呼出完了
0486 静かなるファッシズム 流水 2013/08/08 10:26:22
参議院選挙も終わり、日本の運命もほぼ決まった。ファッシズム体制の始まりである。

大方の予想通り、自民党の圧勝。自民党は経済一辺倒、アベノミスクなるまやかしの政策の成果を強調。景気回復の幻想をふりまき、勝利した。

憲法改悪・TPP・脱原発・消費税増税・年金改革・医療改革などの21世紀日本の運命を決定する重要課題についてはスルーした。後は自民党のやりたい放題であろう。

私自身は、今回の選挙、自民党の勝利と言うより、民主党に対する深い絶望(政治に対する絶望)が自民党を勝利させたと考えている。

わたしは、【日本における政権交代】は他国における【革命】に匹敵する、と何度も書いた。【革命】なのだから、必ず【反革命】が起こる。これは歴史の教訓。反革命に対する対峙の仕方を誤れば、政権は瓦解する。この単純な理屈が、民主党の連中には分かっていなかった。

案の定、既得権益層(政・官・業・メデイア・外国企業など)の反撃は、激しいものだった。

メデイアではぼろくそに叩かれる鳩山由紀夫だが、彼が決定した【年次改革要望書】の廃止は、彼の大きな業績である。しかし、この決定は、米国の逆鱗に触れた。鳩山政権転覆の最大の理由であろう。

同時に、小沢一郎に対する攻撃は、彼の「自主独立」の思想が米国にとってきわめて都合の悪い思想であり、「米軍は第七艦隊だけで良い」という発言は、その証明のように映ったのであろう。

この間の事情を物語る資料がウイキリークスによって暴露されている。

http://ameblo.jp/asuma-ken/entry-10775400787.html
http://www.j-cast.com/2011/09/18107252.html?p=all
http://www.asyura2.com/11/senkyo105/msg/229.html
http://soba.txt-nifty.com/zatudan/2011/01/post-0893.html#top

この文脈で鳩山・小沢に対する攻撃は行われた。たとえば、鳩山由紀夫に対する母親の贈与問題など、詳しい資料は、国税以外分からないはず。この一事をもってしても、既得権益層の反撃の凄まじさは理解できる。

小沢一郎に対する攻撃は、戦前の「帝人事件」を彷彿とさせるもので、ウォルフレンが【人格破壊】と呼ぶほど常軌を逸した攻撃が行われた。検察のリークに基づく報道が毎日のように行われ、戦前の「赤攻撃」を彷彿とさせた。

菅直人が民主党代表に就任した時の挨拶で、小沢一郎に対して「当分の間静かにしておれ」と言い放った理由も、上記の資料で理解できる。

その後の民主党政権の体たらくは、ご存じのとおり。菅直人が言わなくても良い【消費税増税】を打ち出し、参院選に敗北。その責任も取らず、首相に居座り、結果、党内抗争は激化。追い詰められていた菅直人は、3・11大震災を自らの延命に利用。懸命のパフォーマンスを行った。しかし、福島原発事故対応で危機管理能力の欠如を露呈した。

結果、党内抗争はさらに深刻になり、民主党に対する失望は嘲りに変わった。

菅の退陣後、野田佳彦が首相になったが、党内対立はさらに深刻になった。野田は、民主党の理念を弊履のごとく捨て去り、しゃにむに「消費税増税」を強行。ついに、党内分裂にいたった。これも、小沢一郎を葬り去ろうという宗主国米国の意志、既得権益層の意志に沿ったものであることは容易に想像がつく。

おまけに誰が見ても民主党が大敗するであろう解散総選挙を断行。結果、民主党は惨敗。戦後初めて、国民の期待を集めた民主党政権は、あえなく瓦解した。

民主党の歩みを見ると、国民に提示した約束(国民の生活が第一)に対する裏切りの連続であり、この約束を断固として守ろうとした勢力(鳩山・小沢)に対する攻撃を、党内一致結束して守ろうとする革命勢力としての理念も信念も度胸もなかった。

菅直人の裏切り(国民に対して)・前原・枝野・仙石・岡田・安住などの政治的確信犯や、権力に舞い上がり労働運動の初心を忘れた連合など、民主党政権を瓦解させた原因には事欠かない。

これらは、「権力のデーモン」の本質を知らない民主党連中の未熟さもあるが、本質的には、自らの心の内部の【差別意識】を覗きこもうとしなかった哲学なき人間の未熟さであろう。

【エリート意識】と【差別意識】は表裏一体のものであり、これを克服するためには、それこそ日常的な「自己否定」の繰り返しが必要となる。常に「俺は間違っていないだろうか」という問いかけを忘れてはならない。

民主党の連中は、【国民生活が第一】という松明を消してはならなかった。どんなに稚拙でも良い、どんなに遅々とした歩みでも良い、【国民生活が第一】の理念を泥だらけになって実現しようとしているという姿を見せなければならなかった。

この一途さ、泥臭さが、民主党政権を存続させるはずだった。しかし、菅や前原のような「ええかっこし」連中には、こんな泥臭さなど到底できるものではなかった。

さらに民主党の大罪は、戦後初めて国民が抱いた【政治に対する希望】を粉々に打ち砕いた点にある。民主党政権の成功は、21世紀の日本が政治を国民の手に取り戻すための絶対条件だった。彼らは、この歴史的使命に対する自覚がなかった。自らの権力維持のための党内抗争に明け暮れ、結果民主党政権は瓦解。国民に「政治に対する深い絶望」だけを残した。

民主党政権に対する絶望は、民主主義に対する絶望を意味する。国民の政治に対するシニシズム・アパシー・絶望は、ファッシズムの温床になる。

今回の選挙、安倍首相や自民党に対する熱狂的支持はなかった。そうではなくて、国民の政治に対する深い絶望が、自民党を勝たせた。

麻生財務大臣のナチスドイツ手本発言は、彼らがこの事態を良く知っている事を示している。国民が政治に絶望をし、眠っている間に【やれる事は何でもやろう】と言う事である。麻生が【静かに】やろうと言っているのは、この事を如実に示している。まさにナチス発言は、安倍政権の本音そのものであろう。