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0397 この頃思うこと 鈴木建三 2011/11/15 21:06:33
このところ、地域の九条の会にも無理してもなるべく付き合うようにしているが、今度品川正治氏の講演を四度聴く破目になった。

そうしたら、その聴衆に配るパンフレットに「デモになるべく行こう」というエッセイを載せ、自分で九条を胸に書いて、その英文を背中に書いて出かけたら、外人の記者の注目を引いたと、得々と詳しく書いて自己宣伝をしていらっしゃる方がいて、私は大変恥ずかしく、そんなことをこういうところに書いて(なさったこと自体に文句はないが)余計な恥ずかしいことをする人だと思った。

私の趣味としては、こういう半ば公的な場所で、必要のない自己宣伝をするのはとても恥ずかしいことで、李白のような大詩人でも、有名な「桃李園の序」で、われ独り康楽に恥ずといっているキザのほうがずっと良いような気がする。
 
それで思い出したが、この前やはり品川さんの講演会の後で、品川さんを追っかけてきたご婦人が、「私みたいな下々の者」とおっしゃるので、私が「下々の者」はないでしょうと言ったら、ここの九条の会の代表者のおばさんから、「この人(私のこと)は言葉にうるさいから」と一喝されてこれも困ってしまった。とかく浮世は私のような愚か者には生きにくい。
 
なぜこんなつまらないことを書いているかというと、東日本大震災と福島原発の大事故の後の復興計画について、−−(あんな妙な機械が東北に沢山あるのは、あそこの経済、過疎化と大きな関係がある。青森の県予算の半分はこれ関連の補助金で、これは今後も原発を作る約束をしないと出なくなるのである。)−−東北の復興はぜひ必要だけれど、それが今の日本のようなアメリカ式の金儲けだけの経済でなくて、もっと東北の美しい自然の中での穏やかな生活の復活を願っているからである。だからTPPなんて無い方がいいと思っている。
 
私の田舎の愛知までは、昔は東京からすぐ広い田園地帯だったのに、新幹線の周囲はもうほとんど水田はなくなってしまった。戦争中何年も飢えに飢えた私はとても辛かったので、食料の自給率をこれ以上減らす復興はとても恐ろしいのであり、東北ぐらいは美しい農村であってほしいのである。
 
しかしもうひとつ考えると、私は個人主義と自由主義が好きな人間で、小学生の時から個人主義者で自由主義者で、仲間にいじめられても変わらなかった人間だから、それを人間の理想としている。支配されるのは大嫌いで、主権在民の頑固な「民主主義者」なので、この水田文化を中心とする農村といった考えとはなかなか両立しそうもなく、この意見もなかなか問題がありそうな気がする。

それでもやはり、東北の復興が、金儲け中心というか、あの空恐ろしい経団連的な復興になったら恐ろしく悲惨なことだと思うのに変わりはない。
 
私の妄想は、美しい穏やかな東北を作りながら、戦前の陰湿な村八分など無い、主権在民で、自分で物を考えてそれをはっきり主張できる世界ができることである。

下々の民はいらないし、一人一人の人間がちゃんとものを考えてほしいのである。これはやたら難しい理想だけれど、私は終生それを願っている。そしてある意味では日本的な慎みと羞恥心は失くしたくない。
 

というわけで、自分でもとても困っている。それでも私は、今後の復興はひたすら金儲けだけが中心でなく、過疎でなく豊かな農漁村を作るべきだという考えは変わらない。

これは、お米などを政府が高く買い上げて国民に安く売ればいいのであり、変な軍事費などを止めれば充分可能だと考えている。復興もまた、己の欲せざるところをひとに及ぼすことの好きなアメリカさんの言うことばかり聞いていたら、それこそ大変である。それだけはアメリカどじょうの野田さんもやめなければいけない。