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0438 「どうしたらいいのか、分からない…」 2012/09/04 01:03:41
精神障害者の当事者・家族・支援者が、月1回集まって話し合う会がある。毎月新しい人が加わるが、先月も新しい顔を見かけた。話を聞くと、いくつかの身体的・精神的障害が重複している。1人住まいで親とも連絡を取れないという。

数日前から、部屋に1人でいると猛烈な不安に襲われてしまい、居られなくなった。都心部に来て支援施設を頼ったが、お金もなく「どうしたらいいか、分からない」とつぶやくばかりだ。話を聞いていくうちに、薬も持って来ていなくて、昼も夜も飲んでない。

それでは、発作が起きるといけないから病院に行って、薬だけでも貰って来よう。強い不安で1人ではいられないというのだから泊まるところも探さなくてはならないし、緊急入院させてもらえないか、ともかく手持ちの病院のカードの中から、必要な薬が揃いそうな大病院に連れて行くことにした。

誰が一緒に行くかで、ハタと困った。今日は司会を請け負っており、席を外せそうもない。すると、当事者の女性と男性が名乗りを上げた。「病院には馴れているし」「薬のことなら、かなり分かるから」と。

昼食も夕食も食べていないというので、食事を買ってきて食べてもらい、とりあえずのタクシー代にとお金を渡し、病院に連れて行ってもらった。しかし、病院では薬は出してもらえたものの、緊急性はないと、入院の適用にはならなかった。

その夜は、支援施設が受け入れてくれることになり、男性の当事者2人が「一緒に泊まってあげるよ」となった。タクシー代を引いて残った額をそのまま渡したが、施設の人によると「煙草を3箱も買ってしまって…」。パンかお握りを買うお金と、家までの交通費は残しただろうか。

その翌日、別の病院を訪ねて入院を打診したが、そこでも断られてしまい、支援施設に戻った。そしてその後、彼はフッと居なくなってしまった。携帯は持っていなかったし、住所もまだ聞いていなかった。名前も名字だけしか知らない。病院に尋ねても家族ではないので、個人情報保護で何も教えては貰えない。

生活保護で暮らしていると言っていたから、かろうじてセーフティ・ネットには引っかかっているという状態か。担当職員は、時々連絡を取るだろう。しかし、1人で不安だと言っても、誰か泊まってくれるとも、何らかの対応をしてくれるとも思えない。

「どうしたらいいか、分からない」とつぶやく声と、心細そうな顔だけを、心に残して消えてしまった。私も「どうしたら良かったのだろうか、分からない…」とつぶやく。