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0387 被支配国にも外交は必要である 鈴木建三 2011/09/19 02:12:23
  
 これは少し旧聞に属するが、九月七日の前原誠司のアメリカでの講演の記事が、朝日新聞の九月八日の夕刊の一面トップに載っている。
 ここにその見出しだけを紹介する。
 「前原氏・・・米で講演『武器使用緩和を』」「PKO原則見直し 他国軍も防衛」「武器輸出三原則にも言及」となっている。
 これで容易に察せられることは、政府よりもさらに右寄り、アメリカ寄りの発言であることである。
 もちろん前原氏は、日本の奇妙な選挙制度の小選挙区選出の一介の代議士で公務員ではないから、首相がこれを直ちに首にするわけにはいかない。公務員なら、政府見解をすら大幅に逸脱したこんな見解を、他国、特に実質日本を支配している国で発表した人間を即刻首にして、日本政府がこんな意見に反対であることを相手国に明示すべきである。
 しかし朝日ともあろうものが、この前原を民主党の政調会長(これは一私党の内部人事である)などと肩書きをつけているのを見ると、当人もなにやら特殊な人間のつもりになってアメリカで講演し、相手側もそのつもりで聞いたのではないかと危惧される。
 
 現政府は現憲法を護持すべき義務があることはいうまでもない。且つ、アメリカが日本の憲法の九条の存在を邪魔だと考えているのは随分昔から判っていることである。
 それにアメリカと日本の現在の関係は、アメリカ軍がその駐留地では治外法権を持っており、日本の枢要な各地に駐留し、その下に日本の自衛隊を傭兵として持っている(日本がアメリカと一緒に戦争にまきこまれたら、どちらが指揮をとるかを考えればこれは自明である)というのが実情で、日本はアメリカのアジア支配(西アジアを含む)の一大前衛基地なのであり、日中戦争時の日本の中国支配以上に、実質的にアメリカの支配下にあるのである。

 しかしここで間違ってはいけないのは、それだからといって、外交面ではアメリカは他国を支配したがる敵、敵というのが言葉が悪ければ、他国,他者なのであり、これと付き合うにはやたら日本的な甘ったれの、私情の無分別な表白は絶対に慎むべきである。外交官でもない一代議士が、馬鹿丸出しの放言をすることは許されることではない。

 戦争中,反戦少年と仲間から殴られもした鈴木としては、妙な言い方をすれば、アメリカの世界支配に抵抗して戦死した三百万の同胞に対しても、こういう人間の存在は実に慨嘆に耐えない。外交のイロハも知らない馬鹿である。
 ただし、これが今に首相になったときにアメリカさんとうまくやろうという下心なら話は別であるが、そういう人間は日本人としてはいてほしくない。
 
 ここまであまり真面目な文章でコラムとして少し申し訳ないので少しふざけると、女房が前原に関して、馬鹿な人なのに自信満々なのは困るといったので、私は馬鹿だから自信満々なのだと訂正しておいた。