呼出完了
0376 Re: 護憲コラム せっちゃん 2011/07/02 15:40:49
現場からの報告
−刑務所を最後のセーフティネットとして生きていかざるを得ない状況からの脱出を−
5月末の週末、弁護士から電話が入った「相談したい。累犯障がい者の弁護を担当しています。」とのことだった。詰まっている日程をなんとかして翌週月曜日に弁護士とあった。件の彼は、高齢で尚且つ言語障がい者で累犯を重ねていた。彼は、障害年金を受給しているのだったが、彼の兄弟が預金を管理していて、彼に年金が渡らない場合が多く、生活に困って万引きを繰り返し、回を重ねる毎に常習窃盗犯で刑期が長くなり、刑務所で年齢を重ね、社会との乖離と困窮の度合いが増々深くなっていく、困窮スパイラル状況に陥っている高齢障がい者でした。公判中の彼は、身元引受人もなくこのままでは、慣例として常習窃盗で数年の実刑判決で再び刑務所に戻らざるを得ないという状況でした。件の彼は、福祉的な支援が差し伸べられさえすれば、彼にとって、刑務所が最後の生活困窮状態と生命を守る<矯正>施設となっている非日常的な社会生活の困窮スパイラルが断ち切られ、日常的な社会生活を取り戻すことが出来ることが明らかだと思いました。
そこで、弁護士に説明を受けた週内で、接見の為の手話通訳の手配と接見日の設定をお願いし、私たちは、件の彼の受入れ先施設の決定を急ぎ、残された判決言い渡し日までの2週間で再弁論要請と再弁論に伴う陳述書の提出を完了させることになりました。
接見では、時間が限られた中で、窓越しの手話交換によって、こちらの準備状況と準備した施設入所への本人(彼)の同意をいただくことをなんとか果たす事ができたので、直ぐに、私たちと施設側双方による陳述書2通が弁護士によって準備されて裁判所に提出されました。数日後の判決言い渡し日には、再弁論が実現し、陳述書も証拠採用されて結審となり、判決の言い渡し日が指定されました。私たちは執行猶予による貧困スパイラルからの脱出の期待を持って、再度の判決日を迎えましたが、判決は、窃盗常習の場合、数年の刑期に課せられる旨と今後の福祉的支援を受けることのへの言及がなされた上で、10ヶ月に刑期を短縮した上で、拘置30日を差し引いた9ヶ月の実刑判決が言い渡され、執行猶予による福祉への橋渡し向けた支援は私たちの力が及びませんでした。しかし、控訴の道は残されており、本人の同意と意志による控訴を準備し、高齢、障がい者が社会的な福祉的な光が届かない故に、刑務所が最後のセーフティネットとして生きていかざるを得ない状況からの脱出と本来的な社会生活復帰に向けたささやかな光をともしたいと思っています。
現在、弁護士・障害福祉施設・他県地域生活定着支援センター等を含めた連携により、控訴に向けた具体的な支援プログラム準備作業に入ることになり、力が及ばなかった不十分性を補っていただき、控訴に向けた準備が整いつつあります。