| 福島第一原発周辺の双葉郡の全非難世帯対象に、福島大学がアンケート調査したところ、「どんな状況になったら元の居住地に戻るか?」の問いに「戻る気はない」としたのは26.9%。
年代別にみると、34歳以下の家庭では52.3%。 35歳〜49歳の36.5%。それに対し「国が示す安全なレベルまで放射線量が下がればすぐに」としたのはわずか4.9%だったそうだ。 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20111108-OYT1T01100.htm
この記事を読んで思い出したのは、「死の町」発言だった。「死の町」とは、人っ子1人いない町を見た率直な感想だろう。
それは「故郷に帰りたい」という切実な願いを持ち続けている人には、あまりにも無情な言葉だと感じられただろうし、多くの心やさしい人たちは、この言葉に眉をひそめたのだろう。
でも…果たして、放射性物質の降り注いでしまった周辺地域に帰れるのだろうか。
チェルノブイリ原発事故の周辺住民は、強制的に移住させられたが、25年経っても帰れないままだ。 それは日本でも同様なのではないだろうか。
放射能については「このくらいは何でもない」という話も聞いたが、私はそうは思わない。この記事を読んでもらいたい。
「米国データが示す低線量内部被ばくの影響 原発施設周辺で事故なくても健康被害」 http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2011062302000042.html http://heiheihei.cocolog-nifty.com/blog/2011/06/62312-d7d8.html
稼働していた1950年代から89年に、古い原発のある14郡の白人女性の死亡率が37%上昇。米国全体での上昇率は、わずか1%だから有意の差である。
ことに放射能の影響が強いとされる乳がんに限ると、米国全体では微増なのに、その郡では5倍。
そして原発を廃炉にしたら、その周辺64㎢で4歳以下の幼児の小児がん発生率が、23.9%と激減している。
つまり長年のわずかずつの放射能被曝の結果なのだろう。これらの原発は、大事故は起こしていない。それに対し、福島第一原発は大事故を起こし、未だに放射性物質の排出中。
「除染して、故郷に帰してあげたい」というような中途半端な言動は、ことに若い家庭において、後年になって残酷な結果を生むのではないかと、私は危惧している。
原発事故の実態から眼を逸らし続け、曖昧な同情の言葉をかけ、叶わないであろう望みを抱かせて、中途半端な処遇のままに置いておいていいのだろうか。
どんなに厳しい状況であろうと、実態からは眼を逸らすことなく、そこから前を向いて出発するための対策と援助が必要だ。ことに未来を生きる若い家庭には。
| |