| テレビドラマ「相棒」の脚本を書いている作家太田愛氏が 書いた小説「犯罪者」を紹介したい。
白昼の駅前広場で、通り魔殺人が発生し4人の一見無関係と思われる人達が殺される。物語の主人公、繁藤修司も命を狙われるが辛くも逃げる。その後も執拗に命を狙われこの事件が通り魔殺人ではなく周到に練られた計画殺人だと分かる 修司を雇っている探偵事務所の所長、鑓水七尾、深大寺警察署の警察官、相馬亮介の三が力を合わせ事件の真相に迫って行くとき本当の「犯罪者」が姿を現す。 自らの利益の為に多くの子ども達の未来を奪い、親と子を地獄の苦しみに叩き落とした食品会社。それにつながる利権を 貪る為に食品偽装に関わる政治家達と時の政権。
太田氏の小説は社会で起きている問題に深く切り込み私達が 無関心でいる事に警告を鳴らしている。 何よりもハラハラドキドキのサスペンス謎が近づいたと思えば遠退き、ページを捲る手が止まらない。エンタメと社会性、リアルは相反するものではない。それは氏の綿密な取材と多くの人達への聞き取りによるものだろう。 ラストも深い哀しみの中に暖かさが残る作品である。
太田氏はこの作品が初めての小説だとインタビューで語っていた。さすが相棒の脚本を長年書いていた人。 「ここ何年かで、世の中の空気が変わっている 今書いておかなければ間に合わなくなる」と語っておられる。今、日本社会では、沖縄と基地の問題、原発再稼働の動き、莫大な税金を時の総理が私物化した問題。伊藤詩織さんの身に起きた事を揉み消そうとした事件。これ等の事を最近は少しも報じないテレビ。テレビは家に帰りスイッチを入れればすぐ情報に触れられる。その手軽さ故の恐ろしさ面白さを太田氏は 熟知しておられるのではないだろうか。
最近安倍総理がタレント達と会食を重ね、更にテレビ等の マスコミを牛耳ろうとしている。 今年の「相棒」の元旦SPでも、秘密保護法や国防の問題を太田氏は、サラリと扱っていた。 地上波のテレビでこういった問題を扱える脚本家としての 太田愛氏を今年も注目していきたい
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