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0422 シンプルな脱原発論 猫家五六助 2012/05/15 01:13:42
 5月5日の「こどもの日」、日本中の原発が稼働停止しました。「一瞬だけ停止」という政治家のウッカリ発言もなんのその、今のところ1基の原発も再稼働していません。

 原発は存在すべきか否かには様々な意見があります。原発肯定派は「現在の電力需要に対して脱原発は無理」「たった一度の『想定外』の原発事故をもって日本の原発技術を否定するのか」など。原発否定派は「電力供給が足りなければ需要を減らす努力で対応」「原発に依存しない発電・エネルギーへの転換」など。しかし、そんな賛否両論を戦わせている陰で政府は着々と原発再稼働への段取りを進めているように思います。

 ただ、私が最も関心を持ち、不思議に思っているコトは議題に上がりません。それが最悪の放射能汚染を生み出す心配のタネにも関わらず・・・原発再稼働・存在は是か非かの前に、事故を起こした福島第一原発に放置されている使用済み核燃料=高濃度の核廃棄物はどうなるのでしょう。「次に大地震が起きたら水で満たされた保管プールは崩落し、使用済み核燃料棒がむき出しになり、大量の放射性物質が拡散する」と専門家が警告しています。

 もっと言えば、日本中の原発54基から出た使用済み核燃料=核のゴミは捨て場所もなく、処分方法も再利用方法も「いまだに」完成していません。一時保管場所に溜め込むばかりで、そのスペースも限界に達しています。一時期、NUMOという原子力ムラの組織が新聞広告を出し、深層地層処分場を探していました。その内容「皆さんが使った電気のゴミです。捨て場所を真剣に考えましょう」に、「バッカじゃないの!この組織。何を責任転嫁してるんだか」と怒りを覚えましたが。

 「いまだに」というには、理由があります。私は30年ほど前、朝日新聞社が発行した「核燃料」関連の書籍を読みました。当時の私は「原発技術の現場をよく見聞きした科学読本」という感想をもちましたが、その後に同社の論説委員まで務めた著者は今、「原発を故意に肯定した魔女」という批判に晒されているそうです。

 その中で、核廃棄物を分解〜濃縮してガラスで固化し、熱をさましながら安全に保管する技術を紹介していました。核のゴミは「死の灰」、高レベル放射性廃液と記述してあります。当時は「ガラス固化体」技術の実用化に向けて実験を繰り返している最中で、この技術が完成すれば核のゴミ問題は解決する(核のゴミはわずかしか出ない)との内容でした。

 そのガラス固化体が今、青森県六ヶ所村の日本原燃(株)の高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターに保管されています。電気事業連合会のHPには「海外から返還されたガラス固化体」と書いてあるので、30年経たのに国内でガラス固化体を作れなかったわけです。しかも、大きいステンレス製容器入りで、30〜50年もの長い冷却期間が必要です。

そして、その前段階の使用済み核燃料棒「死の灰」が全国54基の原発に数千本単位で保管されているのが現状です。おそらく、30年前には54基も原発が稼働するとは思ってもみなかったのでしょう。そんなに稼働したらゴミ処理が間に合わないのに、イケイケで原発を作り続け、オール電化を推進してジャブジャブ電気を浪費させてきたわけです。

 汚い例えで恐縮ですが・・・極上に美味しい「禁断の果実」があります。でも、ヒトが食べると猛毒のウンコが出る。トイレで流すと下水道が汚染されて犯罪になるから、Aさんはビニール袋に厳重に密閉して、部屋に積み上げておく。やがて、部屋中が汚物のビニール袋で一杯になる。それでも、Aさんは「禁断の果実」をやめられない・・・その結果、どうなるのでしょう。

 Aさん、すぐに食べるのをやめなさい!彼の本名は「日本」、禁断の果実は「原発」です。