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0569 イスラム国幻想! 流水 2015/02/01 13:14:21
今回の人質事件。後藤さん殺害という最悪の結果を迎えたようだ。これは、安倍首相の、中東の混沌とした情勢を考えない軽率な発言が招いた結果である。殺害を実行した英国人とおぼしき人物も安倍首相を名指しで批判している。

イスラム国(ISIL)の残虐な行為は、吐き気をもようすほどおぞましい。彼らの主張が如何に正しくとも決して正当化できない。おそらく、この【情】の部分は世界中の人々の大半の人が共感するであろう。「人を殺してはいけない」という倫理感は、人間を他の動物と分ける決定的な所である。

しかし、同時に人間は、【人を殺してはいけない】という多くの人が持つ【倫理観】を免罪する理屈を考えだした。法律でいう【緊急避難】など。その中で最大最強の理屈が【戦争】。

個人が人を殺せば【殺人者】。戦争で人を殺せば【英雄】。古今東西、どの国もこの論理を超えていない。人間にとって永遠の命題である。

【人を殺すな】という情の部分にあまり引きずられ過ぎると、【殺した】相手を憎みすぎる。憎しみが昂じると、【復讐・報復】の感情に転化し、憎しみの連鎖に陥る。

政治の世界でいうならば、【情】の部分を理解しながら、【理】の部分に重きを置かなければならない。

イスラム国の蛮行を非難するだけでなく、イスラム国のような怪物を産み出した中東の歴史をよく知らなければならない。

昨日死亡したドイツのワイツゼッカー氏の【過去の歴史をよく知らなければならない。過去の歴史に盲目の人は現代にも盲目である】という名言を噛み締めなければならない。

たしかにイスラム国は多数の人間を虐殺しているし、これからも殺すであろう。文字通り、憎むべきテロリスト集団である。同時に忘れてならないのは、中東で最も人を殺しているのは米国だという事実だ。

現在も米国はイスラム国拠点を空爆しているが、たしかにテロリストも殺害しているが同時に多くの無辜の市民も殺害している。米国はこれらを【付随する犠牲】だと釈明しているが、犠牲になった人々がそれで納得できるはずがない。彼らにとっては、その一人一人がかけがえのない命なのだ。こういう憎しみの感情がテロの温床になっている現実も直視しなければならない。

今、日本は安倍首相の火遊びにも似た軽率な外交言動で戦後日本が守ってきた【平和国家】の看板を下ろすかどうかの瀬戸際にある。

日本人は、ただ感情に流されるのではなく、【情理を尽くす】という言葉が何を意味するのか、を真剣に考えなければならない瀬戸際にある。