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0326 小さな親切とマルクスの復活 成木清麿 2010/08/23-23:57:58
8/23コラム

昨日の朝サイクリングロードに差し掛かると、向うから来たロードレーサーらしい若者二人が入り口に立ち止まって待っており、「どうもありがとう」と会釈すると深々と一礼されてこちらがどぎまぎする始末、
さらに少し行くと小学生らしい少女二人を連れた若い父親が端に寄って待っていてくれました。
年寄りの特権を振りかざす気は毛頭ないけれど、若い人の小さな親切や礼儀正しさはひときわ心に沁みるもの。

敗戦後数年間、みんな飢えに悩まされいたこともあって活気はあったもののとげとげしい若者も多く、盛り場などぶらぶらしていると、昼間でも「ガンつけたな!」と凄まれかねなかった。
今は繁華街の路上に座り込んだり、車中でお化粧したりするのも見受けられるとはいえ、おとなし過ぎる若者が目立ち、それが雇用や年金制度の不安とあいまってニートや引きこもりを生んでいる。


ところで昨今カール・マルクスが見直されているとか。20年前ソビエト連邦が崩壊したとき「マルクス主義は死んだ」と保守派ははやし立てたものですが、どっこいしぶとく生き残ったのです。

日本が敗戦後のどん底からあっという間に立ち直り、わずか23年にして世界第二の経済大国にまで成長した原動力は、少しでも豊かになりたい切実な願いと、豊富な労働力、優れた技術、高い教育水準、勤勉などの資質に加え、伝統的な終身雇用制と自由民主党がいち早く取り入れたマルクス主義的な政策、すなわち高率の相続税と所得税による所得の再分配などでもあったのではと思います。

能力の有無にかかわらず定年まで面倒を見る終身雇用制は、マルクスの「能力に応じて働き必要に応じて取る」に一脈通じるものがあり、ゴルバチョフ氏が「世界でもっとも成功した社会主義国」と礼賛したのもむべなるかな。

しかし権力は腐敗する。さしも辛抱強く保守的な国民も、小泉内閣によって一段と加速された効率オンリーや年金制度のずさんさ、そして政官業の目に余る癒着と格差の拡大に呆れて、ついに政権交代が実現しました。
だがアメリカ依存から抜けきれない鳩山氏や菅氏の言動からも明らかなように本質的には民主党も自民党も似たようなもの。今後離合集散を繰り返して再び保守王国を築くような気がします。

私たち護憲派にとっての救いは、国民の過半は9条を残したいと考えており、しかも勢力は次第に伸びつつあること。
私も決して憲法が完璧だと思っているわけではないが9条や25条は是非守りたい。特に9条は世界でも類を見ない優れもので、たとえ今は絵に画いた餅であろうと恒久的な世界平和の先導役となるはずです。