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0281 フランスに家を見つける 桃李 2009/12/01-07:58:49
政権交代を見届けた翌日、東京からフランスへ家族で引越しました。

担当させていただくコラムで数回にわたり、人が生きる上で必ず必要な「衣食住」について、こちらで私が経験したこと、日本と違ってびっくりたり比べて考えたことなどを書かせていただきたいと思います。今日は「住」です。

いつか住むのだろうかと、カルチャーチョックがないようにフランスへ引越す心の準備はしていたつもりでしたが、やはり人生の中で初めてです。

フランスに着いたその日からの生活、初めてではないけれど、市場やスーパーで、自分の欲しい物を買ってくるだけでも緊張してやっとの想い。そんな始まりでした。

さて、仮住まいを拠点に賃貸物件を探し始め不動産屋さんへ行って見るも「あまり物件がない」とのことで、主人と街を何日もこの数年こんなに歩いたことがない!!!というくらい自分たちの脚で探し回り、個人貸しの家も何軒も見ました。こちらは日本よりも個人で家を貸す人の広告が多いのです。ですから当然いろんな意味で個性のある貸家もありました。

そして、いつも歩いていた通りに、偶然、個人貸し物件を中心に、貸し部屋や家を探している人に会員制の手数料のみで情報提供している事務所を見つけました。そんなものがあるとは!

私の住んでいる地域は大学都市なので、若い学生がいろんな国や街からやってくるため、このような事務所が商売として成り立っているようです。

そこで予算の範囲内で気に入った小さなアパートを見つけたのですが、さてさて、なんと!ここからが大きく日本と違いました。契約は保証人もなし。勤め先もきかれず、自分で火災保険に入り、パスポートのコピーと保証金としてひと月分の家賃を払ったのみです。これだって、日本のように退出時の清掃料なんてとられませんから、よほどのことがなければ満額返金されます。

そうかと思えば、民間の学生寮を一般向けに一部貸し出して「契約は1年単位でないとだめだ、1年以内に越しても1年分は家賃を払ってもらう。」という部屋もありましたし、自分の父親が1階に独りで住んでいるから2階に住んで欲しい。という広告の物件も見に行きました。

みんな個人の都合に合わせた賃貸の条件を出して、借りる側も自分の事情にあった家や部屋を借りることができる。そういうスタイルの賃貸が日本に比べてたくさんあります。

貸し手の自由と借り手の自由のすりあわせ。そんな印象を持ちました。合理的です。

こうしてやっと家を確保し、今更ながら、どちらがよいということではなく、どうして我々のような契約が日本では聞いたことが無く、フランスでは成り立つのか、考えはじめたところです。
もしかして私は、フランス人が何よりも大事にしているとよく聞くフランス人の「自由」をすこーしずつ味わいはめたのでしょうか。