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0689 「共謀罪」と国民監視システム 名無しの探偵 2017/03/26 17:47:07
安倍政権(第二次)になってそれまでの自民党とは異なる矢継ぎ早の法案提出(ほとんどは国会で可決)と国家を私物化する如きスキャンダルの嵐に60年以上生きてきた高齢の私でもあっと驚く。

安倍首相のキャラもさることながらこれまでにもましてアメリカとの一体化の深化である。

しかし、これまでの立法過程とは違って憲法改正までに出来る限りの憲法破壊の総仕上げに王手をかける法案の提出が現在進行中である。

それは「共謀罪」の度重なる提出である。
後に明らかになるが、「共謀罪」は名称を変えて「テロ防止法」(少し違うか?)という口当たりのいい表現になっている。これは実に曲者である。

スノーデン事件の問題でスノーデン自身にロングインタビューを決行した元朝日の記者小笠原みどり氏のコラムを読めば(「共謀罪の狙いはテロ対策ではない。スノーデンの警告に耳を傾けよ。」)明らかだが
共謀罪はスノーデンが2013年に暴露したアメリカの諜報機関NSAによるアメリカ国民の監視システム「プリズン」の日本版なのであり、「共謀罪」はスノーデンによれば「アメリカの機関が設計したものです。」ということらしい。

小笠原氏のコラムで「共謀罪」の危険な特徴を「共謀罪の核心は、人々のコミュニケーションが犯罪化される、という点にある。合意すること、相談すること、言葉に出すことで犯罪が成立するのだから、警察は私たちのコミュニケーションそのものを捜査対象にすることになる。」と警告する。

本稿では小笠原氏の警告をこれ以上書き込めないが(興味ある方はネット上の氏のコラムを読んでほしい)、法律学の研究を長年してきた私の観点から「共謀罪」を分析しておこう。

まず、「共謀罪」は単独の法制度として安倍政権が
制定するものではないということである。それはこれまでの一連の法律とのセットにして法律化されるのである。

最初に「盗聴法」の制定があった。これで
いつでも私たちのコミュニケーションを丸裸にできる。次に「特定秘密保護法」の制定があった。
 これで国家が犯罪にできる秘密の範囲が絞られた。そして、さらに安保法制の制定である。日本国が
憲法9条の縛りを超えて海外に派兵できる。(従来は個別的な派兵だった)
そして、マイナンバー制度によって国民のプライバシーを丸裸にできる。
そして、仕上げは「共謀罪」なのである。「特定秘密保護法」などでは国民の監視は非常に狭い範囲でしかできないからである。それは主に新聞記者などに限定されるからだ。

「共謀罪」はアメリカのNSA(国家安全保障局)
が開発した「プリズム」の設計を日本版として送りだすシステムの構築を前提にしているのである。

なぜならば、「共謀罪」という犯罪類型は古典的な(刑法に古典的というものは存在しないはずだが)
犯罪と全く異なり「共謀」という客観化できない、つまり実行という犯罪をそのままでは警察に察知できない人々の「相談」とか「合意」を「犯罪」とみなす「国家の盗聴」を前提にしているからである。

これは常識的にみて「犯罪」とは言えない代物である。なぜなら、人々のコミュニケーションだけでは
なんらの犯罪の痕跡も法益(刑法上の重要な要件)の侵害も起こっていないからである。

例えば窃盗罪を例に出せば「あいつの財布を奪ってやろうか」と思ったり、冗談で口にしたりすることはなんら窃盗行為に該当しないのである。

もし共謀罪が制定されれば、私たちはネットなどで
冗談も言うことは危険なこととなる。

スノーデンが言うように「共謀罪」は「この監視システムは狂気じみている」ということなのだ。

以上。