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0289 新世紀の幕開け 笹井明子 2009/12/28-19:44:41
今から10年前、21世紀を迎えるにあたり、いつもどこかで戦争が起きていて、資本主義の謳歌と裏腹に弱肉強食がはびこっていた20世紀が間もなく終わり、いよいよ平和で調和の取れた時代に向って人々の叡智が動き出すだろうという、新世紀への漠たる希望を感じていた。

しかし現実には、21世紀に入って間もなく9.11アメリカ同時多発テロがおき、ブッシュ政権とそれに追随する小泉元総理を含む世界の“リーダー”たちによって「テロとの戦い」という名で戦争状態は拡散され、並行してネオコンによる「新自由主義」の席巻で新たな貧困が拡がって、この10年間私たちは翻弄され傷ついてきた。

そして2009年の今年、アメリカではバラク・オバマ氏が「CHANGE」を掲げ、日本では鳩山由紀夫氏が「友愛」を謳って登場。オバマ大統領の「核廃絶演説」も、鳩山首相の「コンクリートから人へ」のメッセージも、10年遅れの新世紀の幕開けに相応しい理念の存在を思わせた。

だが、新政権スタートからオバマ大統領は間もなく1年、そして鳩山総理は3ヶ月を迎えた今は、両者とも理想と現実の狭間で様々な批判に曝され、難しい舵取りを迫られているように見える。実際オバマ大統領の最近の「正しい戦争」発言や鳩山総理の普天間問題への対応を見ると、世界の平和に向けた歩みは決して平坦でないことを思わせられる。リーマンショックに端を発した経済破綻の問題も、21世紀に相応しい解決戦略が見えているとは思えない。

こうして世間では「外交の連続性」だの「不況をどう克服する」だのと、過去の亡霊たちがもっともらしい評論を始め、両者共に支持率低下も取り沙汰され始めている。

しかし、オバマ大統領と鳩山総理に共通するのは「今までのやり方を変える」のゆるぎない決意であり、現政権を選択した私たちに共通するのは「今までのやり方とは決別したい」という痛切な願いである。

21世紀始めに訪れた10年にわたる不幸な時代に後戻りするわけにはいかない。せっかく訪れた「変革」のチャンスに、私たちは簡単に失望を口にすることなく、忍耐強く粘り強く、新たな世紀創造の一翼を共に担って行きたい。そんな思いを胸に抱きながら、間もなく2009年は終わろうとしている。