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0481 投票に行こう 笹井明子 2013/07/10 16:59:27
投票日前から自民党圧勝が喧伝されている参議院選。今度の選挙に勝ったら、安倍自民党政権は、隠していた爪も露に、「強い国」作りとやらに向かって突き進むだろうといわれている。

地元の食品小売のおじさんとの立ち話では、「何でも値上がりでしょう。僕たち値段は上げられないから、自分たちで被るしかない。アベノミクスって何なんだろうって、みんな言ってるよ」というぼやきが出ていた。

久し振りに会った友人たちとの会話では、「福島原発事故は終息の見通しが立たないのに、再稼動とか原発輸出って、よく言えるよね。『半年前、世の中を覆っていた暗く重い空気は一変した』って安倍さんはいうけれど、どう見ても、ますます暗くて重い空気になっているじゃない」と意見が一致。

こんな私たちの実感をよそに、自民党政治に期待があるような選挙予測が報じられ、私たちの一票は「死に票」になると、予め宣告されていることが不思議だし、何とも理不尽の思いが拭えない。これでは投票に行く気が起きない人が大勢いるのも当たり前だ。

気を取り直して、自民党には絶対に入れない私の一票を無駄にしないために、何を基準にどういう選択をするかについて、今一度考えてみた。

まずは、選択の基準。
参議院は「良識の府」として、本来は政党の立場にとらわれず、議員一人一人の良心や信念にもとづく自由な議論、長期的な視野での審議・調査ができる場として期待されていた。

しかし実際には参議院も政争の具と化し、自民党は「ねじれ解消」を合言葉に、自民への票固めに奔走、野党各党も刺激的なスローガンを連呼して、自党への票の取り込みに必死だ。それに呼応するように、マスコミは政党毎の得票数のカウント予測に明け暮れている。

そんな熱に浮かされたような喧騒の中にあって、今回私は、原点に立ち返り、一人一人の候補者の主張と実践をしっかりと検証し、良識ある「個人」を送り出す、あるいは育てる、という視点で選択することを心に決めた。

「原発」「TPP」「憲法」「経済政策」などの争点について、似たような主張をしている野党が乱立する中で、「勝ち馬」を探して右往左往することは止めにして、「選挙区」「比例区」共に、信頼できる人物を私なりに見極めて、一票を投じるつもりだ。

もし、「投票してもしなくても結果は同じ」と棄権してきた人たちが、同様の基準で投票に行ってくれたら、その積み重ねによって「当選」の奇跡が起きるかもしれない。たとえマスコミが言うように自民圧勝の前に、あえなく敗北したとしても、高投票率によって、これからに繋がる二つの財産が残されると、私は思っている。

そのひとつは、仮に自民党が当選議員を多数獲得したとしても、得票率によっては、落選議員に投票した有権者の民意を無視できなくなること。

例えば「原発再稼動」には6割以上の人が反対していても、投票者数に対し自民党の得票率が圧倒的に高ければ、自民党は全てが承認されたとして、再稼動を強引に進めることは明らかだ。しかし、「再稼動NO」を掲げる政党や候補者総計の得票率が無視できないほどの高さになれば、自民党も慎重にならざるを得ないだろう。

各政策に対する評価を可視化することは、政治を健全化し、真の民主主義を育む重要な一歩だと思う。

もうひとつの大事なポイント、それは「供託金」の問題だ。公職選挙に立候補するには供託金が必要で、有効投票総数に対して一定票に達しない場合それは没収される。参議院選挙では、選挙区は300万円、比例区は一人当たり600万円という供託金が定められている。

中小政党の乱立で、小規模政党からの立候補や無所属の立候補者は落選の危機だけでなく、高額な供託金を没収される危険にも、常に晒されながら闘っている。供託金を用意できないために、次への挑戦もできないというのでは、有能で良識ある若手政治家も育ちようがない。金持ち政党ばかりが幅を利かすことになってしまう。

志ある候補者に対して、ボランティア活動や、個人献金などで応援することは勿論だが、一票を投ずるという基本的な行為が供託金没収の防波堤となり、未来への投資として生きることを考えたい。

間もなく投票日。「私たち有権者が民主主義の担い手」との自覚と誇りを持って、健全な政治を求めて、できる限りのことをやってみよう。そう、まずは入魂の一票を!