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0619 扇動に踊らされない社会構築のために 笹井明子 2015/12/24 14:03:06
激動の2015年が間もなく終わろうとしている。

2015年は、安倍政権のゴリ押しによる憲法破壊という汚点が刻まれた年であり、その過程の中で、行政機関・公共施設の権力への隷従やマスコミの萎縮・自粛などが浮き彫りにされた年だった。

世界に目を向ければ、ISによるテロが世界を震撼とさせ、ターゲットとされる国では、政治リーダー達が勇ましい口調で「テロとの戦い」を掲げ、シリアへの空爆などの軍事行動を続けている。フランスでは「非常事態」の条文を憲法に盛り込む改正案が考えられているという。

戦後70年。戦争の悲惨を知り尽くし、二度と戦争はしないと誰もが望み、そのために世界の叡智を集め、平和に向かって歩むことを世界中が願ったはずだった。そして、日本の「憲法9条」は、そうした願いの結晶であり、平和構築という理想を進める上での明確な指針だった。

しかし現実には、戦後70年間、紛争や冷戦状態は絶えることなく、ついに今、世界は新たな不安と恐怖の下、軍事と統制の時代に再び踏み出そうとしている。そして、日本政府は、そこに加わることが「先進諸国の名誉ある一員の証」といわんばかりに、平和の理想を投げ捨てて、「力による解決」=「不安と恐怖の再生産」の仲間に嬉々として加わろうとしている。

そんな状況下、日本では、安保法制の成立直後に下落した内閣支持率も、3ヶ月後の今は元の数字まで回復したといわれる。フランスでは、難民排斥を掲げるル・ペン氏、アメリカではイスラム排除を言い募るトランプ氏への支持が高まっているという。

政治の劣化は、大衆の無自覚・無意識の後押しがあって成り立つ。そして、権力を持つものは、大衆の無関心や扇動に乗せられる心情に、漬け込み、利用する術をよく知っている。

新しい年を迎えるにあたり、「国民主権」、「平和」、「人権」を掲げる憲法を持つ私たちは、激動する世界情勢の中にあっても、様々な扇動に踊らされることなく、起きている・起きようとしている現実を、憲法の理念に照らして見つめ、様々な人たちとの対話を通して広い視野で考え、冷静に判断する力をつけていきたい。そして、そうすることの大切さを広く分かち合い、権力の思惑を乗り越えた健全社会の構築の一助となる活動を、続けていきたいと願っている。