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0631 捨てられていた答案用紙 猫家五六助 2016/03/21 00:25:23
 受験シーズンが終わった過日、永田町を歩いていたら丸めて捨てられた答案用紙を拾った。広げてみると、何かの資格テスト・・・筆記式の答案用紙だった。

 答案用紙には鉛筆、しかも自信タップリの筆跡で書いてある。なになに・・・

【設問1】内閣総理大臣の権限について述べよ。(配点;10点)
(回答)総理大臣は国政選挙で国民が選んだ政治の最高権力者である。つまり、国民から国政を一任されたのだから「選ばれし者」として、自分の思い通りに政策を進めてよい権限を持つ。=0点
(採点)0点
(コメント)総理大臣は国会の議決で国会議員の中から選ばれるもので、その権限は国民が白紙委任したわけではない。総理大臣は常に国民の意見に耳を傾け、政策に反映しなければならない。

【設問2】日本国憲法の意義、位置づけについて述べよ。(配点;10点)
(回答)先の戦争後、戦勝国によって勝手に押し付けられた理不尽なものである!敗戦国の卑屈な意識を捨て、世界の中心で輝ける国へ導くためには総理大臣の意向で憲法解釈を行い、憲法改正すべきである。
(採点)0点
(コメント)日本国憲法の基本は国民主権で、国民の権利を守ることにある。総理大臣の一存で解釈改憲を行うことは許されず、憲法違反である。

【設問3】自衛隊の役割について述べよ。(配点;10点)
(回答)国防に必要な戦力・軍隊である。紛争・テロによる国家の危機から守るため、日米安保条約を最優先した最新鋭の武装を行い、世界中で国益を守るための機動力が必要。そのための国防・対米予算額は青天井になってもしかたなく、社会福祉・教育予算よりも優先される。また、「自衛隊は憲法違反」と指摘されるので、その活動に沿うような憲法改正が必要である。
(採点)0点
(コメント)自衛隊は必要悪という説もあるが、憲法を守る努力のもとで運用されなければならない。専守防衛は当然であり、これを逸脱する海外派兵や日米協力の結果として先制攻撃になることは許されない。

 ・・・等々。次第に筆跡は乱れ、書きなぐった様子が見て取れる。【設問4】から【設問9】までは「黙れよ」「匿名じゃ、わからねぇよ」「早く終われよ」と意味不明なヤジのような回答が書いてあった。そして、最後の設問。

【設問10】内閣総理大臣の責任について述べよ
(回答)閣僚や自身の不祥事について、全責任は私にある。その責任の取り方は最高責任者の私が決めるから、責任をとる責任は私にない。
(採点)0点
(コメント)回答者は国語力がない、あるいは内閣総理大臣と独裁者・支配者の区別がわかっていない。

そ れで、合計得点欄には100点満点中「0点」と記されていた。答案用紙のタイトルと記名欄部分は破り捨てられていたが、設問から察するに「内閣総理大臣」の資格テストのようだ。

 この答案用紙、誰が受験した後で丸めて捨てたのか。私には察しがつくが、こんな資格テストなど聞いたことがない。おそらく、「国家の秘密保護」で・・・ふと、自分のうめき声で飛び起きた。なんだ、夢か・・・いや、目が覚めたのに白昼夢は続いている。

 こんな悪夢、断ち切らねばならない。