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0765 結愛ちゃん事件と若者の雇用不安 2018/08/01 06:41:39
「もうパパとママにいわれなくても しっかりとじぶんからきょうよりか もっとあしたからは できるようにするから。もうおねがいゆるして ゆるしてください。おねがいします。」

この幼女の遺した手紙は、あまりにつらい。
結愛ちゃんは母と義父にゆるされることなく(何をゆるすというのだろう)、満足な食事すら与えられずに低栄養と義父の暴力を受けて、3月2日にわずか5歳で死亡した。

こうした事件が起きると、真っ先に責められるのは児童相談所。しかし、手続きを踏まずには緊急時の立ち入りの権限もなく、海外では年に数千〜数万もある親権の解除は日本では20〜30件と非常に少ない。いわゆる血縁家族主義が被虐待児の保護を阻む。

この事件を受けて児童相談所の増員、警察との協力体制など法的強化が行われるようである。でも、それだけで虐待の予防効果は十分だろうか? 結愛ちゃんの義父は、児童相談所と距離を取りたがっていたとも聞く。

児童相談所の虐待相談対応件数は、この10年間で3倍以上に増え、2016年の統計では12万2575件。しかし死亡事例は2006〜08年は60人を超しているが、09年以降は44〜58人。ある程度は対応が上手く機能したといえるのかもしれない。それでも1週間に1人近くの子供が殺されている。

私が気になっているのは、死亡に至るまで虐待をしてしまった親、ことに父親の就労状況だ。無職、良くてアルバイト、つまり社会的、経済的、精神的に切羽詰まっている親が多い。結愛ちゃんの義父も無職だった。

以前にも書いた数字だが、2012年〜16年の4年間に、非正規雇用者は207万人の増加、正規雇用者は22万人。しかも、新卒の非正規雇用だった人の割合は1987〜92年の13・4%から増加し、2007〜12年は39・8%だそうだ。

新卒の非正規雇用の人たちが、その後、簡単に正規雇用されるとは思えない。給料を低く抑えられ、簡単にクビを切られかねない不安定な状況に陥らないとも限らない。非正規雇用の増大は、社会不安を招く。

子育て中の家庭を、無職に追いやっては行けない。社会から見捨てられた感は大きいだろう。社会の助けを信じられない孤絶感、それが虐待に繋がってはいないか。児童相談所を強化するだけでは虐待は無くならないのではないかと思う。