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0357 現場からの報告−出所時の破顔を明日への糧として− せっちゃん 2011/03/09 21:15:23
昨年7月より、福岡県の地域生活定着支援センターが開設され、開設以降7ヶ月を経過する中で、刑余者の51人との出会いを持つに至っています。

その多くは、初犯の段階で福祉的な手立てが及ぶ環境にさえいれば、累犯を重ねニ・三十年の受刑生活を重ねて高齢に至る人生を送らずに済んだハズだった、との思いに駆られる出会いでもありました。
 
地域生活定着支援センターへの特別調整に基づき、依頼された人々は、高齢者(概ね65歳以上)、高齢障がい者、障がい者で、且つ、出所後の身元引受人がいない人々である為、これまでは、出所時に出迎える縁者がいないわびしい状況に続き、満期出所後そのまま一人で街頭での生活を過ごさざる得ない環境の中で、出所後の1万から2万程度の持ち分を使い果たし、いのちを繋いでいく為に、コンビニのパン等の万引き(窃盗)や無銭飲食(詐欺)等で再び、刑務所に戻る生活を繰り返し、そのエンドレスを運命として受け入れ生きる他なかったのではないかと受け止めざるを得ない経過を負ってきたと云えます。

しかし、地域生活定着支援センターが各県で開設され、司法と福祉を繋ぐ社会的資源が準備されていく中で、そうした連環からの脱出と新しい生活環境の適合的な準備を整えていく努力が累犯刑余者に繋がっていくことが可能になったと云え、そうした社会的資源として、私たちの支援活動があります。
 
特別調整の依頼を受けて刑務所・矯正施設に面談に行き、本人から聞き取りや行政的な諸手続きを経た調査に基づき、出所後の支援計画を立案した結果について、本人との合意形成に至った時の本人の“お願いします”の笑顔に勇気づけられ、その間の汗が洗われる思いをし、出所の時を迎えます。そして、早朝出所時の出迎えでの破顔に出会うと、また一つ、勇気づけられる自分がそこにいます。
 
出所し、次に向かう車中で、弾んだ声を聞きながら、共に選択し、合意に至った“生活再生計画”が本人に適合的であるように祈りながら、“弾んだ声の実り”に希望を託し、一方では、“生活再生計画の破綻後の手当”を思わざるを得ない自分を発見することになります。これもまた、避けて通れない“職業病”かも知れません。
 
ただただ“破顔”に希望と未来を託し、ともに人生を歩んでいけることを願い、人生の最後に、“生れてきてよかった”との思いが彼の人々に残ることを願い、明日の糧としています。