していく必要があると思う。

とまれ、民主主義の本当の在り様を見せてくれた玉城デニーさんと沖縄県民の皆さんに、心からの祝意と敬意を表したい。おめでとうございます。そして有難うございました。