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0626 自民党の皿はもう割れているのだから 笹井明子 2016/02/15 22:59:37
金銭授受・口利きで閣僚を辞任した甘利経済再生担当相、「歯舞」を読めない島尻沖縄北方担当相、放送法の主旨を‘誤解’してメディアを威嚇する高市総務相、、、。あえて不適任な人物を大臣の座に据えているのかと疑いたくなる安倍内閣。

閣僚として、議員としての資質を疑わせる問題が次々に起きているが、中でも丸川珠代環境相の福島第一原発事故の被曝線量長期目標に関する一連の発言と対応は、安倍政権の傲慢と無責任の体質を見事なまでに体現しており、看過するわけにはいかないと私は思っている。

2月7日、丸川氏は長野県松本市の集会で「『反放射能派』・・が、わあわあ騒いだ中で何の科学的根拠もなく、時の環境相が1ミリシーベルトまで下げると急に言った」と発言。

その後‘時の環境相’だった民主党の細野氏らから追及を受けると、「こういう言い回しをした記憶はない」「福島の皆様に誤解を与える発言をしたとしたら、おわび申し上げたい」と釈明。

そしてその数日後、突然、自身が講演で発言したことを認め、発言を撤回、陳謝したが、不適切な発言の責任については、「引き続き職責を果たして参りたい」と言って辞任を否定した。

この一連の流れに現れた「レッテル張り」「民主党への中傷」「条件付謝罪」「事実確認の留保」「職責遂行が責任の取り方という詭弁」は、安倍首相本人や首相の代弁者としての菅官房長官が、自分好みのメディアや国会や記者会見の場でしばしば見せる言動、行動様式とそっくりそのままではないか。

繰り返し報じられる丸川氏のこの間の言動の変遷を見ても、担当相に求められる福島の現実を直視する誠意も、原発事故被害者に寄り添う血の通った心情も、科学的思考も、地に足をつけた将来への構想も、全く感じることができなかった。

伝わってくるのは、安倍首相の意向に迎合し、安倍首相の言動を模倣し、それによって安倍ファミリーの中での地位を維持しようとする自己保身の念ばかり。「自発的隷従論」(エティエンヌ・ド・ボエシ、西谷修=監修、山上浩嗣=訳/ちくま学芸文庫)中の言葉を借りれば、「圧制者のまわりにいるのは、こびへつらい、気を引こうとする者」「圧制者の言いつけを守るばかりでなく、彼の望む通りに物を考える者」に好んで成り下がっている「哀れな生きざま」だった。

思えば、第二次安倍政権発足以来、自民党議員や閣僚はいうに及ばず、NHK会長、内閣法政局長官、日銀総裁と、安倍政権は国の中枢部分に自分の意向に自発的に隷従する人たちを据え、結果、国会の権威・品性を地に落とし、言論の自由を窒息寸前にし、立憲主義を踏みにじり、経済の安定性を損なってきた。

最近ツイッター上に「『自民党に代わる受け皿がない』と言われるが、もう自民党自体の皿が割れているのだから、紙皿でもいいから移し変えなければいけない時だと思う」という言葉が流れてきたが、全くもって同感だ。

野党の不甲斐なさを嘆いていても始まらない。幸い今はまだ、民主主義を体現しようと考え行動する柔軟な若者たちが声をあげ続け、老練な憲法学者たちは後へは引かない覚悟を示し、長年市民運動を牽引してきた人たちも、現状打開のための様々な方策を提示し続けている。

仮に今、支持できる政党がないとしても、少なくとも今とは違う受け皿を選択し直す、あるいは新たな受け皿を作り直す方策を、民主主義を大切に思い、今も日々頑張っている人たちと共に、真剣かつ柔軟に考え、実現に繋げていきたいと思う。

私達の暮らしの安心・安全が崩壊する前に、今まであった常識が姿を消して非常識が我が物顔に闊歩する社会となってしまう前に。