| 11月に私は地元の大学の学園祭で、ミュージカル「ウイキッド」を観た。 どうせ学生が演じる舞台だからと、あまり期待はしなかったのだが舞台が始まって、私はその世界に引き込まれてしまった。この物語りを演じた学生さん達は一年前からどうしても 「ウイキッド」の舞台を実現したくて練習を重ねて来たと 最後の舞台挨拶で語っていた。 その歌唱力、演技の素晴らしさは勿論、この「ウイキッド」は今の時代にも通じるテーマをもっている。
「ウイキッド」は「オズの魔法使い」の語られなかったもう1つの物語り。 何故、エルファバという緑色の肌を持つ少女は 「西の国の悪い魔女ウイキッド」に仕立て上げられたのか 何故、グリンダというブロンドで可愛い少女は「西の国の良い魔女」に祭り上げられたのか。 エルファバとグリンダは同じ大学の同級生で愛憎にまみえた 時を共に過ごしてきた。 そして、「オズの国の魔法使い」こそ魔法が使えず動物達から言葉を奪った元凶だった。 正義感の強いエルファバは言葉を奪われた動物達を解放する為にオズやその国の兵隊達と闘う事を決意する。
「善き魔女」になってしまったグリンダも若い頃はフィエロと言う青年に恋をして彼が知らない内に勝手に婚約発表してしまう。フィエロがエルファバに恋をしたと知ると憎しみで一杯になりエルファバを策略にかけてその妹を死に追いやってしまう。物語の終盤近くで再び合間見得た二人は和解してお互いに違う生き方を選んでも相手が幸せになる事を願う。
物事は1つの見方だけでは真実は見えない。 そして人の噂は当てにはならない。 人々が敬い憧れていた「オズの魔法使い」は魔法など使えず ドロシーによって清い水をかけられ死んだと言われていたエルファバは実は生きていた…。
絶対悪も絶対善も存在しない。悪と善がせめぎあいながら人は生きている。そして何が善で何が悪なのかもその時の人の見方で変わってしまう。その人達が作り上げているのが 今の日本の社会であるならば、子どものいじめ自殺や沖縄高江に住む人達の悲しみや苦しさに心寄り添う社会に私は生きたいと思う。 クリスマスも近い一日、童話の世界に遊びながらそんな事を考えた。
| |