呼出完了
0409 現場からの報告−家族との再会に向けて− せっちゃん 2012/02/09 10:14:00
Aさんは、出所後1年を経過し、AP入居生活も安定してきました。1年前には「生活が安定して、少し自信がついて、家族との連絡をする気持ちが湧いてくる」と云っていました。

数日前、突然「是非、相談がある。」と事務所に来られました。担当が応対すると、「是非、聞いて欲しい」と指名を受けて話を伺うことになりました。

何時もだと、ご指名を受けての相談は、「お金を使いすぎたので・・・・・」「・・・・で大変になったので・・・・」等でしたが、今日は、どうもそういう類でなそうでした。

「どうしたん。今日は寒いね。体調はどう。ここまで来るのは寒かったろう・・・。」とあったかいコーヒーを入れて面談室で待っているAさんに声をかけました。「寒かった。体調は良か。この手紙ば見てくれんね」と少し鼻を赤くし、目を輝かした顔をして手紙を差出しました。

手紙は達筆な字で、「33年間音信普通で、どうしているかと思っていたこと。手紙をもらって、達者で暮らしていることで安心したこと。一度、故郷に帰ってきてこれまでの消息を聞きたいこと。」がしたためてありました。そして、その際に、「33年前、突然いなくなったので、APの大家にその処分を迫られ費用を負担した金額を返して欲しい。回答を待つ」とありました。

「どうしたら良かかね。妹の亭主が代筆で、妹の言うがまま書いたとあるやろ。亭主は役場に務めとって妹と職場結婚やったと。妹夫婦には散々迷惑をかけたったい。おいがこげんな風やったからな。金はあるやろか。」

生活保護での単身生活なので、安定したといっても、すぐに借金返すお金が貯まっているわけではありません。担当に、Aさんの預金等を調べてもらいましたが、借金をすぐ返せる貯金はなかった。

そこで、Aさんと返済金の返済方法と故郷に帰る旅費、手土産、お墓参りの香典代、手持ちのお小遣い等々を計算して見ると、Aさんにとってかなりな出費となり、生保の生活費からの捻出にはかなりな覚悟必要でした。

Aさんは「今、酒もタバコもやめとう。これからも続ける」ということで、今現在の預金残金(1月家賃と水光熱費レベル)はいざと云う時の為に手をつけずに、「返金は3分割でお願いする。毎月○円を貯金し、夏に1/3又は1/2かを返す為に帰郷して、これまでのことを詫びて、妹夫婦だけではなく、兄弟とも会えるように取り計らってもらう。1/3もしくは1/2は暮れに送金することを目標にする」ことで相談がまとまりました。また、義弟に私が手紙を書いてお願いすることになりました。

白板に数字を書きながら話をすると、目を輝かしているAさんがそこにいました。そして、来た時よりも少し勢いを感じさせる空気と「お世話になりました。がんばります!」の声を残して事務所を後にしました。コーヒーはお互い口をつけないまま冷たくなっていました。