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0501 天知る、地知る、人知る(3) 流水 2013/11/26 16:42:09
今日、秘密保護法案が衆議院を通過しそうである。昨日行われた福島での公聴会は、反対・慎重審議が大半だった。その翌日国会で強行採決する。秘密保護法案が如何に反国民的、反民主主義的法案であるかを示す象徴的出来事である。要するに、【国民は寄らしむべき、知らしむべからず】存在である、と宣言したも同然。いよいよ、安倍ファッショ政権の本質がむき出しになってきた。

さて、秘密密保護法案の騒ぎの中で忘れられがちになっているが、TPP交渉の内容が少しずつ明らかになるにつれて、その危険な本質が明らかになりつつある。

TPPに対する安倍首相のスタンスは、国民騙しに終始している。彼の発言の変化を見てみよう。2012年12月の総選挙で、「TPP断固反対」の公約で勝利した。この選挙で安倍晋三は、以下の六つの点を国民に約束した。

1.例外5品目の関税を維持する
2.数値目標を受け入れない
3.食の安心・安全を守る
4.国民皆保険制度を維持する
5.政府調達・金融サービスで国の特性を尊重する
6.ISDS条項を受け入れない

その舌の根も乾かないうちに、TPP交渉参加に舵を切り、上記の条件を勝ち取る強力な外交交渉を行う、と大見栄をきった。もし、受け入れられないなら、TPP交渉を脱退すると言いきった。

こんなものが絵空事に過ぎない事は、多くの識者が指摘していたが、案の定、例外品目すら守れない事が明らかになった。

そもそも、TPPの本質は、「米国の米国による米国のための枠組みである。 米国は、これから世界の成長センターになるアジアの果実を獲得するために、米国を主軸とする経済連携、自由貿易の枠組みを構築しようとしている。 TPPに日本が参加しなければ、TPPはアジアに食い込む強力な武器にはならない。」・・植草一秀(知られざる真実)http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/post-3355.html 

さらに言えば、月刊誌「世界」11月号で、アジア太平洋資料センター事務局長の内田聖子氏が指摘しているように、「TPPは単なる貿易の話ではなく、『利潤か、人間か』という問い」である。ひたすらに利潤を追い求める米国経済が行き詰まりを見せ、資本主義も末期かと思われた時に、突如として出現したグロテスクで、不平等で、いびつなルール。それがTPPなのである。

つまり、米国にとって日本こそ最大のターゲットであり、日本が加入しなければ、TPPの本来の目的が達成できない。完全に行き詰まった米国製造業を回復させるためには、日本の製造業破壊が一番手っ取り早い。世界最大の資本主義国の断末魔のあがきとも見える。

さらに危険な事に、「米国ユタ州のソルトレークシティではTPP(環太平洋経済連携協定)の主席交渉官会合が現在行われている。(11月19日から26日まで。日本では鶴岡公二主席交渉官らが参加。)この参加12カ国で行われている主席交渉官会合で実に驚くべき取り決めが行われた。日本では特定秘密保護法案の阻止に向けて喧々諤々の反対論が巻き起こっている中で目立たない形で報道されているが、ここにいたってTPPの最も恐ろしい性格の一つが表面に出てきた。

それは一度決められたら、もう後戻りは許されないという“ラチェット規定”である。2011年辺りから、TPPの危険を論じ警告する有識者たちは、ISDS条項(投資家対国家間の紛争解決条項)の存在は確実としていたが、ラチェット規定についてはその可能性を米韓FTAから推測するしかない状況であった。

つまりラチェット規定(条項)については、おそらく出てくるだろうという範囲でしか説明することができない状況だった。ところが、ソルトレークシテイでの主席交渉官会議では、11月23日ごろこのラチエト協定が合意されている。」・・・http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2013/11/post-ea14.html

TPPで合意したものの、あまりの自由化で国内産業が壊滅的状況になったので、もう一度関税をかけようとしてもできない仕組みになるという事である。つまり、政権交代が行われても、後の政権では政策変更ができないのである。これが国際資本の狙いである。つまり、TPP交渉の最も危険な本質、【ISDS条項】と【ラチエト条項】の二つが、はっきり姿を現したのである。

このTPP交渉は、行き詰った米国資本のためにある。その為には、どうしても日本の参加が必要。袖をひかれた日本はきわめて有利な立場にある。男女の恋愛でもそうだが、袖を引かれれば、じらす。じらす事によって相手をさらに燃え上がらせる。これは、古今東西、変わらぬ交渉の手練手管というもの。それが、このざまである。

相手(米国)が袖を引いているにもかかわらず、自分から相手の袖を引いて、相手の術中にはまる。それどころか、米国の意図を先取りして、やすやすと相手の術中にはまり込む。安倍首相の言う強力な交渉などできるはずもない。それは、過去の日米交渉を見れば、明白である。過去の日本政府よりはるかに【米国隷従】の安倍政権。「どこまでもついてゆきます下駄の雪」 情けないが、日本政府の米国政策は、これ以外ない。

こういう現実を知りながら、国民には、上記の六条件を語る。要するに、全てを分かって、意図的に国民を騙している。これは、【詐欺師】の手口そのもの。我が国の政党の【公約】などというものは、如何に巧妙に国民を騙すか、というものであろう。

TPP絶対反対が、TPPに喜び勇んで【参加表明】するのだから、政治家の言葉などというものは、「髪よりも細く、紙よりも軽い」と思わざるを得ない。そんな彼らが道徳を説き、教育を語るのだから、如何ともしがたい。