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0730 画期的判決 伊方原発の運転差し止め仮処分 2017/12/19 00:18:01
広島高裁(野々上友之裁判長)は12月13日、四国電力の伊方原子力発電所3号機の運転差し止めを求めた仮処分申請の即時抗告審で、2018年9月30日まで差し止める決定をした。

これは広島市の住民らが、熊本県の阿蘇山が過去最大規模の噴火をした場合は安全が確保されないと訴えており、高裁は「新規制基準に適合するとした原子力規制委員会の判断は不合理だ」と結論付けた。

地裁では、広島地裁が3月に、松山地裁が7月にともども却下しており、それを逆転したわけだ。東京電力福島第1原発の事故後、初の原発の運転を差し止める高裁の司法判断だそうで、画期的だ。

それに対して四国電力は、広島高裁に異議を申し立て、決定の効力を一時的に止める執行停止の手続きを行うとしている。
また菅官房長官は、「独立した原子力規制委員会が世界最高水準の新規制基準に適合すると判断したものであり、政府としてはその判断を尊重するという方針に変わりはありません」と、原発の再稼働に執着している。

裁判官の判断は、「四国電力が行った伊方原発敷地周辺の地質調査や火砕流シミュレーションからは、阿蘇4噴火の火砕流が伊方原発敷地内に到達した可能性が十分小さいと評価することはできないから」「伊方原発の立地は不適」ということ。

また、事故が起きた場合、「抗告人ら所在地と伊方原発との距離(広島市居住者につき約100km、松山市居住者につき約60km)に照らすと、抗告人らは、伊方原発の安全性の欠如に起因して生ずる放射性物質が周辺の環境に放出されるような事故によってその生命身体に直接的かつ重大な被害を受ける地域に居住する者ないし被害が及ぶ蓋然性が想定できる地域に居住する者といえる」と、放射性物質の周辺住民への危険性からも判断している。

原発は、自国民に向けた危険な核兵器となる危険性を持つ。地震、津波、人為事故、テロ…それらのリスクは決してゼロにはできない。そのリスクを住民、国民に負わせる必然性はない。国民の人権を侵害していると言えるのではないだろうか。

この判決は最高裁に持ち込まれるだろう。そして最高裁は電力会社側の勝訴とする可能性が高い。日本は最高裁判事・長官を政府が任命する。憲法にいう国民の人権よりも、政府の意向を忖度する最高裁になっている判決としか言い難い前例が何度もある。

世界各国は、チェルノブイリの場合はまだ自国と型式が違うとか、あそこまでの事故は起こさないとか他人ごとだった。しかし、日本の福島第一の事故以来、ドイツやイタリアのように真剣に脱原発に取り組み出す国も出て来た。

なぜ、まさに事故現場の日本が再稼働を目指すのか。狭い島国で、あれだけの国土を失っていながら、未だに原発再開をと頑張る地元と政治家と電力会社。どれだけの利権が絡んでいるのだろう…。

この裁判の住民側の弁護団団長は河合弘之氏。彼は福島第一原発事故後、自ら監督となって、「日本と原発 私たちは原発でしあわせですか?」(2014年)、「日本と原発4年後」(2015年)を製作。

そして「原発を無くしたら、電力が不足する。その解決は?」という問いに答えて、「日本と再生 光と風のギガワット作戦」を制作し、海外や日本の代替エネルギーを数多く紹介している。

海外の風力発電、太陽熱発電、地熱発電の大規模なこと。ほとんどの電力を賄うまでになっている自治体などもある。日本でも各地で広がっているが、殊に福島の人たちの代替エネルギーへの努力は胸を打つ。

日本政府もこの人々に見習って、真剣に脱原発に取り組むべきだ。

*参照「脱原発の日のブログ」https://ameblo.jp/datsugenpatsu1208/entry-12337178667.html
*映画「日本と再生」http://www.nihontogenpatsu.com/