呼出完了
0527 Re: 護憲コラム 名無しの探偵 2014/05/01 17:25:50
なぜ,今「集団的自衛権の行使容認」なのか。

安部政権は憲法改正に着手すると大分以前から宣言しているが、憲法改正に着手する前段階で秘密保護法を制定し、今度は憲法の解釈で「集団的自衛権の
行使容認」を画策している。

ところで、自民党の集団的自衛権の行使容認に関しての説明も分かりづらい。同盟国(アメリカのことだ)が敵から攻撃されているのにこれを助けなくていいのかという想定された事例を持ち込んで説明するがこれは比喩的にはよく分かるが、実際のところ交戦国でもない我が国が国外に飛び出して同盟国を助けることが自衛権の行使(集団的だとしても)をするというのだがそれが「自衛権の行使か」というと大いに頭を悩ますところであった。

こういう疑問がここ数年継続していたが、最近「集団的自衛権の深層」(松竹信幸著)という本を読んでいたら疑問が氷解した。
松竹氏によればこれまでの「集団的自衛権の行使の
事例」を歴史的に検証していくと、例えば「ベトナム戦争」、それを行使した国はいずれも軍事的には
超大国ばかりであった(アメリカ、イギリス、フランス、ソ連)という。
それも集団的自衛権の行使という代物ではなくいずれも同盟国を攻撃するための大義名分にされたのであって自民党(安部氏が立ち上げた「懇談会」の「
報告書」が言うところの)が言うように同盟国が
攻撃されて窮地にありそれを武力によって助けるという自衛のための武力行使などではなく明らかに侵略的な攻撃だった。

松竹氏はここから集団的自衛権は上記のように超大国の事例から分かるように相当な「軍事的能力」が備わっていないと行使できるものではなかったという。
だから、これまでは日本政府も個別的自衛権の行使
に限定していたが、最近では自衛隊も「軍事的能力」は飛躍的に高まったので「集団的自衛権の行使」が可能であるというのである。
つまり安部政権が性急に「集団的自衛権の行使を求めるのは、世界の環境が変わったからではなく、日本の軍事能力が変わったからなのだ。」(松竹P30)
さて、集団的自衛権の行使は安部政権は国際的には
普通の国は行使できる権利であると説明するがこの
著書の検証によれば超大国が急迫した攻撃に対して
行使した「止むをえない」ものではなく侵略目的の
武力行使が実態だったのである。
しかもベトナム戦争を引き合いに出せば、超大国が
長期戦の末に敗退した戦争であった。そして、アメリカは未だに「勝てない」戦争を戦っているのである。
アフガニスタン、イラクでの「テロとの戦い」は初戦ではアメリカは正規軍対正規軍の交戦であったので軍事力の圧倒的格差で勝つことができたが、ゲリラ戦では苦戦を強いられている。
この戦場報告で最近読んだ本が「勝てないアメリカ」(大治朋子著)だった。
イラク、アフガンの帰還兵は約200万人のうちPTSDに罹患しているのは20パーセントなどと言われるが、実際にはPTSDだけでなくTBI(外傷性脳損傷)という深刻な傷病にも罹患しているという。
アメリカのようなハイテク兵器に立ち向かう「弱者」はIED(手製爆弾)を使用して抵抗するが、この兵器がアメリカ兵を悩ましているというのだ。
この爆弾による攻撃にさらされた兵士は「見えない
傷」を負いアメリカ本土に帰還した後もTBIに罹患
していて、普通の職業にも就けない状態になっているという。
アメリカはハイテク兵器を駆使してテロ組織と対峙
するが一方の敵は手製爆弾というロウテクで対抗して「非対称の戦争」を戦っているが長期戦でアメリカ側が疲弊し「勝てない」戦争の泥沼に入り込んでいるという状況をこの本は実証的に明らかにしている。
日本が安部政権の虚構の集団的自衛権の行使によって同盟国アメリカと共同作戦を行い、「戦地」に
赴けば「非対称の戦争」に入り込むことになる、
そうすればアメリカ兵のようにPTSD,TBIという傷病に見舞われることは必至であるだろう。
                   以上。