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0506 「国益」に反する原発輸出 2013/12/31 02:25:23
日本で新規の原発計画は、地元民の反対で実現困難だろう今、安倍首相は、原発を輸出することに非常に熱心だ。

2013年は、まるで原発の商売人のように2回もトルコに売り込みに行き、5月にはエルドアン首相からシノップ原発受注の約束を取り付け、10月には「事業化可能性調査」の枠組みに合意を得ている。

トルコの原発予定地は、北部の黒海南岸シノップで、2023年までに1号基を建設し、続いて4基を建てる計画。それを請け負うのは三菱重工で、総事業費は約220〜250億ドルの見込みとのこと。

安倍首相は「原発輸出で外貨獲得」の掛け声を発しているし、「トルコ自体が原発建設を希望しているのだし、儲かるんだから、いいんじゃない」と思う人もいるかもしれない。しかし、そう簡単に済む話ではなさそうだ。

まず、地震国トルコは、1900年以降の200年間にマグニチュード6以上の地震が72回も発生している。この50年でも1000人〜1万7000人が亡くなった地震が7回。

しかもトルコでは耐震性のない建物が大部分であり、原発周辺の建物やインフラが毀れれば、電力が途絶えて福島第一のような事故につながらないとも限らない。当然、トルコ国民も、この危険性には気付いていて、反対運動も起きている。

何か事故が起きた場合、非難と責任は建設した企業に向かう。そして賠償金も負うことになるだろう。事実、三菱重工は、アメリカに輸出した原発の部品の破損事故で、その原発が廃炉となったため、当初の契約以上の賠償金を請求されて争いとなっている。

このシノップ原発で事故が起きた場合、トルコだけでなく黒海周辺の国々まで汚染してしまうリスクがある。三菱重工一社で賠償金を負えなくなった場合、日本国民の納めた税金が注がれることだろう。東電の福島第一の後始末のように。

そして、驚くべきことは、売り込んだ原発の放射性廃棄物は、日本が全部引き受ける方向で話が進んでいることだ。

地震国日本で、自国の放射性廃棄物の処理さえままならず、福島原発から出た、そして今後も出続ける大量の放射性廃棄物の行くえも決まらないのに、気前よく引き受けようと言うのだ。

事あるごとに「愛国心」をいう政治家たちは、日本列島を放射性廃棄物の捨て場にすることに、なぜ反対の声を上げないのだろうか。

さて、特定秘密保護法が成立した今、こうしたことも「外交秘密」にされてしまうのだろうか。政府が隠したいことは、60年隠す、隠したこと自体も秘密にされる。秘密指定は官僚の恣意のまま、国民は知らないことばかり。

数年後も相変わらず福島第一の汚染水はコントロールできていないだろうが、汚染水情報はコントロールされていることだろう。

原発輸出について詳しく知りたい方は、以下を参照してください。
「トルコへ原発輸出、三菱重に影落とす巨額賠償問題」(日経)
http://www.nikkei.com/article/DGXZZO62265460X01C13A1000000/