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0670 駆けつけ警護付与、自衛隊南スーダンへ 笹井明子 2016/11/21 23:44:52
南スーダンのPKOに新たに参加する陸上自衛隊の先発隊120人が、20日、青森空港を出発した。南スーダンの首都ジュバに21日に到着し、12月12日から活動を開始するという。

11月19日東京新聞「こちら特報部」によれば、南スーダンは現在内戦状態(「カオスに陥りつつある」・・国連報告書)にあり、首都ジュバでも今後、何が起こるかわからないと言う。その上、今回から新たに「駆けつけ警護」の任務が付与されて、派遣隊員が戦闘に巻き込まれるリスクは格段に高まった。

21日の新聞各紙には、別れを惜しむ隊員と家族の写真が掲載され、朝日新聞には、「不安で胸が張り裂けそう」「殺されたり、相手を殺したりするようなことになったらと、やりきれない」の心配の声や、「使命感から行くのなら、気持ちは大切にしたい」「不安は感じるけど、誇りに思う」など勤めて前向きになろうとする家族の声が紹介されていた。

IWJの当日の動画では、家族や自衛隊の仲間に見送られて出発する隊員たちの様子が映し出されていたが、彼らの表情は一様に明るく晴れやかで、自分達は覚悟を決めた上で、見送る家族を気遣い励ましているようにも見えた。

こうした人としての優しさ、温かさがにじみ出た姿は、東日本大震災の被災地で直向に救援活動をしていた彼らの姿とダブって見えた。実際、朝日の記事の中でも「(自衛隊を)やめたいと繰り返していた息子が、東日本大震災の被災地で救援活動を経験して変わった。人の役に立ちたいと、目覚めたのだと思う」という母親の言葉も紹介されていた。

恐らく彼らは被災地救援と同様、政府が命じる任務を「人の役に立つ」ものと純粋に受け止めて赴任先に赴くのだろう。しかし、そこで待ち受けるのは、「いつ銃撃戦が起きても不思議ではない情勢」(こちら特報部)であり、場合によっては自衛隊が民間人に銃を向けることになりかねない事態だ。

しかも、「こちら特報部」内の飛内悠子さん(日本学術振興会特別研究員)の言によれば『「駆けつけ警護」の最大の問題は、南スーダン人の役に全く立たないことだ』という。

大義もあいまい、違憲の疑いが濃厚という状態の中で、「永田町よりは危険」などの軽口を叩きながら、日本の心優しい若者達をわざわざ危険に晒すような政府のやり方を、私は理解することができない。

「こちら特報部」のデスクメモで『仮に派遣隊員が「衝突」で死亡した際(略)政府は戦死と呼べないのは憲法九条があるためと釈明する。ならば改憲せねば「英霊」は浮かばれないと騒ぎになる。そんなシナリオが脳裏に浮かぶ。』と書かれていたが、確かにその疑念を拭うことができない政府の一連の対応だ。

もし万一のことがあったら、安倍晋三という人間と現政権の非道は、長く日本の歴史に刻まれるだろう。だが今は、現に今家族と共に生きている隊員の皆さんの、ご無事を祈るばかりである。