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0500 児童ポルノ公然陳列罪の拡大解釈(最高裁) 名無しの探偵 2013/11/19 16:47:24
最高裁は最近の判決で違法なサイトのURLを自分のHPに書き込んだ行為でも犯罪になるという判断を下した。
その判決は「見ず知らずの他人がアップした児童ポルノ画像のURLを一部改変して、自分のHPに掲載した行為でも児童ポルノ公然陳列罪の正犯にあたる」としたものである(最高裁平成24年
7月9日)。
そしてこうした最高裁の判例を受けて、大阪高裁は次のように判決文を示して児童ポルノ公然陳列罪の成立を認めている。
「他人がウェッブページに掲載した児童ポルノへのハイパーリンクを他人のウェブページ閲覧者に対し当該児童ポルノの閲覧を積極的に誘引する行為であれば」ポルノに該当する。
こうした最高裁や大阪高裁の判例に関してネット犯罪に詳しい弁護士は「最高裁決定の少数意見にもあるように、URLの紹介を公然陳列罪とするのは無理な解釈ですが」と断りつつ、「最高裁も
、結論としては大阪高裁の判決を追認しました」と説明している。
このような判例の動きについて何が問題になるのか。まずわいせつ物陳列罪や頒布罪(刑法175条)はネット社会の進展に即して刑法改正があり、それらは「電磁的記録に係る記録媒体」としてわいせつ物に新設されたものである。そうした
刑法改正は当然のことであるが問題なのは「何が犯罪行為なのか」という明確性である。
私たちは犯罪行為が特定され明確化されているので安心して表現行為をしたり取引行為を行うことができるのである。これは近代市民革命以後に確立した「罪刑法定主義」という原則である。憲法上では適正手続きの保障(31条以下)といわれる。
ところが、上記のような最高裁を中心とした判例の運用実態によるとわいせつ物の頒布とか陳列行為という明確な行為だけが処罰されるものと市民が思っていても他人のURLを紹介する行為も
陳列罪であるということになると特定の行為以外でも何でも処罰の対象になる可能性があることになり、めったなことはやれないという結果になる。これは罪刑法定主義の保障がもはや存在していないということになるのではないか。つまり、最高裁は禁じられた「類推解釈」を犯しているのでないかという推定も成り立つように思われる。
近代法の原則が市民革命以後確立されたにもかかわらず、憲法上で保障された基本的人権とりわけ
表現の自由、刑事手続き上の人権保障に関する『最大限の保障』(憲法)を軽んじている司法の
法運用:裁判官の判断ではこれではまったく憲法の保障が機能停止してきていると言わざるを得ないと思われる。