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0749 安倍首相の言葉の軽さと不誠実さ 2018/04/11 10:47:07

【第196通常国会は22日召集され、安倍首相は、「働き方改革を断行する。『非正規』という言葉をこの国から一掃します」と述べた。(2018年1月22日)】

これを読めば、安倍首相は正規雇用に力を入れるのだ…と誰しもが思うことだろう。しかし、4月6日に閣議決定された働き方改革関連法案を見ても、派遣と正社員の格差をなくすためにと「同一労働同一賃金」は盛り込まれたが、どこまで実効性があるかは定かではないし、『非正規』を一掃する方向とは思えない。

東京新聞の3月29日付の中島岳志氏(東京工業大教授)の論壇には、【2012年〜16年の4年間に、非正規雇用者は207万人の増加、正規雇用者は22万人。安倍首相は「非正規雇用者を一掃する」とも、「正規雇用者と非正規の格差をなくす」とも言っていない。ただ「非正規という‟言葉”をなくす」と言っているだけだ】という指摘があった
悲しいことに この指摘の方が現状だろう。

派遣法は、中曽根内閣が1985年に派遣法を成立、このとき13業務だった派遣業種は、96年に一般事務、営業、販売職まで拡大、1999年に港湾運送、建設、警備、医療、製造業の5職種を除いて原則自由化し、2003年の小泉内閣で、このままでは日本企業は世界に負けるといった論のもとに、例外扱いで禁止だった製造・医療業務も派遣解禁になった。

派遣が増えれば、当然正規雇用は減る。新卒の非正規雇用だった人の割合は1987〜92年の13・4%から増加し、2007〜12年は39・8%にもなっている。今では40%を超えていることだろう。

不安定な雇用で、若い世代は将来に不安を覚え、給料も少なく、結婚しにくくなり、少子化を招いた。結局、派遣法の拡大で増えた非正規労働者に不安感を与えることで、日本企業を支える労働人口の減少を招き、経済格差を拡大して、社会の弱体化、不安定化を招いたのではないだろうか。

首相の「非正規雇用という言葉を無くす」というのは、何を持って言ったのだろうか。あまりに軽い言葉ではないか。 

首相の「言葉」の軽さは、森友事件についても言える。【安倍首相は衆院予算委員会で、「私や妻がこの認可(森友学園)あるいは国有地払い下げに、もちろん事務所も含めて、一切かかわっていないということは明確にさせていただきたいと思います。もしかかわっていたのであれば、これはもう私は総理大臣も議員もやめるということでありますから、それははっきりと申し上げたい」と述べた。(2017年2月17日)】

しかし、小学校用地の値引き問題、ゴミ処理についてのやり取り、開校予定の小学校の名誉校長を安倍昭恵氏が引き受けていたことなど、関係していたことを示す証拠は次々に出てきている。加計学園でも「首相案件」「総理のご意向」などの文書が出てきている。

それでも安倍首相はこの言葉を忘れたかのように、近畿財務局や財務省に責任を押し付けようとしている。今や、「安倍首相夫妻が森友学園に関わっている」のは明らかだろう。

今、国会で「無い」と言明された書類が次々に出てきていること、議事録や公文書の書き変えや廃棄など、ここまで信を置けない政治や行政が横行していることに、嘘寒さを感じる。
 
国会議員の自民・公明過半数という首相のおごりが、こうした不正を横行させているのだろう。国会での議論を重んじるのは、民主主義政治の基本の1つ。そこでの言葉は、記録として市民の目に晒され再確認できるものであるはず。
安倍首相は「信頼を取り戻す」というならば、自分の発言に責任を取るべきだ。