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0736 改憲に向けての呼びかけを考察する 見習い期間 2018/01/28 21:47:27
昨年12月3日のコラムで取り上げた、「自衛隊の存在を憲法の条文に明記すべきか」を問う模擬国民投票の結果が、いつの間にか報告されていたようだ。結果報告とはいえ、団体の公式Webサイトに調査概要と円グラフを掲載しただけの簡素なものである。
http://www.jaycee.or.jp/2018/topic/01topicnotice/1528
12月3日のコラムでも考察したとおり、現行の日本国憲法を近い将来に改正することを大前提とした質問設定と投票の呼びかけ方であったことを考えれば、完全に予想通りの結果であり、意外性はまったくないだろう。

とはいえ、調査全体での投票総数も調査方法別の円グラフの投票数を読者が自力で足し算しないとわからず、全体での投票傾向も総括されていない。また、投票参加者には性別と年齢を回答するように依頼していたはずだが、投票者の属性に関する統計データも記されていない。性別ならびに世代ごとの投票者数を明記し、これら属性と投票行動の間にどのような相関関係があるのかを科学的に統計的手法で調査することは、一人ひとりが憲法について考え、自分の意見を組み立てていく上で参照すべき価値のあるデータとなるはずだ。

投票を実施した後の分析・考察がまだ十分になされていないようであり、投票総数も4000人余りであるため、この模擬国民投票そのものは、それほど大きな影響力を持つものではないと現時点では判断している。しかし、この団体が打ち出している政策集を見ると、現行の憲法を改正することに反対している人たちに対しても、説得しようと働きかけることを試みているようである。
http://www.jaycee.or.jp/2018/seisaku
今年のうちに「誰もが憲法改正に対して興味が持てる漫画」を製作しようという政策提言を行っているようだが、そのうちの1話は、憲法改正に反対する層・護憲派をターゲットとする予定になっている。当該漫画は「炎上」も含めて拡散させることを目指しているとのことであり、憲法改正について多くの人に「関心」を持ってもらうことをねらいとしているそうだ。今後、こうした活動が特に若い世代の人々にいかなる影響を与えるのかを注視していく必要がある。