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0524 4/12公開討論会「Yes立憲主義 No解釈改憲」を終えて 笹井明子 2014/04/16 23:53:08
安倍政権が、力技で「特定秘密保護法」を成立させ、更に解釈改憲で「集団的自衛権行使容認」を通そうと前のめりになっている中で、こうした一連の動きを「立憲主義」の危機と捉え、阻止するうねりを作ろうと呼び掛けられた公開討論会「Yes立憲主義 No解釈改憲」が4月12日に開催され、私たちも協賛グループとして参加しました。

討論会の中で、パネラーの慶応大学名誉教授・小林節さんと社民党副党首・福島みずほさんは、夫々に
「憲法9条をどう解釈しても集団的自衛権は成り立たたない」
「「安保法制懇がまとめた集団的自衛権が問題となる4類型は、現実味のないファンタジーか、警察権や個別的自衛権で処理できるもの」
「安倍総理や安倍総理の意向を受けた安保法制懇や内閣法制局は、現実認識や法の論理を理解できないバカ」
「売られてないけんかをわざわざ買いに行くのが集団的自衛権行使。解釈改憲でこれを通すのは法の支配を無視した、日本国憲法殺人事件」
など、現政権の目論見を厳しく批判しました。

一方参加者からは、パネラーの指摘に同意しつつも、安倍政権のデタラメで強引なやり方に日々怒りを募らせてきた経緯から、「色々行動してきたけれど、今は空しさを感じる」「状況を変える大胆で有効な打開策が欲しい」など、現状打開の方策が見つからないことに対する、無力感や焦燥感が表明されました。

それに対するパネラーの答えは、「諦めずに声を上げ続けよう」「怒りを持続しよう」と、ある意味月並みなものに終始し、従来から鋭い問題提起を続けているオピニオンリーダーたちでさえも、権力を独占した者たちの暴走に対する有効な対応策は見出せていない現実が浮き彫りにされました。

こうして、私自身もパネラーと共に怒りを新たにし、なおかつ打開のヒントを得られないことに苛立ちを一層募らせる結果となり、討論会終了後は強い疲労と空しさを噛み締めることになりました。

しかし、よくしたもので、公開討論会に参加してファイトを燃やした友人も居て、「9条の大切さを広く訴える具体的な行動」の積極的な提案が出されたり、会に参加しなかった「護憲+」メンバーの中から、「立憲主義の議論以前の、集団的自衛権そのものの危うさ」も明確にすべきという提言があったりと、討論会から今日に至るまでの3日間の間に、多角的な考え方の提案・提示に接することができて、私の中の「どうしようもない」という沈滞気分が一気に晴れて、持ち前の楽観主義が再び動き始めました。

考えてみれば、今回の公開討論会を企画したジャーナリスト・今井一さんの継続的な尽力もあって、最近は「立憲主義」の重要性をマスコミも取り上げるようになり、巷にもその視点に立った安倍政権批判の声が上がり始めています。

そうであるならば、私たちは、「立憲主義の危機打開」のみに囚われず、例えば「憲法改正のための国民投票」発議後を視野に、「平和憲法」の存在意義そのものを広く積極的に訴えていく方向に重点をシフトすることも、意義があると思います。

それにしても、今回強く感じたのは、ヒーローでもリーダーでもない私たちが巨大化した権力の暴走に対峙するためには、パネラーが言う「あきらめずに声を上げ続ける」「怒りをもち続ける」ことに加えて、「仲間と共に知恵を出し合う」ことがいかに大切かということです。

一人で思いつめても良い発想は湧いてきません。仲間と共に問題に真剣に向き合い、多角的な視野を分かち合って始めて、前向きに考え行動する新たな発想が生まれます。こうして、(小田実さんが言うところの)「小さい人間」である私たちにも、苦しい状況を乗り越えるチャンスは必ず訪れると、今は思うことができます。

気がつけば、間もなく憲法記念日です。戦争の惨禍を経て生まれた現行憲法の、掛け替えの無い価値を護るべく、再び立ち上がり、行動開始です。