呼出完了
0347 笑って生きる・雇用と失業について 桃李 2011/01/03-00:17:19
あけましておめでとうございます。

今年の私の目標は「ふつうの生活を笑って生きる」です。

 菅総理は、雇用を増やす。と就任以来ずっと訴えています。私の夫は外国人ですから、日本人の失業と違う経験をしたところもありますが、私の家族の失業の経験と感想を1年のはじめのコラムにしたいと思います。

 フランスからもどって9ヶ月が過ぎました。今では向こうで暮らしていたことがすっかり夢のようです。フランスでの生活は、日本での仕事の契約が終わるタイミングと恐慌が重なり次の仕事がうまくみつからず、私にとっては、夫の失業期間半年あまりが生まれて初めての海外生活。というまったくもって予想していなかった厳しい、けれど勉強になる経験でした。

ところが悲観視ながらフランスに帰国してみると、思いの外暮らしやすい!! 日常の食品の物価はとても安く、家は保証人も仕事の内容の年収も聞かずに大家さんがリフォームしたてのきれいな部屋を貸してくれ、地元のフランス語学校の校長先生は、ポーランドからの移民女性(生物の研究者だと言っていました)や私に「ひと月無償でうちのふつうの授業に出席しませんか。」と提案を持ってきて、おかげで月曜から金曜まで朝から昼過ぎまでは他国からの留学生と一緒にフランス語を勉強できました。おまけに近くにあった美術大学は、これは仕事をしている人たちもおなじ条件ですが、町の事業として社会人向けの夜の授業に1年間で2万円くらい参加できました。また音楽家の日本人の友人は、歩いていけるところにあるオペラ座でのコンサートに誘ってくれました。その値段も安い。

 働かざる者喰うべからず。と教えられて育った私にとって、これらの経験はひっくり返るほどの驚きでした。フランスはなんという国だろう!「人が生きること」に対して、フランスの人たちが歴史の中で苦しみながら勝ち取って形にしてきたものに触れ、国家としての欠点はあるとしてもすごい。と思わざるを得ませんでした。そしてそれは今の日本国家には無いもののように思いました。

失業者はただでさえ惨めな気持ちになります。そのとき、家族の支えだけでなく、このような社会の支えがあれば惨めさを抱えながらも仕事探しや、生活にもがんばることができる。そう感じた経験でした。働きたくても仕事が見つからず日本にいたらどうなっていただろう。と思います。

終身雇用制が崩れた後の日本社会では失業者は増えてあたりまえ、そして私がフランスで出会った語学学校や失業者への互助的考え、日本の失業率と自殺率の相関関係を考えると、国家の政策も私たちも、失業者がもっと恥を感じずに暮らしやすく人の温かさに励まされて、へこまないで仕事を探し続けられるよう、頑張れる何かを提供できないか。そう思わずにはいられません。

 いくら今の政権が雇用を増やすと言ったって、仕事が見つからず失望して亡くなっていく人の多い現実も同じようになくしていかなくちゃいけないじゃないか。そう思います。私たち国民や企業の心意気が試される時代なのかな。とも考えています。