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0620 2016年、幸せで自由であるように 2016/01/01 01:10:07
2016年、この1年はどんな年になるのだろうか。

5月には伊勢志摩サミットが開かれる。無事に終わることを願うとともに、世界から少しでも戦争と暴力、貧困と経済格差がなくなる方向に向くことを願って止まない。

2015年は、1月7日にフランスの新聞社でイスラム過激派による銃撃テロが起きて、12人が死亡。そして2人の日本人が拘束されて殺害される事件が起きたのもこの月という、暗澹たる幕開けの年だった。

デンマークでの銃撃テロ、バンコクでの爆弾テロ、アメリカでの銃撃テロ、チュニジアでの博物館襲撃、そして11月にはパリでのISによる6か所の同時テロで130人が死亡という事件が起きて世界はテロの恐怖に陥っている。

そして、中東やアフリカ等では、日常的に紛争や飢餓が続き、女性や子供を含めて、多数の人々が亡くなっている。

9月には、シリアの内戦で難民となって渡航中の船が転覆し、海岸に打ち上げられた幼いアイランちゃんの写真が胸を抉った。この写真を決して忘れてはならない。

しかし、30万人を超える難民が欧州に向かい、混乱が起きると、「シリア難民の99%は男性で経済目的だ」などと、全く事実と違う暴言を吐く右翼政治家のルペン氏の人気が出、アメリカでは共和党の大統領選候補者のトランプ氏の「大統領になったらシリア難民は強制帰国させる」の暴言に人気が出るという始末。

日本では、9月19日の集団的自衛権を法制化した安全保障関連法が成立した。これで日本は米軍への支援をより強めることになり、自衛隊は米軍の戦争に協力することになるだろう。

安倍政権は、連日国会を取り囲んで反対する国民の声に耳を貸さず、憲法学者の「集団的自衛権は憲法違反」であるという指摘も無視しての法案成立の暴挙だった。

TPPも政府は詳しい中身を明らかにしないまま大筋合意をし、対策大綱を取りまとめ、国民には利点のみ強調した試算を示すばかり。

共同通信が全国の首長に実施したアンケートでは、大半が反対を表明したという。ここでもその声は政府に届かない。

2011年の福島第一原発の事故からもうすぐ5年。放射能被害は続いているのに、8月と10月には川内原発2基を再稼働させた。

この再稼働についての全国世論調査では、再稼働に反対の人が58%で、賛成の37%を上回っている。

辺野古基地の米軍移転も、それに反対する多くの沖縄の人々の声を、政府は踏みにじって恥じない。

安倍首相は米議会で、日米同盟を「希望の同盟」と語ったそうだが、政府は米国の方にばかり顔を向け、国民の顔すら見ず、声も聴こうとしないのだ。

そして11月、国民のすべてにナンバーを割り振るマイナンバー制度をスタートさせ、マイナンバーカードで電子化しようとしている。

それ以前に、4月には年金機構へのサイバー攻撃で125万人のデータが流出、12月には健康保険証の個人情報約10万3000人分のデータが流出したというのに。

「歴史は繰り返す」と言われるが、私たちはどこへ向かおうとしているのだろう。「戦後は終わった」という人々がおり、秘密保護法や集団的自衛権に「戦前を思わせる」という人もいる。

2016年を「戦前」にしないためには、まずは次の選挙で、改憲に必要な3分の2議席を、九条二項をなくしたい与党に取らせないことが大事になって来る。国民を大切にする政治家を選ぶ目を持ちたい。

希望はどこにあるのだろう。
パリのテロで妻を失ったジャーナリストが、フェイスブックにつづった文章をもう一度読み返してみよう。

「私は決して、君たちに憎しみという贈り物を贈らない。 君たちはそれを望むだろうが、怒りで応えることは、君たちと同じ無知に屈することになってしまう」

そして、残された息子への愛を語り、「この幼い子の人生が幸せで、自由であることが、君たちを辱めるだろう。 君たちは彼の憎しみを受け取ることは決してないのだから」と。

私たちは、憎しみのスパイラルに陥らないようにしよう。1人1人のささやかでも幸せな暮らしが続くように、平和な世界を願おう。

他人の自由や権利に敬意を払いながら、自分の自由と権利を享受し、考え、選ぶ力を持てることを大切にしよう。

そして、いま格差や貧困、困難を抱えて痛みを感じている人々のいることを心に刻み、その痛みへの共感を失わない生き方をしていきたい。