| 日本画家の堀文子(ふみこ)さんは若い時から、美しい花を描いて評価を得ていた。私もそれらを表紙絵にと思ったのだ。2005年のことだった。
でも、画廊の方が勧めたのは、同じ植物画ではあったが、まるでタッチが違う。そして、その年に堀さんは微生物プランクトンの絵をテーマにされた。どんどん変化していく絵に私は目を見張った。
高名な画家の絵を思い浮かべれば分かるが、若いうちはともかく、ほとんどの画家はある年齢になると自分のスタイル・画風を確立し、周りもその絵を期待する。
堀さんに「どうして?」と伺うと、「同じことを繰り返すのはつまらないでしょ」とさらりと答えられた。そして「過去の作風を求められ、それが喜ばれるけれど、それはコピーにすぎない。その時に心が震えるものを描いている。同じ自分はいないのよ」と。
その後、「群れない、慣れない、頼らない」という堀さんの言葉を聞き、なんと潔い生き方だろうとの思いを深めた。その題で、堀さんの絵とインタビューが出ているので見てほしい。 http://blogs.yahoo.co.jp/abcd5963ne/7295594.html
その堀さんが、東京新聞に一人の投稿者として投稿されたのは2014年1月8日。 皆さんにぜひ、95歳(当時)の堀さんの言葉を噛みしめていただきたいと思う。 ―――― 国民に相談もなく、十分な説明もせず瞬く間に特定秘密保護法を衆参両院とも通過させた現政権の独断を私は許しません。
無謀な戦争を企て、何百万の兵士と国民の命を奪い、全国の都市を焼き、歴史が残した貴重な文化遺産を灰燼に帰した第二次世界大戦の苦難。その過ちの末、私たちが得た平和憲法は、日本人の血と命から生まれた世界史に残る戦争放棄の誓いでした。
日本が軍事行動を起こすため、政府は平和憲法を改正したいが、国民の同意を得るのは難しい。そのことを知った与党は、平和を装いながら特定秘密保護法をつくりました。
「国益のため」と本心を隠し、反逆者の名目で反対意見を抹殺するため、この法をつくったと思います。
平和を望む者を罪人にしてしまうかもしれないこの悪法は、かつての治安維持法そのものです。 この法のために国民の反戦意見は抹殺され、戦争の地獄への道連れにされたのです。
オリンピックに血道をあげさせ、国民を享楽的にさせた当時の国情と今の世相があまりに似ているのに私は戦慄を覚えます。
日本は再び危険な野望に向けて暴走を始めたように思えてなりません。今こそ国民が一致団結して危険な法の粉砕を図らなければ、後世に禍根を残します。
今なら入り口に戻り、路線を変えられます。
自民党の暴走を止めるのは、今を生きる国民の務めであり、責任です。
危急存亡のとき、国の暴走を許さぬ賢い日本人になる必要があるとつくづく思います。
http://userdisk.webry.biglobe.ne.jp/011/959/50/N000/000/013/138930708945437668226_img086.jpg ―――― そして2015年10月1日のNHK教育「こころの時代」の 『シリーズ、私の戦後70年・今、あの日々を思う』で下記のように語っている。 (一部引用するのでURLを開けて、ぜひ全文を読んでください) ―――― 物事が崩れ始めると、ガラガラと崩れちゃいます。 ですから、崩れる前に、騒がないといけない。日本、何するかわからないです。
今、戦争の記憶を忘れてしまって、今の政府が、 もう一度、勢いのある日本を取り戻したくなっている気がして。 非常に危険だと思っています。
どんなに軽蔑されても、人の命で、戦ってはいけません。」 http://miyukikko.cocolog-nifty.com/blog/2015/10/nhke-1064.html ―――― 安逸をむさぼって眠っていてはいけないと、揺さぶられる。
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